ホワイトカラー vs. ブルーカラーの時間管理
筆者は製造業・サービス業・ITなどさまざまな組織のマネジメントぶりを見てきました。どの業種でもコスト管理はきびしく行っていますが,ホワイトカラーの時間管理にはかなり問題を感じました。お金の予算がゼロになれば「無い袖は振れない」状態で,使えなくなります。しかし,時間は足りなくなっても無限に補給され消費可能に思われます。こうしてどんどん予定が遅れていく状況がどこでも見られます。
これでも許されているのは,ホワイトカラーとは創造性のある,知的労働に従事する職種だからという暗黙の了解があるためでしょう。フレックスタイムや裁量労働制などがそれを裏付けています。また,ホワイトカラーの仕事の対象が,目に見えにくい『情報』であることも,その一因でしょう。どれくらいの仕事を抱えているのか傍目からわかりにくいため,"その仕事が終わるのはいつか"が読めないのです。
ある意味では,"オフィスのホワイトカラーより,工場のブルーカラーの方が時間管理のレベルが上なのではないか?"と感じることもあります。なぜなら,工場の労働者は毎日,以下の作業を行っているからです。
- バーコードで仕事の着手・完了を記録する
- タイムカードで総勤務時間も記録する
- その日の製造指示は基本的に達成する
この人たちは与えられた指示に対して、「あと何日かかるかわかりません」とか「忙しくてできません」などと言い訳は決していいません。
少なくとも,工場の生産管理には,何か学べる知恵があるはずです。
ある生産管理部長の話
ここで,ある生産管理部長の話をご紹介しましょう。多品種少量生産のメーカーの事例です。この方が着任された時には,工場には1ヶ月分の受注が溜まっていたそうです。しかも,ほぼ全品が納期遅れの状態でした。
そのバックログを,この部長は着任2ヶ月後に,すべて解消してしまいました。製造現場の人員は一切増やさずに,です。都合3ヶ月分の仕事を2ヶ月間で片付けたのですから,50%の生産性アップです! その秘密は何でしょうか?
この部長さんは,まず山積みになった受注オーダーを納期順に並べて,製造着手の優先順を決めました。ここまではたいていの工場でやっていることです。それから,向こう1週間分の製造予定を日単位に固定しました。一日の予定生産台数は,従来の実績からみて可能なはずの数量から決めます。
その上で,製造部門には,その日1日分の製造指図は残業してでも必ず終えさるようにしせました(どうしても製造できなかった場合は,休日出で週間予定を守ってもらったそうです)。そのかわり,営業部からの急な割込みも,客先のクレーム電話も,その部長が防波堤になって防ぎ,週間製造予定は変えさせませんでした。資材業者にも週間予定を示して,必ず納期をまもらせました。製造予定が決まっていますから,資材手配の急な追加・変更もしません。
するとどうでしょう。これまで工場内に溜まっていた中途半端な仕掛り品は,みるみる減少していきました。部品・材料は格段に探しやすくなりました。そして,2ヶ月後には納期遅れが一切ない状態まで改善されたのです。