Drastic? Dramatic? Tumblr!!
第2回 Tumblrを覗いてみよう―Tumblrのおもしろさ・楽しみ方
B面:「意見未満,判断以前」のキャプチャツールとしてのTumblr/中野宗
ぼくが担当するB面では主に,すでにTumblrを使っている人や,TumblrのWebサービスとしての新しさに注目している人たちをターゲットとして,その魅力をいろいろな視点から解き明かしていきたいと思います。Tumblr界隈で交わされているメタな議論なども効果的に引用しながら,進めていくつもりです。
ライフログ,ライフストリームとしてのTumblr
2005年ぐらいに話題になった,MicrosoftのR&D機関であるMicrosoft ResearchがやっているMyLifeBits Projectを知っていますか? 人が日々の生活で行う活動を極力デジタルデータとして残してみるという「ライフログ」的な研究開発プロジェクトです。最近また新聞で紹介されていたのですが,その記事でGordon Bell氏が語っていたところでは,人間が一生かかって紡ぎ出すデータ量は約3Tバイトだそうです。
ぼくたちは日々インターネットやPCを活用しながら,さまざまなデータを受け取り,加工・生成し,またアウトプットするという作業をしています。それらの集成を「ライフログ」だと見なすこともできます。また,時系列的にそれらのデータが流れていく姿を見れば「ライフストリーム」だということもできます。
- Tumblr, a different way to blog ≪ melange
- > The Tumblr definition is simple: if blogs are journals, tumblelogs are scrapbooks.
このブログ記事のように「Tumblrはスクラップブックだ」という人もよくいるのですが,無秩序に膨大なデータが積み重なる自分のTumblrのページを眺めると,むしろ「ストリーム」と呼ぶ方がふさわしいと思います。最近流行りの「Social Graph(ソーシャルグラフ)」になぞらえるなら,“Personal Graph(パーソナルグラフ)”の一端としての情報収集の一部始終を,生ログに近いかたちでオープンにしているということです。
敷居が下がると見えなかったものが浮かび上がる
最近のWebの先端では,このように「情報収集のための敷居を下げる」,そうすることで「人のこれまで見えなかったアクティビティを表出させる」というトライアルが同時多発的に起こってきているように感じます。
たとえば,最近TechCrunchで紹介された「WebMynd」。これはFirefoxのプラグインとして動き,ユーザがブラウズしたWebのデータをローカル(一部はWebMyndのサーバ上)に残し,後から検索もできるというサービスです。
また,もう1つは「ControlC」。これは,クライアントアプリをインストールしておくとユーザがPCでコピー(Ctrl+C)した内容がサービス上に送信され,公開設定にしておけばコメントを受け付けたりできるというサービスです(ぼく自身使ってみましたが,現時点で日本語は化けるようです)。
Tumblrも含めてこれらのサービスに共通しているのは,情報収集のための手間をできるだけ低減し,クリップされたものをそのまま行動ログやストリームとして表現することを実現している点でしょう(WebMyndの場合はソーシャル性はありませんが)。
余談ですが,TechCrunchのWebMynd紹介記事にある「高い検索能力さえあれば,個別のページをいちいちブックマークしたりタグ付けしたりする必要はない」というフレーズは,これまでのWebでの情報収集スタイルへのアンチテーゼとして刺激的だとは思いませんか。
面倒を解消すると質的な変化が起きる
ちょっとTwitterで見かけた気の利いたフレーズを引用してみます。
- Twitter / jinon: めんどくさがりだけど世界(情報)に興味がある人々の心を...
- > めんどくさがりだけど世界(情報)に興味がある人々の心をつかんだ。
これは2007年11月のjinon氏のつぶやきですが,前段を補うとすれば,おそらく「TwitterやTumblrは…」ということになるでしょう。
Webのアーリーアダプターは,ある意味極端な「めんどうくさがり」で,一般の人から見れば取るに足らないレベルの効率化やショートカットの実現に熱中するように見えます。でもそれは彼らが,(Webでは,あるいはWeb以外であっても)ほんの少しの改善が「経験の質」や「気持ちよさ」を劇的に変えてしまうことを知っているからかもしれません。
たとえばブックマークレットは,その登場以前に比べるとWebの使い勝手を格段に向上させたはずですが,Tumblrにはそれをさらに超えるTomblooなどのユーザスクリプト群があります。
ぼくたちがブログを書いたり,mixi日記を書いたり,人のブログにコメントをつけたり,またdel.icio.usに投稿するためにタグや要約を付けたりするのには,相応のエネルギーが要ります。しかしTumblrでは,ツールの使いやすさが,こうした熟考・推敲・配慮・儀礼などの障害物を吹き飛ばすブレークスルーとなりました。
解釈できかけ,判断未満,「!」や「!?」を感じたもの,「;^)」や「:'<」を付けたいものといった,これまでマージナルな領域にあったり,無意識に表明をためらっていたような関心ごとに至るまで,「ついうっかり」クリップすることができるようになったのです。
TumblrはWebの「!」キャプチャ装置?
Webとは無関係ですが,デジタルカメラの世界では,最近いろいろおもしろいギミックによる差別化が図られているようですね。「写真を撮る」という行為そのものを見直すようなおもしろいアプローチがいろいろあるようですが,なかでもカメラが被写体の笑顔を認識すると自動的にシャッターを切るという,ソニーCyber-Shotの「スマイルシャッター」機能などはとてもおもしろいと思います。
スマイルシャッターを知って,Webでこのようなアプローチをやるならどういうやり方が考えられるかをちょっと夢想してみたのですが,思うにTumblrは,自分の「!」をほぼ直感的に,コンマ数秒以下のアクションでキャプチャできるという点で,イイ線までは来ているはずです。
次回は,「個人の情報収集ツール」としてのTumblrの可能性を,もう少し追いかけます。
Drastic? Dramatic? Tumblr!!
- 第5回 FirefoxでTumblrをパワーアップ/ソーシャルメディアの価値を高めるReBlog
- 第4回 Tumblrの世界にハマる―ReBlogの使い方とソーシャルネットワークの活用
- 第3回 Tumblrの世界にハマる
- 第2回 Tumblrを覗いてみよう―Tumblrのおもしろさ・楽しみ方
- 第1回 著者が感じるTumblrの魅力
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PAGE 2008『(Web制作をはじめる前に知っておきたい)インターネット時代の情報収集術』フォローアップ情報
PAGE 2008 Adobeクロスメディアコーナーの(Web制作をはじめる前に...
Tracked : #1 DTP Transit (2008/02/09, 12:24)


