タイム・マネジメントの心得 ~あなたを多忙から開放する10の方法~

第4回 手帳とカレンダーを活かす

2008年8月15日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

手帳の用途と使いこなし

さて,今回はタイム・マネジメントの初歩的ツールとして,手帳とカレンダーについてお話ししましょう。手帳の話題は,なぜか多くの人の関心を引きつけます。PDAや携帯電話が「デジタル版手帳」としての機能を提供してくれる今日においても,高級文具店の手帳売場が人気の場所になるのはなぜでしょうか。

手帳にはどうやら,2種類の役割があるようです。それは実用の小道具としての手帳と,心理的な「御守り」としての手帳です。革表紙の手帳は,プロフェッショナリズムの象徴であり,一種の身分証明のかわりでもあります(その極端な例が「警察手帳」でしょう)。だからこそ,実用と御守りのきわどいバランスをねらって,さまざまな手帳商品が行き交うことになるわけです。ここでは,シンボル商品としての手帳の選び方ではなく,機能面から見た使いこなし方を考えてみましょう。

手帳に期待する機能は,次の5つに代表されます。このどれを重視するかで,選ぶべき手帳のスタイルも決まります。

  • (1)予定表
  • (2)電話帳・住所録
  • (3)金銭出納帳
  • (4)メモ
  • (5)データベース一般

多くの人にとって,手帳の第一の機能が,日単位の予定記入表にあることは,異論がないと思います。自分の予定を秘書に任せられる身分の人はさておき,自分の先々の時間の使い方をマネジメントするためには必須の機能です。

手帳の予定表は,「見開きが一ヶ月」の形式にすべきか,あるいは見開きで一週ないし一日の形式を選ぶべきでしょうか。これは,自分の当面の仕事が一目で見渡せるよう選ぶのが基本です。若いビジネスパーソンは,ふつうは月単位で十分でしょう。しかし1日に書くべき予定が平均4項目を超えるようなら,週単位の方が実用的です。毎日アポがぎっしり入っている,あるいはパイロットなどの分刻みの時間に従う職業ならば,1日単位が必要かもしれません。一番望ましいのは,日単位・週単位・月単位が切り替えられることですが,そうなるとPDA(電子手帳)が必要になります。

紙の手帳を使うときは,カレンダーの右上の隅の「耳を切る」習慣をつけておくとよいでしょう。すでに過ぎた日のカレンダーの耳を切っておけば,今日のページをすぐめくれるようになります図1)。

図1 カレンダー予定表の耳を切る

図1 カレンダー予定表の耳を切る

予定の「共有化」「プライベート化」

ところで,たいていのオフィスや家の壁には,カレンダーがかかっています。それなのに,皆が手帳の予定記入表を使う理由は,もって歩けるからですね。会議の席上でも,外出先でも,自分の予定を見て決められるよう,手帳を使うわけですね。つまり,壁掛けカレンダーと手帳は,全く相反する機能を担っていることにお気づきでしょうか? それは,予定の「共有化」「プライベート化」です。誰もが見えるカレンダーによるスケジュールの共有化は,組織で仕事をする者にとって必須のことになりつつあります。その一方で,他人に見られたくない,自分だけの予定を記録しておく道具としての手帳も必要です。

机に平置きするタイプの「デスク・ダイアリー」は,この二つの機能を,ある程度両立させるツールです。自分で記入した予定を,他人が見ることもできます。しかし,本人が持って歩いている間は,共有の役には立ちません。

その点,いわゆる「グループウェア」と呼ばれるソフトは,オフィスのPC間でスケジュールを共有するには便利ですし,一応プライベートな予定は他人からは見せなくしてくれる機能もあります。しかし,手帳のようには持ち運びにくいのが難点です。最近では,社外から携帯電話やPDA経由でアクセスできるグループウェアが出現し,ようやく相反するニーズをかなり両立できるようになってきました。私自身も,会社ではPCから,出先では携帯電話からアクセスして,同僚とのスケジュール共有を実践しています図2)。

図2 予定の「共有化」「プライベート化」

図2 予定の「共有化」と「プライベート化」

ここで大事な原則は,『予定表は一冊に統一する』ことです。会社の予定はデスク・ダイアリー,プライベートの予定は手帳,などと使い分けるのはおすすめできません。上司から急に,済まないが今週末は休日出勤してくれと言われたとき,私用の約束があったかどうか,すぐに答えられますか? 自分は一人しかいないのです。予定表は一冊にして,すべての予定は,そこに書き込むようにするべきです。

著者プロフィール

佐藤知一(さとうともいち)

プロジェクト・アナリスト。エンジニアリング会社に勤務し,国内外の製造業向けの工場設計および生産システムづくりに従事するかたわら,執筆・講演活動などを行っている。専門はプロジェクトマネジメント・スケジューリング・生産計画・リスク分析など。海外におけるプロジェクト事情にも詳しい。

URLhttp://www2.odn.ne.jp/scheduling/

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