PHP Matsuri 2011 レポート

PHP Matsuri 2011 セッション・ワークショップレポート

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10月15,16日の2日間にわたり,大阪市港区のホテルコスモスクエア国際交流センターにおいて,PHP Matsuri 2011 in Osakaが開催されました。2回に渡り,本イベントをレポートしていきます。まずは1日目に行われたセッション・ワークショップを中心に,イベントの模様をレポートします。

PHP Matsuri 2011

PHP Matsuriは,年に一度1泊2日で行われるPHPエンジニアの祭典です。昨年は東京で開催され,約70名のエンジニアが参加し熱い2日間を過ごしました。

第2回開催である今年は,PHPを中心にWEB系エンジニア約90名が参加し,24時間オープンしているイベント会場でゲストによるセッション,ワークショップなどが行われました。メインのイベントとなるハッカソンは夜通し行われ,2日目に開催されたLT大会では,41名もの方がハッカソンにおける成果を発表するなど,非常にエキサイティングな2日間でした。

暑い夜を共に過ごした仲間達の集合写真

暑い夜を共に過ごした仲間達の集合写真

安藤さん「ハッカソン入門」

PHP青年団長の安藤さん(@yando)より,開会の挨拶も兼ねて「ハッカソン」についての熱いセッションが繰り広げられました。

まず,米Yahoo!が主催したYahoo Open Hack Dayというイベントを例に,最新技術のセッションに見向きもせずにケーキを焼いていたチームがいたこと,ひたすらロボットを制作していた参加者がいたことなどを紹介しました。それらの例を通じ,"Hack"とは決してすごいことではなく,何かをしてアウトプットすればそれは"Hack"です,という意見を述べていました。

ハッカソンについての思いを語る安藤さん

ハッカソンについての思いを語る安藤さん

また,"The best way to prepare for life is to begin to live. (生きる準備ばかりして本当に人生を生きていない)"という言葉を取り上げ,とにかく何かをアウトプットすることが重要だということを参加者に伝えていました。

よしおかひろたかさん「ハッカー中心の企業文化を日本に根づかせる」

よしおかひろたかさんによる,ハッカー中心の企業文化の紹介と,それが必要な理由,日本で根付かせるためにはどうすべきかをテーマにしたセッションが行われました。冒頭の挨拶として,3月11日の震災後に行われたHack for Japanという活動や,ハッカーが持つスキルを震災復興に役立てるために行われているハッカソンを紹介されていたのが印象的でした。

PHP Matsuriの基調講演は去年に続き2度目

PHP Matsuriの基調講演は去年に続き2度目

まず,ご自身が大学を卒業してから約10年勤められ,エンジニアリング人生に大きな影響を与えたというDECの文化を例に,ハッカー中心の企業文化とはどういうものかについて紹介しました。

それによるとDECでは,googleの20%ルールのように業務時間の一部を業務外の作業にあてることが推奨されていたり,約30年前としては珍しく,すべての社内コンピュータが1つのネットワークに接続され,あらゆる情報が共有されていたそうです。それらの制度やシステムによって,あらゆる情報や価値観が共有されていった結果,管理より自主性を尊重し,なんでもやってみるといったハッカー中心の企業文化が実現されていたといいます。

次に,ハッカー中心の企業文化が必要な理由についての話に移ります。ここでは,ポールグレアムの「yahooに起きてしまったこと」というエッセイやTalent Trafficというインフォグラフィクスをもとに,ハイテク企業になろうとしなかったyahooに起きた人材流出などの出来事を紹介し,ハッカー中心の企業文化の必要性を説明しました。さらに,ご自身の考える理由として,ハッカー中心文化の方が自分が心地よいから,という前置きをしながらも「共通善」「企業の競争力」「ベストプラクティス」といった理由を挙げています。

