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オンラインゲームを支える技術 ―壮大なプレイ空間の舞台裏

本書について

2011年1月、AppleのApp Storeのアプリ販売本数がついに100億本を超えました。そして、GoogleのAndroid MarketやChrome Web Store、Amazon Appstore(AmazonのAndroidアプリマーケット、原稿執筆時点でオープン日は未定)、仮想通貨システムであるFacebook Credits(Facebookポイント)、ゲーム業界発オンラインゲームプラットフォームであるValve SoftwareのSteamなど、汎用オペレーティングシステム向けのアプリストアや決済システム、ゲーム配信のしくみが軒並み出揃い、正式オープンを迎えたもののすべてが爆発的な伸びを示しています。

どのアプリストアにおいても、最もダウンロード数が多いのは「ゲーム」(Game)のカテゴリで、販売本数の半分以上をゲームが占めることもあります。Facebookに至っては売り上げのほとんどをゲームが占めていると言います。現在、とりわけスマートフォンやPCにおいては、飛び切り豪華な3Dゲームや濃密な体験ができる対戦ゲームでさえも10ドル以下で楽しめるほど安価になりました。数年後には、数百億、数千億というゲームがダウンロードされることになるでしょう。ゲームは世界中で「みんなで何かに没頭し、楽しい時間を過ごしたい」という人間の基本的な欲求を満たすための極めて安価な実現手段として、主要な位置を占めるようになったのです。

こうしたゲームのほとんどすべてが、何らかの通信機能を備え、よりリアルタイムに、より美しく、より大きなデータベースを活用し、より高度なアルゴリズムを使う方向へと発達し続けています。

一方で、市場規模の拡大に伴って、種々のゲームの作り方にも注目が集まっています。ところが、一口にゲームと言っても、紙くずを投げる一人用のiPhoneゲーム『Paper Toss』と、リアルタイムかつ大規模なオンラインユーザを扱う『World of Warcraft』とでは、まったく異なる開発手法が必要とされる現実があります。「車両」に喩えるならば、自転車と新幹線ほどの違いがあるのです。開発費も売り上げも数万倍以上の開きがあり、実現に求められる知識も大きく異なっています。結果、「リアルタイムかつ大規模なオンラインユーザ」に対応したゲームを開発/運営できるのは、ごく一握りの人材を擁する大きな資本を持つ企業に限られる状況になっています。一方、Webサービスならば、開発者個人で数十万人のユーザを抱えるサービスを展開できます。両者にこのような差が生まれる原因の一つとして、この種のゲーム開発に必要な知識が十分に共有されていないことがあるのではないでしょうか。

本書では、リアルタイムな通信を行い、通信量も多いマルチプレイヤータイプのゲーム開発に焦点を当て、一般的なスキルを持つプログラマが自分一人で、高額なミドルウェアや特殊な開発環境を利用せず、オンラインゲームをゼロから作り上げるために役立つ基礎知識を徹底解説します。典型的なコード例も、C/S MMOゲームとP2P MOゲームの2パターンを盛り込みました。合わせて、ゲームの運営やインフラに関する話題も紹介し、オンラインゲーム開発技術の全貌を俯瞰できるようになっています。本書の解説内容はプログラマ向けが中心となっていますが、オンラインゲームを取り巻く技術の全体を概観できるという点で、オンラインゲームビジネスに参入しようとしているゲームプロデューサや企業経営者など、広くオンラインゲームに関心のある方々にとっても参考になるでしょう。

大企業だけでなく個人や小さな独立系企業が多くのオンラインゲームを制作できるようになり、アイデアに溢れるオンラインゲームがどんどんと出てくる世の中になればと願っています。

2011年2月 中嶋 謙互

著者プロフィール

中嶋謙互(なかじまけんご)

小学生の時からゲームプログラミングを始め,大学入学後ゲーム制作を開始。1996年,世界初のJavaアプレットを用いたMMORPGを制作し,1998年にはその続編『Lifestorm』シリーズをWindowsで発売し,ヒット。2001年にはオンラインゲーム用ミドルウェアVCEを開発し,独自に開発した「gumonji」を含めて約50社で利用される。現在は2児の父として仕事と子育てに明け暮れる日々を送る。

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