タイム・マネジメントの心得 ~あなたを多忙から開放する10の方法~

第2回 時間管理の5つのレベル ~ベンチマーキングのすすめ

2008年6月16日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 1.5 分

「タイム・マネジメント上手」を見分ける

日本語には「やりくり上手」という形容があります。昔から,お金をきちんと管理できる人をさす言葉としてつかわれてきました。みなさんのまわりにも,きっと思い当たる人がいるでしょう。やりくり上手とは,資産家やお金持ちというよりも,"入りを計って出るを制す",つまり自分に与えられた収入を上手に活かしてマネジメントできる,賢い人です。

同じことは,時間管理についても言えるはずです。誰にも平等に与えられた『時間』を,上手に活かしてマネジメントできる人を,「タイム・マネジメント上手」と呼ぶことにしましょう。どうしたら「タイム・マネジメント上手」になれるかが,この連載のテーマです。

何かに上達するための秘訣は,良い先生について,くりかえし習うことです。でも,もし先生がいなかったら? その場合は,身近に上級者(上手な人)をみつけて,その人のワザを見習うことでしょう。目標になるような「タイム・マネジメント上手」といえる人は,あなたの周囲にいるでしょうか。どうしたら,上級者を見分けることができるか,考えてみましょう。

上級者・中級者・初心者

たとえば,こんな印象の人はいませんか。

  • オン・タイムで会議や訪問に現れる。決して遅刻した姿を見たことがない。
  • 自分より残業が少ない。スマートに,さっと帰る姿が目に残る。
  • 仕事にかかる日数の見積が正確なので,約束した期日に遅れない。
  • 頼まれたことは忘れない。忘れ物やポカが少ない。
  • 書類や探し物がすぐに出てくる。

もしこういう人がいたら,あなたの「目標」として心に決め,その人のやり方・進め方を密かに"盗む"ことをお勧めします。そして自分も,会議や訪問に遅れる回数を減らし,残業を少なくし,仕事日数の見積を正確にできるよう,比べていきましょう。他にも見分けるポイントがないか,考えてみてください。モノサシを決めて成績を比べることを「ベンチマーキング」と呼びます。ベンチマーキングこそ,上手になるための第一歩なのです。

時間管理は一種の技術です。技術である以上,上級者も中級者も,そして初心者もいます。"えっ,時間管理なんて技術なんですか!? そんなこと,大学のどの講義でも習いませんでした"なんて新入社員が叫んだら,たしかにこいつは初心者だな,とあなたも感じるでしょう。でも,そういうスキルが存在することを知ることが出発点ですね。

ところで,タイム・マネジメント上手を見分ける上記のポイントをよく考えてみると,これらはみな,すなわち「仕事のできる人」の特徴でもあることがわかります。忙しい現代においては,時間管理能力は,仕事の上級者の必要条件なのですね(十分条件,とまではいいませんが…)。

タイム・マネジメント能力の5段階

私は,タイム・マネジメントの能力を5段階に分類しています。

レベル0:初心者(なりゆき)

なりゆきまかせで,結果は忘れるレベルです。アポイントなどの時間をカレンダーに記入する程度のことは一応します。が,それを見直さずに別のことをしていたり,うっかりミスが目立ちます。こういう人は「時間に追われている」状態です。ここからステップアップするには,まず,"時間管理の上手な人"の仕事ぶりをベンチマークし,また最遅着手日・イベント・タスクなど基礎的な概念を理解する必要があります。

レベル1:記録する

自分が使った時間の内容を記録しているレベルです。日誌,タイムシート,ミーティング・メモなどを作成し,利用できる状態になっています。そのために,カレンダーや手帳などのツールの基本的な使い方を学んでいます。また自分にとっての「時間どろぼう」を意識し,対策法を身につけています。

レベル2:予定を立てる

自分が時間の使い方の予定を決めるレベルです。To Doリストを作り,自分のタスクを明確にし,また所要時間を見積もって優先順位を決めることができます。そのために,カレンダー予定表と統合した「司令塔」としてのTo Doリスト,カムアップ・システムなどの仕組みを理解し,またバックワード・スケジューリングの考え方を習得しています。

著者プロフィール

佐藤知一(さとうともいち)

プロジェクト・アナリスト。エンジニアリング会社に勤務し,国内外の製造業向けの工場設計および生産システムづくりに従事するかたわら,執筆・講演活動などを行っている。専門はプロジェクトマネジメント・スケジューリング・生産計画・リスク分析など。海外におけるプロジェクト事情にも詳しい。

URLhttp://www2.odn.ne.jp/scheduling/

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