そして,ハッカー中心の企業文化をどう日本に根付かせるかについて,まずはハッカー中心の企業文化の理解を広めること,インフォーマルな勉強会やランチ,飲み会などで暗黙知を継承すること,フォーマルな戦略,ガイドライン,ルールなどで形式知を継承すること,社内コミュニティを作ることを挙げ,特に社内コミュニティを形成する上で勉強会の開催は重要であると指摘しました。

最後に,「ハッカー中心の企業文化を日本に根付かせることで,エンジニアとして社会をよりよくしていきたい。それが自分が幸せになる道だと思っている」という言葉で締めくくられました。

増井雄一郎さん「JavascriptでiPhone/Androidアプリを作るTitanium Mobile」

Appcelerator社のプラットフォームエバンジェリストとして日本で活動している増井雄一郎さんによる,Titanium Mobileを紹介するセッションです。

Titanium Mobileとは,iPhone,AndroidをはじめとしてBlackberryやWindows Phoneなど非常に多くの種類があるスマートフォンにおいて,開発言語がバラバラである問題を解決するための,Javascriptでネイティブアプリを書くことができるツールだそうです。

Titanium Mobileで使われるJavascriptは,ブラウザで使うJavascirptとは若干の違いがあるそうですが,Javascriptを普段使っている技術者なら2,3時間のチュートリアルをこなすだけで違和感なく移行できるそうです。

PHP Matsuriでは初となるTitanium Mobileセッション

PHP Matsuriでは初となるTitanium Mobileセッション

開発言語がバラバラである問題を解決する手段としてはHTML5+CSSもありますが,Titanium MobileではHTML5では不可能なネイティブUIの使用や,ストアへのアップロード,GPSやカメラなどスマートフォンのネイティブな機能の使用が可能であるとしています。

このTitanium Mobileは,2011年10月現在で150万人の開発者と25000以上のアプリがマーケットに登録されているそうです。採用事例としては「ココログ」「サイボウズlive」などのツール系アプリを挙げた他,かなりのユーザー数を抱えるソーシャルアプリでも採用されているということを紹介しました。

また,Titanium Mobileが苦手とする分野も紹介しました。それによると,常にリアルタイム性を求められるようなシューティングゲームや,データの圧縮や展開などのビット処理を行うアプリ,メモリを大量に使うようなアプリはパフォーマンスや言語仕様などの理由で難しいそうです。

他にも,Titanium Studioというeclipseベースの統合開発環境がリリースされたので開発が容易になったことや,今後GUIによるインターフェースビルダーを正式にリリースする可能性があることなどを紹介しました。

次に,増井さんとAppcelerator社との出会いの話に移ります。増井さんは仕事でiPhoneアプリを開発していましたが,Androidアプリの依頼も増えてきたことなどを理由にTitanium Mobileを使い始めたそうです。その当時のTitanium Mobileは不安定であり,機能としても改善できる点が多くあったということで,あるイベントでAppcelerator社のメンバーに直接改善などを訴えたところ,イベント後もそういったやり取りが続き,一週間ぐらい後に直接フルタイムでのオファーが届いたとのこと。しかしながらビザの関係で一旦帰国しなければならなかったため,現在はプラットフォームエバンジェリストとして日本で活動をしていることがそうです。そのうちに日本でもTitanium Modileが利用されはじめたため,来年には日本法人を立ち上げることになり,増井さんもこのまま日本に留まらなければならないかもしれないということでした。

最後に,海外ではiPhoneアプリエンジニアのコストがかなり高いことや,自社のエンジニアに新しい言語を1から学ばせるコストが割に合わないため,サブスクリプション契約と呼ばれるサポートや開発支援が受け入れられやすいという事情を紹介しました。

質疑応答では,海外の会社の日本法人で働くことや,海外で働くことと日本で働くことの違いなど,増井さんの経験してきたワークスタイルについての質問が多く,参加者の興味を引いていました。

著者プロフィール

佐野宏英(さのひろひで)

神奈川県横浜市在住。18歳で参画した大手SIerによる大規模Java開発から2年で脱出して以来,CakePHPを使ったWEB開発を主に1人で行っている。尊敬する人物はよしおかひろたか氏。

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