2007年のOSS

2007年のPlamo Linux

Plamo Linuxとは

SD誌の執筆経験者として今回のコラムを任されたPlamo Linuxというマイナーディストリビューションのまとめ役をやっているこじまみつひろと申します。Plamo Linuxは、初期のLinuxディストリビューションの代表であったSlackware Linuxを元にした、過度な自動化よりもシンプルな見通しの良さを大事にしているディストリビューションです。

開発から10年が経過

思い返せば、会社の夏休みの間アパートに籠ってSlackwareの日本語化を始めたのが1997年ですから、Plamo Linuxに関わりだしてから今年で早くも10年の月日が経つことになります。

当時はVMwareのような便利な環境もなく、CD-Rライターやメディアも高価で、インストーラを少し修正してはテスト用に再起動し、動作状況をできるだけメモしたら、元の環境で再起動して再度修正し…、といったことを何十回となく繰り返したことを思い出します。

それから約10年、最近のLinuxはずいぶん簡単にインストールでき、インストール直後からWindowsなどの商用OSと比べても遜色なく使えるようになるまで進歩してきました。もちろんその進歩を否定するつもりはありませんが、自動化や省力化のためのさまざまな仕組みを組み込むことで、中身が全て見えることが魅力だったOSSのシステムがややブラックボックス化しつつあるようにも感じます。

OSSの魅力

ユーザの裾野を広げるためには自動化・省力化を進めることは必要なことでしょう。しかし、OSSの魅力はあらかじめ用意された御仕着せの環境を使うところではなく、自分の環境は自分で自由に作りあげることができるところにあるように思います。20年近く前、慣れない英文を読みながら設定ファイルをあれこれ修正してビルドを繰り返し、ようやくEmacsやgccが使えるようになった瞬間、また、幾晩かを費やしながらmake WorldしたX Window Systemが動いた瞬間、そのときの感動が私を今もOSSに関わらせている原動力という気がします。

そのときに感じた感動を、ネットニュースやメーリングリストで先達に教わった経験を、少しでも次の世代に伝えることができれば、と浅学非才を顧みずPlamo Linuxというディストリビューションの開発を続けています。

Plamo Linuxのこれから

ここ数年、新設の専門職大学院で教鞭を取ることになったためPlamo Linuxの開発はやや停滞気味でしたが、大学院の仕事もこの春で一段落することになり、2006年末にはようやく64ビットCPUのマシン(Athlon64x2)を導入することもできました。2007年はこのマシンを使うための64ビット版を含めたPlamo 5.0を早い時期にリリースすることを目標に開発を進めていく予定ですので興味ある人はお付き合いくださいませ。

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