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Googleを支える技術 ……巨大システムの内側の世界

はじめに

「はじめに」『Googleを支える技術 ……巨大システムの内側の世界』、p.v~viより転載
西田圭介

日頃のWeb検索のために,あるいはメールや地図を見るために,Googleは毎日の生活の中でなくてはならないものとなってきました。Googleの便利なWebサービスについてはすでにあちこちで紹介されていますが,それらが「どのようにして作られているか」という話に興味を持たれる人も多いのではないでしょうか。

Googleの内側の世界はその多くが秘密に包まれており,私たち外の人間からはうかがい知ることのできないものです。それでもなお,何万ものコンピュータをどう動かすかといった普遍的な技術については,Googleのエンジニアが発表している論文などを通じて,その一部を知ることが可能です。

本書では,Googleから発表されている各種の技術をわかりやすく解説することで,Googleという巨大システムについての理解を広げることを目指しています。本書で紹介する技術はどれも私たちには直接触れることのできないものばかりですが,「世界最大のコンピュータ」ともいわれるGoogleのしくみを学ぶことは,ただそれだけで興味深いものです。

本書は大きく分けて4つのパートから構成されます。第1章では,Web検索エンジンの基本的なしくみについて,1998年頃の「初代Google」を参考にしながら説明しています。第1章は,なるべく多くの人に理解してもらえるよう努めており,以降の各章の基礎となる部分ですので,ひととおり目を通していただけたらと思います。

第2章から第4章までは,現在のGoogleを支える大規模な分散システムについて解説します。これらの章では,Googleが「多数のコンピュータをどのように扱うか」というシステム面について,そのソフトウェアのしくみや障害対策,性能といった点から解説を試みています。

第5章ではうって変わって,「大規模システムのコスト」という側面からGoogleの取り組みについて見ていきます。Googleほどのシステムでは何にどのようなコストが必要であり,それを削減するためにどういった工夫が行われているかを,おもにハードウェアと電力の点から解説します。

最後に第6章では,Googleにおけるシステムの開発体制について取り上げます。有名な20%ルールをはじめとして,開発者の仕事の進め方や物事の考え方を紹介し,「世界規模のWebシステムが作り出される原動力」について考えます。また,開発者が使っている開発ツールやテスト方法についても紹介します。

本書は,情報系の大学3年生程度の予備知識で読み進められることを目指しており,あまりに専門的な内容については踏み込んでいません。それでもコンピュータについての数多くの専門用語が出てきますが,それこそ「ググって」みれば何でもわかる時代です。本書は誰よりも,これから情報処理の世界に入ろうとする若い学生に読んでもらえたらと思っています。

いま,情報処理の分野は一つの変革を迎えようとしています。Googleをはじめとして,MicrosoftやYahoo!といった大手IT企業が次々と巨大なデータセンターを建設しており,膨大な量のデータ処理がそこに集まりつつあります。そこで用いられるであろうと考えられるのが,本書で紹介するような大規模な分散情報処理のための技術です。

私たちが日常的に利用するコンピュータとはまったく異なるスケールで動作するGoogleの巨大システム。そのしくみを一つ一つ見ていったとき,筆者ははじめてOSやデータベースについて学んだときのようなわくわくする気持ちを覚えました。本書を通して,皆さんもそうした気持ちを感じていただけたなら幸いです。

2008年2月
西田 圭介

著者プロフィール

西田圭介(にしだけいすけ)

COBOLコンパイラからVPNサーバ,ドライバ開発からWebアプリまで,必要とあらば何でも手掛けるフリーエンジニア。IPAの平成14年度未踏ユースにおけるスーパークリエータ。

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