グループで進める仕事の計画づくりとは
さて,本講義シリーズも後半に入りました。後半は,複数人のグループで進める仕事のタイム・マネジメント手法について考えていきます。読者の皆さんの仕事の多くは,このタイプに属すると思います。
複数人のグループで,何かの目標・ゴールに向かって共同作業を進める場合,そのタイム・マネジメントにはどのように取り組むべきでしょうか。マネジメント・サイクルの第一歩は計画です。まず,計画について考えてみましょう。
計画のプロセスとは,簡単に言うと3つのステップから成り立っています。
- (1)使命達成に必要なタスクを洗いだす(Identify tasks)
- (2)タスクにリソース(担当)をわりあてる(Assign resources to tasks)
- (3)工程表を作成する(Create timetable)
『タスク』という用語は前回も解説しましたが,「成果物(あるいは完了の条件)が決まっていて,期限までに果たさなければならない任務」のことです。自分のTo Doリストに書く“締切つき宿題”がタスクです。
もっとも,こういう話をすると,“オフィスワークにいちいち「計画」だなんて,大げさで煩わしい。工場の生産計画じゃあるまいし,先の事なんて完全には分からないんだから,皆が臨機応変にやればいいんじゃないの?”という反論が出てくることがあります。仕事にいちいち工程表なんて書いている人はいませんよ,と言われたこともあります。もっとびっくりしたのは,「工程表作成は仕事の本来業務ではないから,定時の中でやってはいけない」(=時間外にサービス残業でやれ)という会社がある,と聞いたときです。
動物的カンでグループを采配し,それで納期遅れも失敗も無いのなら,その人は天性のマネージャーでしょう。しかし,天分はどうやったら後輩が継承できますか? 一方,技術や手法なら学べます。「納期間際の突貫工事」が常態化している職場が少なくない中,天才だけに頼るのは心配です。皆さんには,仕事の工程表づくりを習得することをおすすめします。著者の知っている,時間管理の名人達は,決まって工程表づくりが上手な人ばかりだからです。
タスクを洗い出す
計画プロセスの第一ステップは,必要なタスクの洗い出しです。そのためには,仕事の使命(成果物)を明確にすることが大事です。ここが曖昧だと,工程表をつくる意義が半減します。
たとえば,半年後の業界展示会に出展する仕事を任されたとしましょう。使命は「ブースをつくり,製品情報を宣伝する」ことです。少なくとも物的には,ブース外装,説明パネル,製品デモの仕掛け,配布パンフレット等が必要ですね。説明員の確保も必要です。ところで,展示会参加の本来の目的は,潜在的顧客を見つけることにあります。となると,最終的に欲しいのは「興味を持ってくれた来客の名刺リスト」ではないでしょうか。そうすると,アンケートや名刺DBも必要です(アンケート記入のお礼のノベルティグッズも用意しているブースも多いですね)。
このように,まず成果物のイメージをなるべく具体的にリストアップしていきます。そうすると,個々の成果物を用意するために必要な任務=タスクが見えてきます。ブース製作はデザイン会社に外注しようか,説明パネルは自分たちで原案をつくろう,その前にスペース予約が必要だ,アンケート用紙も設計して…という風に,タスクが芋づる式に出てきます。
グループで取り組む場合,ブレーンストーミング方式でカードやポストイットを使って整理するのも一法です。一通り洗い出したタスクをカードに書いたら,それをホワイトボードに貼って,順序関係やグルーピングを考えてみます。ブース関係ならば,スペース予約→レイアウト素案→デザイン会社引合い→発注契約→デザイン案レビュー→制作→搬入据付…といった具合です。つながりを検討しているうちに,「そういえば電源や通信線も確保しなきゃ」「著作権の確認は?」など思いつくことがあります。その場でタスクを追加していきます。
その際,できれば「予算申請」や「スケジュール管理」といった,マネジメントとよぶべきタスクも忘れずに挙げていきましょう。成果物づくりには直接結びつきませんが,これらも必要な仕事であり,“本来業務でない”などと差別すべきではありません。
