菊地 誠さんは,NECのプロジェクト管理システム「ProcessDirector」の開発と保守,そして販売促進を担当されています。ひと言でプロジェクト管理といっても,そのカバーする範囲は広く,これをサポートするソフトウェアも当然ながら非常に多くの機能をもち,それらを把握するだけでも大変です。今回のインタビューで,菊地さんにその複雑なシステムのエッセンスについても伺いましたが,実は,菊地さんがこの製品の担当になったのは,つい最近のことなのです。
ProcessDirectorの担当になったのは去年(2007年)の10月からです。その前は,ある業種の企業向けのアプリケーション開発を,システムエンジニアとして15~16年くらいずっとやってきました。規模的には,小規模から大規模のプロジェクトで,完全受注の仕事です。入社して最初の5~6年はプログラマをやって,それから徐々に上流工程に移り,後半はプロジェクトリーダーとして,プロジェクト管理をやっていました。
プログラミングが学生のころから好きで,ソフトウェアの世界に入ったのですが,会社に入って実際にプログラミングをやっていた時期はそんなに長くありません。作ったのはOAシステムのフロント側,端末側のシステムです。お客様が実際に画面で見る部分,そこをずっと担当していました。
受け身では仕事にならない─製品開発の世界
- 傍目に見ると,技術者として順調にキャリアを積んで来られたように見える菊地さんですが,入社してから初めての大きな転換で,不安やとまどいはないのでしょうか?
セクション的にまったく違うところに移ったので,普通だったら別会社に変わったくらいのインパクトはあります。ただ,仕事の内容としては似ている部分が結構あるので,とまどいは少なかったですね。新しい職場になったからといって,自分の中ではそれほど変わってはいないんです。基本的にはソフトウェアの開発という点で同じですから。
ただ,ソフトウェアを開発するという点では同じですが,やはりSEと製品開発とでは仕事を進めるうえでの難しさの違いというのはあります。前は特定のユーザ向けにシステムを考えればよかったのが,今は複数のユーザを同時に見なければいけない。つまり製品開発の難しさは「お客様の顔が見えにくい」という点ですね。お客様のニーズをうまく引き出して,製品に乗せて,いかに売れる製品を作っていくかというところが難しい。
忙しさについては,前の職場のほうが波がありますね。開発のピークみたいなのがありましたから。ただ,その波は1つではなくて,1つの山が去ったら次の山が来るといった形で重なっているんです。SEは「人=コスト」なので,1つの作業が終わらないうちに次の作業を入れないとやっていけないんです。現在の職場に移ってからは,1本の製品に関して,ある日はお客様のお話を聞いたり,次の日は開発に入ったりといった形で,まったく違うやり方になりました。
仕事はどちらも楽しいですよ。前の職場では大変で嫌だと思った時期もあったのですが,よく思い出してみると,無理にでもストレスを解消しようとしているんです。朝4時に終わって,そのあと築地に食べに行ったり(笑),それなりに楽しかったかなと今では思いますね。もちろん,今がまったく大変ではないということではありません。また,そういう大変な経験があって鍛えられている面や,得たものも大きい。だから若い人は,むしろ大変なプロジェクトをやっておいたほうが良いと思います(笑)。これも,職場を移って比較して考えることができたから言えることなのですが。
あと変わったことと言えば,最近は販売促進としてお客様のところに行ったり展示会に出たりしているのですが,そうしてお客様の生の声を聞いて感触をつかまないと,うまくニーズを製品に反映できないところがあります。開発者としても内に閉じこもっていないで,どんどん外に出て行かなければいけない。
つまり,今の仕事では機会を作らなければいけないんです。展示会やお客様の引き合いが来たときというのはひとつの機会なのですが,「向こうが何か言ってこなければ聞かない」といった受け身の姿勢でいると,そういうニーズは吸い上げられないんです。だから展示会に出て行っても,少しでも興味を持っていただいたお客様には積極的に声をかけていきます。これには営業的なスキルが必要となりますね。
