SORACOM、グローバル対応SIMでHLRを使ったAPIによる回線管理、SMS送信機能を追加 ―SIM上で動く「SIMアプレット」チップ型SIMの提供も開始

2017年10月11日、⁠株)ソラコムは、同社のデータ通信プラットフォーム「SORACOM」に加入者管理機能(HLR)を実装し、これによる新機能を「グローバル向けAirSIM」利用者に提供することを発表した。グローバル向けAirSIMは同日より日本でも購入可能となった。

課金を含めたSIMのアクティブ/非アクティブをAPIで操作可能に

今回の発表の最も大きなポイントは、これまでSIM発行元の通信キャリア(MNO)がもっていた加入者管理機能(HLR:Home Location Register)をSORACOMが独自実装することで、回線管理に関する機能をWebコンソール/APIを通じてユーザが利用できるようになった点。この機能を使って、ユーザはSIMのアクティブ化や休止、機能停止等をコントロールできるようになる。

HLRの実装
HLRの実装

この機能は、たとえば、製品にSIMを組み込んで販売する際に、販売前の在庫段階では通信料をかけたくない、といった要望に応えたもの。エンドユーザが使い始めたときに初めてSIMがアクティブとなるような設定も可能となった。

この機能に応じた新たな料金体系も発表された。新料金では、SIMを購入してから、アクティブにしない限り料金は無料となる。またエンドユーザが使用開始後も、長期間利用しない場合は「スタンバイ」状態にすることができ、この期間の利用料金も無料となる。新料金体系の初期費用は1回線(SIM)あたり5USD+送料、基本料金は0.06USD/日、スタンバイからアクティベーションする際に1回あたり1.8USDのアクティベーション料が必要。またスタンバイ状態で1年間以上経過すると別途更新料(1.8USD)が発生する。このほか通信料は、00.5USD/MB~⁠利用国によって変わる⁠⁠。詳しくはSORAGOMの料金案内を参照。

SIMのライフサイクル
SIMのライフサイクル

また、従来のSIMカードに加えて、組込み機器などで使用できるEmbeddedSIM(チップ型SIM)の提供も開始された。カード型よりも小さく(5mm×6mm⁠⁠、耐振動、衝撃等の堅牢性を求める場合や、SIMの取り外し防止にも利用可能。こちらは初期費用が1個あたり6USD(最少発注3,000個以上)となる。

チップSIM(中央)とSIMカードの比較
チップSIM(中央)とSIMカードの比較

SMSもAPIから操作/SMS送信データを直接クラウドに

今回の新料金プランのみの対応として、新たにAPI経由でプログラマブルにSMS(Short Message Services)を送信できる機能が提供開始された。SMSは、本来は携帯電話同士で簡易なテキストメッセージを送るしくみとして機能しており、IoTで利用するようなサーバ等と端末の通信を行うには別途対応するシステムが必要となる。今回提供されるSMS機能は、APIのコールによってSMSを送ることができるというもの。SORACOMで認証を行った当該SIMのアカウントが保有者のみが送信できるのでセキュリティも確保される。

SMS API
SMS API

SMS通信ではデータ通信セッションを起動することなくデータ送信可能なため、オーバーヘッド削減による省電力化、データ通信に対応していないデバイス/エリアでも動作するといった特徴がある。これらの特徴を活かした利用が期待されている。

また、IoTデバイスからデータ転送支援サービス「SORACOM Beam⁠⁠、クラウドリソースアダプタ「SORACOM Funnel⁠⁠、データ収集・蓄積サービス「SORACOM Harvest」などのサービスにSMSでデータを送ることができ、これらのサービス経由でユーザのサーバにデータを送信することも可能。SMSなのでデータ容量は1メッセージあたりバイナリフォーマットで140バイトまで。

「SIMアプレット」とは?

さらに、SIMに搭載されているJavaVM上で動かすことができる独自の「SIMアプレット」を提供、これによりSIMだけでさまざまな拡張機能を実行させることができる。

SIMアプレットのイメージ
SIMアプレットのイメージ

第1弾として、携帯電話キャリアやネットワーク情報の取得/送信を行う機能(SIM Local Infoレポート機能)をもったSIMアプレットが提供される。取得できる情報は接続地域のコード、コールID、データ通信の種類(3G/LTE等⁠⁠、IMEI(端末識別番号⁠⁠、電界情報、バッテリ容量等。これにより、たとえば車載機器が国境を越えた瞬間に別の通信キャリアに接続する(ローミングとは異なる)といったデータ通信の最適化等に利用できる。

SMS APIの機能は現在Public Bataとして提供されており。Public Betaリリース期間中の利用料は無料。

前日に行われた発表にて「IoTに関わるこれまでユーザが触れなかった部分までAPI、Webでコントロールできるようにしたい」と語るソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏
ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏
ソラコム
URL:https://soracom.jp/

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