Proactive rep! ~担当者によるプロジェクト推進~

第12回 あえて周りを「巻き込まない」というやり方

2009年4月15日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

自分の理想とするやり方を広げていくためには,周囲に仲間や理解者を増やすことはとても重要な事です。今回は,時間は掛るものの実践が容易な周囲に仲間や理解者を増やす方法について述べていきます。

誘えるか?

下記のような事を自分から声を掛けて始めるのは得意ですか?

  • 上司を飲みに誘う
  • 後輩をご飯に誘う
  • 顧客との懇親会を企画する

私は,このような人を勧誘する行為が不得意です。下手です。大いに苦手です。声を掛けて断られたらどうしようか,無視されたらどんな対応を取ったらいいのだろう,など,実際に声をかける前に頭の中で様々なパターンをへとへとになるまでシミュレートしてしまい,動けなくなります。

もちろん,確かに自分から声を掛けることができれば,自分から周囲を「巻き込んでいく」ことができます。つまり,周囲に仲間や理解者を増やすことを早いスピードで行えることができます。しかし自分から声をかけるには,いくばくかの勇気が必要です。私にとっては相当な勇気を奮う必要があります。

でも心配する事はありません。大丈夫です。自分から声を掛けずに,周囲に仲間や理解者を増やす方法があります。

巻き込まれに行く

自分から巻き込む以外で周囲に仲間や理解者を増やす方法は,以下の2点です。

  1. 自分から巻き込まれに行く
  2. 周囲が巻き込まれてくるのを待つ

自分から巻き込まれに行くとは,周囲を巻き込もうとしている場に飛び込んだり,周囲を巻き込もうとしている人の近くに寄って行くことです。

周囲が巻き込まれてくるのを待つとは,日々の仕事での実践による成果を示し,その成果でもって周囲に興味を持ってもらうことです。

1.自分から巻き込まれに行く

自分から巻き込まれに行く事の具体的な方法として,勉強会に参加することをお勧めします。たいていの参加者は何かを得るために自分の意思で参加しています。そんな人たちと交わることで,自然と巻き込まれていきます。

ただ,受け身の姿勢で漫然と参加するだけでは効果を見込めません。以下の4点を能動的に行いましょう。

  1. 勉強会の感想をレポートにまとめる
  2. 勉強会の内容をレポートにまとめる
  3. 勉強会のライトニングトークスに申し込む
  4. 勉強会の発表者募集に申し込む
参考資料

初参加の勉強会の場合でも,1.と2.のレポートにまとめることは是非行いましょう。理解度が増す利点はもちろん,スタッフや他の参加者に自分が何を得たか・何を考えたかを知ってもらうことができます。つまり,勉強会メンバーとの距離を近くする効果があるということです。

4.のように実際に枠をもらって発表するのはちょっと難しいですが,3.の勉強会でよく行われるライトニングトークスをやってみるのは,敷居も低い上に準備にかかる時間もそんなに多くありません。ほんの5分話すだけで,勉強会の聞き手という立場から発表側の立場にドンと座ることができます。懇親会などでも,他の人たちから話しかけてくれるため,懇親会で他の人に話しかける難しさや緊張からも解き放ってくれます。

このやり方では,仕事の外の世界で仲間や理解者を増やすことができます。これによって自分の所属している会社で何か悩みことや意にそぐわないことがあっても,外の世界に助けを求めることができます。会社という一つの世界しか持っていなければ,そこで発生した事柄が自分のすべてであるというような誤った認識を持ってしまいがちです。会社の外の世界を持っていることで,会社での出来事のショックを和らげたり,会社の中で失った元気を補充できたりします。

実際私も,勉強会に参加することで何度も助けられた覚えがあります。

2.周囲が巻き込まれてくるのを待つ

新しく得た知識ややり方は,積極的に自分一人から使って,まず事実としての成果を作りましょう。私が行った例としては,一人PF(プロジェクト・ファシリテーション)や,一人CCPM(クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメント)があります。

本来PFはチームメンバー同士が自律的に動いて問題解決を行えるようにする手法をチームに適用するものです。CCPMはプロジェクトマネジメントと文字に入っているように,まさにプロジェクト管理手法です。しかし,どちらもその中の一部は,集団の最小単位である「個人」のレベルで利用し,効果がありました。

参考資料

一人からできるPF(PFP関東ワークショップ#10 事例紹介資料)

一人から始めるCCPM_Burndown chart & buffer management(TOC-CCPM勉強会チェンジザルール!#2 事例紹介資料)

自分一人にでも効果を上げているならば,それを実績として語ったり,機会があれば2人,3人ともう少しだけ大きい範囲に試してみる機会を得られるかもしれません。特に,目に見えた効果が上がったならば,近くにいる人は興味をもってくれるでしょうし,評価もしてくれるでしょう。

そうやって少しずつ自分が良いと思うものや広めたいやり方を浸透させることができます。

でも,可能なら自分から「巻き込もう」

最初の方で述べましたが,自分から声を掛けて周囲を巻き込んでいくのはとても良い手段です。それを行うにあたっての勇気の出し方のヒントや自分から巻き込んでいくためのノウハウを持っている方がいれば,是非教えていただきたいです。

おわりに

さて,この連載は今回が最終回となります。

第1回で述べたことの繰り返しになりますが,私たち一担当者がプロジェクトの推進や管理に対して,また自らのスキルアップに対して,人任せではなく主体的に関わることが,今の仕事を完遂することと長い期間を楽しく働き続けることに繋がります。一年間お付き合い下さいましてありがとうございました。

どこかで見かけましたらお声をお掛け下さい。なお,下記コミュニティのワークショップや勉強会によく参加していますので,ご興味持たれた方は是非どうぞ。

チェンジザルール
http://groups.google.co.jp/group/changetherule
DevLOVE
http://sites.google.com/site/devloveofficial/
XPユーザ会
http://xpjug.s270.xrea.com/
Project Facilitation Project
http://projectfacilitationproject.go2.jp/

著者プロフィール

こしばとしあき

関西出身自宅料理員兼ソフトウェア開発担当者。金融系業務アプリ開発,レガシー移行,Webサービス開発,画面制御基盤開発など様々な開発現場を経て,最近関東に進出。

アジャイル,ライフハック,プロジェクトファシリテーションに強く関心を持ち,講演も行っている。「ペンポッドで世界へミサイル大会」初代チャンプ。

blog『koeだめ』http://d.hatena.ne.jp/bash0C7/
料理blog『kuiだめ』http://kuidame.4038nullpointer.com/

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