これまで作業管理について解説してきましたが,今回から働き方や作業自体のより良いやり方を探っていきます。
一生懸命働くことはいつでも有効か?
まず今回は,一生懸命働くことの意味合いを問い直してみます。
一生懸命働くこと,つまり勤勉というのは人間の徳目の一つとして数えられていますが,果たして額面通りに捉えて良いのでしょうか。疑問があります。
例えば,デスマーチという言葉があります。Wikipedia中の「デスマーチ」ページには,以下のような定義が記述されています。
ソフトウェア産業において,デスマーチとは,長時間の残業・徹夜・頻繁な休日出勤といった,プロジェクトメンバーに極端な負荷を強い,しかも成功の可能性が薄いプロジェクトを主に指す。
『Wikipediaデスマーチ 2.ソフトウェア産業でのデスマーチ』より
このような状況に至る前も至った以後も,プロジェクトメンバーは皆ひたすら働き続けます。連日連夜休日も深夜まで働き続けます。これは勤勉に働いていることに他なりません。しかし今後も継続すべき勤勉さといえるのでしょうか。
脱・奴隷の重り自慢
また,以下のような記述もあります。
奴隷が自分の足かせの重りを自慢するかのように過酷な残業を自慢する傾向が見られる場合がある
『Wikipediaデスマーチ 2.ソフトウェア産業でのデスマーチ』より
確かに,理不尽な体験自慢や残業自慢はとても盛り上がります。初対面の人同士で,どれだけ大変なことを経験してきたか,辛い思いをしてきたか,の話題で大いに盛り上がっている場もいくつか見たこともあります。
もちろん辛かった経験自体はよい反省材料にもなりますし,言うことで辛い気持を整理し癒すといった効果もあります。
しかし,話し方を誤ると悪影響を及ぼしてしまいます。しばしば耳にしたのは,「俺はもっと過酷な状況を経てきたのだからお前らはまだまだ甘い」という話です。これを真に受けてしまうと,継続すべきでない勤勉さを継続してしまい,悲劇の再生産に繋がります。行き着く先は,健康を害して働き続けなくなったり,組織が瓦解してしまったりといったことに繋がります。
では,デスマーチ禍を回避できる,良い意味での勤勉さとはどういうものでしょうか。そのキーワードは,「絞り込み」と「怠惰」です。
