はじめに
さて今回から数回は,心理学をネタにSoulHackを拾ってみたいと思います。
最初に取りあげるのはケン・ウィルバーという人の「インテグラル・スピリチュアリティ」という本です。

インテグラル・スピリチュアリティ
ケン・ウィルバー 著/松永 太郎 訳
ウィルバーは心理学というより哲学者,思想家というべき人で,はっきり言ってその著書は難解で誰にでも勧められるものではありません。しかし,そのテーマはWebに深い所でつながりがあります。
それは,「知の世界地図を作る」というテーマです。
ネットというのは,たくさんの価値観,世界観がぶつかりあう場です。そのことがいろいろな問題を引き起こすのですが,一方で,それがネットの面白さの本質でもあります。ですから,ネットを活用しようとしたら,どうしても世界観のぶつかりあいをさばいていくことが必要になります。
ウィルバーという人の思想が,その為のヒントになるのではないか,という話です。
「ブログ炎上」と地図の不一致
いわゆるブログの炎上という現象の中には,たくさんのコミュニケーションの行き違いがあります。
ほとんどの場合,そのブログを書いたブロガーが想定してないような読まれ方をされ,さらにその批判に対して,批判した人が想定をしてないような反応をブロガーが見せたことで,より問題が大きくなっていきます。
つまり,両者の間で対話をすればするほど,対立関係がひどくなるケースが多いのではないでしょうか。
炎上にもさまざまなケースがあるので,簡単に一般化することはできませんが,お互いに「相手が想定外の考え方をしている」という所はひとつの重要なポイントになるでしょう。
これは,両者が無意識に持っている地図が食い違っているということではないかと思います。
意見や着目点が違っていても,もっとわかりやすい対立関係もあります。
両者が同じ地図を見ていて,「自分が西にいるけど相手は東にいる」というふうに,互いの位置については合意できていて,西が正しいのか東が正しいのかを言いあらそっているような場合には,このような根深い対立は起こりません。
「炎上」となるようなケースでは,双方が「自分の方が相手よりずっと東にいる」と主張していて,その主張は,自分の地図の上では真理なのです。しかし,両者は違う地図を見ていて,その違いを見つけることが難しい。「おまえの言うことはナンセンスだ,もっと地図をよく見ろ」と相手に言うのですが,相手が地図を確認すればするほど議論がよりねじれていくのです。
「炎上」に限らず,最近,こういう形の対立が多いように感じます。
ブログを書くとか,新しいWebサイトを立ち上げるとか,ネットの中で何かしようとすると,この「地図の食い違い」という問題について考えることが避けられないと私には思えます。
ネットに限らず,政治や経済の混迷も,「社会全体で合意され共有されている地図がない」ということに根本の原因があるように感じます。消費者と企業の関係もそうだし,世代間の対立もそうです。
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