Evernote Corporationは2011年4月20日、同社のマルチプラットフォーム対応記憶拡張サービス「Evernote」に関して、いくつかの発表を行った。
Evernote CEO Phil Libin氏、来日
今回の発表にあたり、アメリカよりEvernote CEOのPhil Libin氏が来日した。
Phil氏は、新発表を行う前に「5年前と今の違いを5つ述べます」と前置きし、
- App Stores
- クラウドサービス
- オープンソースのインフラ
- ソーシャルメディア
- フリーミアムの経済
の5つの存在を紹介した。Phil氏は、これら5つをはじめとした技術、概念により、「
Geek Meritocracy」が成立し、良い物、素晴らしい物をつくる環境が整ったと言う。そして「Geek Meritocracyがなければ、FacebookもDropboxも生まれなかったでしょう」と述べた上で、「集中しなければいけないことに集中できる時代になり、この考え方こそ日本の企業の強みです」と紹介した。そして、今回の発表内容につなげた。
ユーザ増に伴うトラフィック負荷増に対応するためにバックボーンを強化
まずはじめに、急激に増加するユーザ増、それに伴うトラフィック負荷の増加に対応するために、本社データセンターと各地域をつなぐネットワークプロバイダーとして、NTTコミュニケーションズの在米現地法人 NTTアメリカを採用し、NTTコミュニケーションズの「グローバルIPネットワークサービス」の利用を開始したことを発表した。選択理由として、「高い信頼性、そしてアメリカと日本をつなぐネットワークの中でもトップクラスのパフォーマンスが期待できるから」(Phil氏)とのこと。
現在、Evernoteのユーザ数は全世界で870万人を超え、昨年の260万人という数字と比較すると約3倍となっている。日本国内についても150万人を超えており、アメリカについで2番目の規模となったとのこと。また、1日の利用回数についても、1年間で4,200万回から1億4,500万回と、1億回/日以上のトラフィック増となったそうだ。
スマートフォン戦略として「Evernote for Android」をアップデート
さらに同日、スマートフォン戦略の一環として「Evernote for Android」を大幅に機能強化し、アップデート版を公開した。
今回のアップデートでは、
- 共有機能
- 整理分類機能
- テキスト編集機能
- セキュリティオプション
- ビューおよびウィジェットの一新
などの改善が行われた。
たとえば、共有機能の改善では、もともと実装されている、他のユーザが共有したノートブックを
自分のアカウントにリンクできる機能に関して、Android版上でそのノートブックの閲覧・編集が行えるようになった。
この他、Android端末からのFacebook、Twitter連携の強化、ノートブック内のノート検索と作成など、より実用的な機能が改善された。
また、スマートフォンならではという点では、地図と位置情報の取得と記録が行えたり、プレミアム会員向け新機能としてPIN(暗証番号)によるロックが行えるようになっている。
Evernoteと連携したサービスも多数登場
また、株式会社キングジムの「SHOT NOTE」、ぺんてる株式会社の「airpenPocket」、昨日発表され6月に提供されることになった株式会社内田洋行の「書撮りくん EN」、さらにWebサービスとの連携のケースとして、株式会社マピオンなどの事例も紹介された。
この他、同日付けで、株式会社ビジカ・ビジネスシステムが、Evernote経由によるカラー複合機のダイレクト操作が行えるソリューション「SHARP MFP for EVERNOTE」を発表した。
このように、Evernoteを通じ、さまざまなツール、アプリケーションが連携し、それぞれの利便性が高まっている。