タイム・マネジメントの心得 ~あなたを多忙から開放する10の方法~

第10回 会議の時間を活かす

2009年2月16日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

会議は時間の浪費か

いきなりの質問で恐縮ですが,あなたは平均してどれくらいの時間を会議や打合せに割かれていますか?

仕事のタイム・マネジメントでよく話題になるのが,「会議の時間が多すぎる」という問題です。"会議,会議で時間がとれない""会議を減らすために,また検討会議"といったセリフも,冗談交じりによく聞かれます。

ちなみに,筆者の場合,平均して25~35%程度の時間を会議に費やしています(出張先での会議も含む)。たしかに,少なくないですね。1日8時間労働とすると,毎日2時間から3時間は誰かと顔をつき合わせて話していることになります。

この分の時間をなくして席で作業できれば,ずいぶん仕事の効率も上がるのに,と若い頃ぼやいたら,ベテランのプロマネである大先輩に怒られました。「それは会議がわるいんじゃない。会議の時間の使い方を,君が分かっていないだけだ。ただ漫然と打合せに出ていてはダメだよ!」

複数の人間が集まって,情報交換や約束をかわす行為を「打合せ」あるいは「会議」とよびます。どちらも英語では"Meeting"ですね(大勢の参加者が集まって儀礼的な進行をするものは"Conference"とよばれます)。そこで本稿では両者をあわせて会議と呼ぶことにします。客先と自分の二人だけの相談も,「会議」ということになります。また,会議をリードする役割のことを,ここでは「チェアマン」とよんでおきます。

会議を時間の浪費にしないためには,必ず以下の二つを明確にすることが必要です。

(1)会議の目的
(2)会議で合意された各人のアクション項目

会議の最初に,必ずチェアマンは目的と議題を宣言するようにします。目的とは,言いかえれば完了条件,つまりどこまでいけば会議を終了できるか,ということです。何らかの結論を出す必要があるのか,経過報告や状況把握でいいのか。あるいは漠然とした情報交換や顔見せなのか。目的の軽重によって,時間や出席者を考えるべきでしょう。ちなみに,月例や週次に開かれる定期的な会議では,このいずれもが漫然と混ざり合っている場合が多いようです。したがってチェアマンは,議題ごとの目的を明確にする必要があります。

議題はアジェンダの形で,事前に配布しておくことが望ましいのはいうまでもありません。また配付資料も必要な人数分,事前に準備しておくべきでしょう。こうすることで会議の席上,むだな時間を省くことができます。

さて,会議の終了時には,チェアマンは決まったことを簡単に要約して復唱し,また各人のアクション項目と期日を確認します。というのも,討議の結果,多くの場合は会議後のアクション項目が出てくるからです。たとえば,「A製品の出荷実績について調べておく」「客先の仕様追加に対して,スケジュール上のインパクトを見積もる」といった事柄です。ここで大事なのは,アクション項目を「誰が」「いつまでに」やるかを明確にして,出席者の間で合意することです。不十分な会議とは,結局,アクション項目が不明確だったり,担当責任者が曖昧なままで解散してしまう会議のことなのです。

議事録のつくり方

会議の終了後に,必ずチェアマンは「議事録(打合せメモ)」を作成して配布するようにします。これは,後になって,「言った」「言わない」の水掛け論による時間浪費を避けるためにも,組織内で習慣づけてください。チェアマンに時間がとれないときは,作成者を代わりに指名します。打合せメモは,簡単でも良いから,1日以内に作成することが秘訣です。私の知っている有能なプロマネは,たいてい,その日のうちか翌日に,要点だけを簡単な箇条書きにしてメールで送ってきます。また,こうした習慣があるかないかで,逆に相手のプロジェクト能力をはかれます。

打合せメモ(議事録)のサンプルを図1に示します。形式やレイアウトにこだわる必要はありませんが,この図にあげられた項目は必須だと理解してください。すなわち,

①案件名称,日時・場所,整理番号
②テーマ
③出席者
④議題・議事内容および結論
⑤今後必要なアクション内容,責任者,期日
⑥配布資料
⑦作成日,文責,承認印,議事録の配布先

図1 打合せメモ(議事録)をつくる

図1 打合せメモ(議事録)をつくる

なお,受託プロジェクトにおける客先との会議では,必ず相手側の承認の印かサインをもらうようにすべきでしょう(これが⑦の承認印の欄です)。このようにすると,議事録は,契約書の内容を補足する,一種の拘束力を持ちうるようになります。客先も無責任な発言はできなくなります。

著者プロフィール

佐藤知一(さとうともいち)

プロジェクト・アナリスト。エンジニアリング会社に勤務し,国内外の製造業向けの工場設計および生産システムづくりに従事するかたわら,執筆・講演活動などを行っている。専門はプロジェクトマネジメント・スケジューリング・生産計画・リスク分析など。海外におけるプロジェクト事情にも詳しい。

URLhttp://www2.odn.ne.jp/scheduling/

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