タイム・マネジメントの心得 ~あなたを多忙から開放する10の方法~

第7回 仕事の工程表をつくる

2008年11月17日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

グループで進める仕事の計画づくりとは

さて,本講義シリーズも後半に入りました。後半は,複数人のグループで進める仕事のタイム・マネジメント手法について考えていきます。読者の皆さんの仕事の多くは,このタイプに属すると思います。

複数人のグループで,何かの目標・ゴールに向かって共同作業を進める場合,そのタイム・マネジメントにはどのように取り組むべきでしょうか。マネジメント・サイクルの第一歩は計画です。まず,計画について考えてみましょう。

計画のプロセスとは,簡単に言うと3つのステップから成り立っています。

  • (1)使命達成に必要なタスクを洗いだす(Identify tasks)
  • (2)タスクにリソース(担当)をわりあてる(Assign resources to tasks)
  • (3)工程表を作成する(Create timetable)

『タスク』という用語は前回も解説しましたが,「成果物(あるいは完了の条件)が決まっていて,期限までに果たさなければならない任務」のことです。自分のTo Doリストに書く締切つき宿題がタスクです。

もっとも,こういう話をすると,オフィスワークにいちいち「計画」だなんて,大げさで煩わしい。工場の生産計画じゃあるまいし,先の事なんて完全には分からないんだから,皆が臨機応変にやればいいんじゃないの?という反論が出てくることがあります。仕事にいちいち工程表なんて書いている人はいませんよ,と言われたこともあります。もっとびっくりしたのは,「工程表作成は仕事の本来業務ではないから,定時の中でやってはいけない」(=時間外にサービス残業でやれ)という会社がある,と聞いたときです。

動物的カンでグループを采配し,それで納期遅れも失敗も無いのなら,その人は天性のマネージャーでしょう。しかし,天分はどうやったら後輩が継承できますか? 一方,技術や手法なら学べます。「納期間際の突貫工事」が常態化している職場が少なくない中,天才だけに頼るのは心配です。皆さんには,仕事の工程表づくりを習得することをおすすめします。著者の知っている,時間管理の名人達は,決まって工程表づくりが上手な人ばかりだからです。

タスクを洗い出す

計画プロセスの第一ステップは,必要なタスクの洗い出しです。そのためには,仕事の使命(成果物)を明確にすることが大事です。ここが曖昧だと,工程表をつくる意義が半減します。

たとえば,半年後の業界展示会に出展する仕事を任されたとしましょう。使命は「ブースをつくり,製品情報を宣伝する」ことです。少なくとも物的には,ブース外装,説明パネル,製品デモの仕掛け,配布パンフレット等が必要ですね。説明員の確保も必要です。ところで,展示会参加の本来の目的は,潜在的顧客を見つけることにあります。となると,最終的に欲しいのは「興味を持ってくれた来客の名刺リスト」ではないでしょうか。そうすると,アンケートや名刺DBも必要です(アンケート記入のお礼のノベルティグッズも用意しているブースも多いですね)。

このように,まず成果物のイメージをなるべく具体的にリストアップしていきます。そうすると,個々の成果物を用意するために必要な任務=タスクが見えてきます。ブース製作はデザイン会社に外注しようか,説明パネルは自分たちで原案をつくろう,その前にスペース予約が必要だ,アンケート用紙も設計して…という風に,タスクが芋づる式に出てきます。

グループで取り組む場合,ブレーンストーミング方式でカードやポストイットを使って整理するのも一法です。一通り洗い出したタスクをカードに書いたら,それをホワイトボードに貼って,順序関係やグルーピングを考えてみます。ブース関係ならば,スペース予約→レイアウト素案→デザイン会社引合い→発注契約→デザイン案レビュー→制作→搬入据付…といった具合です。つながりを検討しているうちに,「そういえば電源や通信線も確保しなきゃ」「著作権の確認は?」など思いつくことがあります。その場でタスクを追加していきます。

その際,できれば「予算申請」「スケジュール管理」といった,マネジメントとよぶべきタスクも忘れずに挙げていきましょう。成果物づくりには直接結びつきませんが,これらも必要な仕事であり,本来業務でないなどと差別すべきではありません。

著者プロフィール

佐藤知一(さとうともいち)

プロジェクト・アナリスト。エンジニアリング会社に勤務し,国内外の製造業向けの工場設計および生産システムづくりに従事するかたわら,執筆・講演活動などを行っている。専門はプロジェクトマネジメント・スケジューリング・生産計画・リスク分析など。海外におけるプロジェクト事情にも詳しい。

URLhttp://www2.odn.ne.jp/scheduling/

コメント

コメントの記入

ピックアップ

EC事業者が注目,.shopドメインとドメイン名をとりまく新たな流れ

インターネットの可能性を広げる新たな動きが,ドメイン名をめぐって起こりつつあります。

エンジニア特化型Q&Aサイト「teratail」のトップランカーたちが語る,確実な力を付けるための“質問力”

エンジニア特化型Q&Aサイト「teratail」のトップランカーの方々に集まっていただき,座談会を開催しました。

Webサイトに“安心”をプラス―知らないでは済まされないSSLサーバ証明書の仕組み

いまやユーザといえでも必須の知識となったWeb通信の暗号化と,その信頼性を確保するための「SSL証明書」のしくみについて紹介します。

リクルートライフスタイルの技術力を追え!

ビジネスを拡大し続けるリクルートライフスタイルの技術力を,編集部の徹底取材により紐解きます。

開発スピードに限界を感じたときの処方箋

「JIRA」をはじめとするアトラシアンのツール群。多くのオープンソースソフトウェアを継続して提供する支えとなっている使い易さを探ってみます。

デジタルコンテンツを日本から世界へ―MyCommerceで始める越境EC

自社開発ソフトウェアを海外も含めてオンラインで販売したいというニーズに即したサービス「MyCommerce」を用いて,誰もが手軽に越境ECを実現するためのノウハウを紹介します。

バックナンバー

No12(2009.04)

今回のSoulHackで主に取りあげるのは,梅田望夫の「ウェブ時代をゆく」という本です。

No11(2009.03)

今回のSoulHackで取りあげるのは,阿部謹也の「世間学への招待」と他1冊の本です。

No10(2009.02)

今回のSoulHackで取りあげるのは,山本七平の「空気の研究」という本です。

No9(2009.01)

今回のSoulHackで取りあげるのは,アーノルド・ミンデルの「紛争の心理学」という本です。

No8(2008.12)

今回のSoulHackで取りあげるのは,河合隼雄氏の「カウンセリングを語る」という本です。

No7(2008.11)

特集:2008年度日本OSS貢献者賞受賞者インタビュー

No6(2008.10)

特集:エンジニアの実践的キャリアアップ思考法

No5(2008.09)

特集:事例でわかる,プロジェクトを失敗させない業務分析のコツ

No4(2008.08)

特集:ゼロからはじめるPSP

No3(2008.07)

特集:今こそ使える! プロトタイピング

No2(2008.06)

特集:「開発スタイル」開発法

No1(2008.05)

特集:エンジニアが身につけたい基本スキル 2008

-->