チョコレート工場
弾:はてなを外から見ていると、「標準」をやってくれる人はどこにいるの?という感じがするんですよ。「あれおもしろいから俺がやる」っていうのは見えるんですけれど、残っちゃったけどなんとか片付けないといけないプログラムっていうのは誰が片付けているんですか?
淳也:そういうのが得意な人も結構いるので。
令子:ウンパルンパ[1]がいるんです。そういう人たちが集まって打ち合わせをするのを、「ウンパルンパ部会」って言ってるんです。
淳也:本当にすごいですよ、彼らの働きは。だから、実質はてなダイアリーとかでかいサイトを支えているのはやっぱりそういう人たちなんです。
弾:そうか。はてなのチョコレート工場なんですね。
行動を起こすこと
弾:はてなはものづくりの会社というふうに近藤さんもみなさんも仰っていますけれど、はてなにとってのオリジナリティって何でしょう?
淳也:オリジナリティは自分たちで考えるって言うところにしかないかなという気はします。
弾:自分たちで考えるというその「自分たち」はどこまでを指すのでしょうか?
淳也:まず、コード書いている人っていうか、社員じゃないですかね。
弾:せっかくはてなダイアリーもやっているわけですから、そのユーザの意見をも「我々の意見」として捉えるとか。
淳也:もちろんその方向にはずいぶんと来ているので、そういう意味では社内の意見もユーザの意見も含めてという感じですけれど。
弾:よく思うんですけれど、考えれば考えるほど、世の中の別の誰かがもっとエレガントな方法でそれを考えてるんじゃないかって思うことあります?
淳也:ありますあります。
弾:そういった意見についてはどう思います? こういう人もいるわけですよ。なんだよ「はてブ[2]」ってdel.icio.usの真似かよみたいな。
淳也:思いついた瞬間で比べるとそうかもしれないですけれど、行動を起こしたほうにどんどん情報はついてくるじゃないですか。だから最初はもっといろんな素晴らしいことを考えている人がいたとしても、行動をちゃんと起こしておけばいいのかなと思います。
弾:やった者勝ちと。
淳也:はい。
本当にいいもの
淳也:自分たちの頭でいつも考えて行動している限りは、クローン軍団には絶対にできないということがやれ続けると思うんですよ。なので、最後は人のモノマネじゃなくて、自分たちで本当にいいと思うものは何なのかということをきちんと認識して、社内でちゃんとそれを人と議論ができるようにするっていうのはすごく重要視しています。そこで本当にいいんだということを、みんなでちゃんと突き詰めて話し合ったものを作り続けている限りは、ちょっとやそっとでは抜かれないんじゃないかなと思いたいです。もう1つ、気をつけているというか大事なのは多様性で、同じような人、考えが似ている人が(社内に)多いかもしれないので、いろんな考えをして、その力関係で引っ張り合ってるというか、そういうことがいい状態で保たれているようにしていきたいと思います。
弾:Devil's Advocateっていうやつですね。英語ではわざと正反対のことを言う係の人を、パネルディスカッションとかには置くじゃないですか。
令子:伊藤直也[3]が入社したときにはかなり彼の持ってきたものとか資質とかと、近藤がぶつかり合ったりとかして、いっとき、たいへんだったこともあるんですが、結果的に、今それがすごくはてなにプラスになっているので、またそういうことが起こればいいなと思っています。弾さんがうちに来てくださることもありじゃないかなと(笑)。
弾:考えてみます(笑)。今のひと言で何か令子さんのすごさがわかりました。