PHPカンファレンス2011 スペシャルレポート

当日レポート[随時更新]

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David Zuelkeさん「Large-Scale Data Processing with Hadoop and PHP」

ドイツのミュンヘンから,Agaviの開発者であるDavid Zuelkeさんをお招きして,PHPからHadoopを使うための講演が行われました。

Facebookの1日当たりのログデータが,2008年3月には200GBだったものが,2009年4月には2TB,10月には4TB,2010年3月には12TBと爆発的に増えているというデータを示し,⁠例えば180GBのデータをディスクから読み取るだけでも45分かかる」⁠データ処理の速度は読み込みよりもずっと速い」という事実に基づいて,MapReduceとHadoopへと話を繋げていきます。

MapperとReducerの基本的な解説に続いてHDFS (Hadoop Distributed File System)を紹介し,⁠小さな問題として,Javaでコードを書かなくてはいけない」と話した後,自身が開発したHadooPHPを紹介しました。会場ではApacheのアクセスログの解析デモも行いました。

JavaのHadoopに比べ,HadooPHPはかなり遅いため,DavidさんはプロトタイプにはHadooPHPを使い,実運用にはJavaのHadoopを利用しているとの話でした。

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澤田径さん「アジャイル開発とTDDを半年間実践してみた顛末と、これから」

「以前はウォータフォール開発にどっぷりはまってた」と語る,半年前現在の会社に転職してPHPとアジャイル開発には携わるようになった澤田径さんの講演です。

アジャイル開発に興味を持ったきっかけは,開発期間が短く仕様変更が頻繁に発生するソーシャルアプリ開発では,ウォーターフォールでは無理だと感じたことだそうです。そして,社内勉強会などを企画し,自身も学びながら経験したアジャイル開発について紹介しました。

半年後の成果として,テストコードを書くエンジニアが0人から5人に増えたそうです。それによって,運用中アプリのデグレードが激減し,既存バグなども修正ができたそうです。また,仕様変更に柔軟に対応できるようになったようです。逆に現在の課題としては,TDDは自然に伝播していった結果,我流過ぎるやり方が発生していることを挙げました。

アジャイルを学ぶメリットとしては,より価値のあるソフトウェアづくりを求める普段の意思が伝わること,顧客の考える価値は常に変わる=仕様も常に変わる,という当たり前のことに気づけたことが大きいと澤田さんは語っていました。そして,今後組織的な成功を目指す人にお勧めしたいそうです。

TDDを学ぶべき理由としては,PHPerには特にTDDを実践している人が少ないおとが挙げられ,それが澤田さんは悔しいそうです。今後導入していくに当たっては,まず押し付けないこと,横文字が多発するが業務に合わせた形で翻訳して伝えることが重要であるとの考えを述べていました。また,学習コストを常に意識することが重要だそうです。

まとめとして以下2冊の本をお勧めされました。

  • アジャイルサムライ
  • アジャイルプラクティス

興味のある方は是非読んでみてはいかがでしょうか。

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yamashiroさん「PHPとテストとCIと私~愛するあなたのため~」

yamashiroさんよりTDDに関する講演です。

まず,ソフトウェアについては以下の3本柱があると紹介しました。

  • バージョン管理
  • テスティング→TDD
  • 自動化→CI→Jenkins

バージョン管理はyamashiroさんの会社に既に導入されていたらしく,テスティングの例としてEclipseを使用したテストのデモが行われました。自動化に関しては,CIツールの定番としてJenkinsを紹介しました。理由としては導入が簡単であること,日本人が開発していること,プラグインで拡張できることを挙げました。JenkinsはJava用とよく言われるそうですが,プラグインで実行可能だそうです。Jenkinsにプラグインを入れた状態で,PHPのコードをチェックした場合の表示に関するデモも行いました。

また,導入方法を説明しました。⁠普通感を出すことが重要」と言うことですが、まずは一人で始めてみることをお勧めしていました(Jenkinsは簡単に導入することができるので)⁠

yamashiroさんは非常にプレゼンテーション慣れした方で,爆笑の連続というとても楽しいセッションでした。筆者にそれを伝える文章力がないことを申し訳なく思います。最後にyamashiroさんが何度も取り上げていた書籍を紹介します。

  • レガシーコード改善ガイド

アジャイル開発の書籍と合わせて,興味のある方は是非読んでみてはいかがでしょうか。

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池田百合子さん「世界標準ウェブツール WordPress と PHP のすてきな関係」

WordPressには単体インストール型とそうでないものがありますが,今日は単体インストール型の話であることを説明しました。

WordPressの人気の秘訣は基本テーマに加えて,Twitter風,萌え風など,1400を超えるテーマと,入力フォームのプラグイン,携帯表示をするプラグイン,コードの色づけをするプラグインなどのたくさんのプラグインにあると言います。実に恵まれた周辺環境であると述べました。

続いて,WordPressの哲学が語られました。⁠テーマはPHPそのもので,PHPをヒラに書いている感覚で,スキンを生成できる。PHPの哲学に習う構成でつくられているので,突然echoしても大丈夫」⁠テンプレートはループも基本はPHPで書く」⁠ウィジェットはクラス。そっちのほうが使いやすいから」などを指摘します。このうちのいくつかは,セキュリティ的にまずいところがあるが,⁠使いやすさのために割り切っている」という哲学こそWordPressなのだと言います。

最後にWordPressの各種サイトを紹介しました。全体的に非常にテンポの良いトークでした。

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吉田悟さん「40コーディングからチューニングまで 早わかりZend Studio 8 日本語版」

Zend Studioは,ローカルでもリモートでもデバグができる統合開発環境と言います。プロファイル機能やユニットテスト支援,ドキュメント生成機能などの各種機能をれぞれを説明しました。

続いて,デモプログラミングを行いました。まずはDocがどのように反映されるのかをデモを通して示しました。非常に早くスムーズに表示されている様子を見ることができました。その後,ソースの整形やマジックナンバーの警告,他にも様々なリファクタリング機能のデモを行いました。そしてZendサーバーの接続する…というところで時間切れ。⁠もう少し聞きたいと思う方はZendに問い合わせてください!」と述べていました。

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著者プロフィール

春原宏保(すのはらひろやす)

長野市在住。C++とDelphiの仕事が続いていたが,この春からWindows Azureも手がけるようになった。仕事が一段落したら,Azure上でPHPを動かしてみたいと思っている。

URL:http://d.hatena.ne.jp/suno88/

Twitter:@suno88


戸井健吾(といけんご)

岡山県倉敷市在住。企業向けのシステム開発を担当する傍ら,最近仕事で使う機会が増えたPHPに強い関心を持ち,PHPで作成したサイトの運営を行っている。

URL:http://estpolis.com/

Twitter:@ktoi_chi


中村慎吾(なかむらしんご)

東京都港区在住。仕事でPHPを使うようになって7年。楽しい事には何でもやってみるスタイル。趣味はプログラミング,仕事もプログラミング。PHPのフレームワーク「Symfony」が大好きで,ユーザー会立ち上げにも参加。

URL:http://d.hatena.ne.jp/n416/

Twitter:@n416

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