Plone Symposium Tokyo 2015 参加レポート

第1回 Plone Symposium Tokyo 2015-Day 1:トークセッション編

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Guest Keynote "Learning from the Zope Ecosystem: Looking Back, Looking Forward"

昼休みのあと午後のセッションはTres Seaver氏のゲストキーノートからはじまりました。Tres氏はZope/Ploneコミュニティ現役最年長かつ大ベテランのメンバーです。このコミュニティ最大の貢献者の一人です。

はじめに,我々部族の話をしよう,ということで約20年のZopeの歴史を振り返りました。話をすることは部族のアイデンティティ,価値,コミュニティ意識を聞く者に伝えます。振り返りの中で,上手くいかなかったところ,例えばフレームワーク開発者が想定していない使い方をフレームワーク利用者たちがしてしまったこと(CMFDefault)⁠アイデンティティの危機としてZopeの起源は非プログラマ向けのシステムなのですが,ユーザはPythonプログラマなのか非プログラマなのかという問題や,Webブラウザ越し開発とファイルシステム上開発の問題,アプリケーションサーバなのかライブラリなのかフレームワークなのか,といった問題があったことが紹介されました。

また,Python 2の互換性を保ちながらPython 3に対応する(既に膨大なZopeコミュニティのコードのほとんどはPython 3に対応済)ことによる難しさ,Zopeコミュニティで作ってPythonで広く使われることになった道具(doctestやbuildout)が様々なバージョンのPythonを同時にサポートするコードを扱うのに都合が悪かったこと,また複数バージョンのPythonをサポートするためにコードが汚なくなってしまうことなどが話されました。しかし良いこともあって,新規のメンテナになってくれる人たちが増えたことも挙げられました。

写真3 Tres Seaver氏

写真3 Tres Seaver氏

キーノートの後半はスプリントの大切さについての話がありました。Zopeはオープンソース界でスプリントを取り入れた開発の先駆者としても知られていますが,zope.interfaceやi18n,l10nが2000年代のはじめにスプリントによって開発されたことが紹介されました。⁠スプリントは新しい参加者たちを助けて,教えてあげて,彼らがコミュニティに貢献できるようになるのが一番大事。自分のコードを書くだけならそれはスプリントではない。コミュニティが大事でスプリントはそういう場所である」と話されました。また人間関係の問題としてスプリントで実際に顔を合わせて同じ部屋で共に作業をすることは,その後のオンラインの共同作業にもとても良い効果があるそうです。この翌日にはスプリントが開催されたのですが,実際Tres氏はとても親切に色々とかなり基本的な質問も含めて参加者たちに教えてくれていました。

最後にこのコミュニティの未来について,午前のキーノートで紹介されたPlone 5がとても素晴しい出来になってきていることを挙げて,未来は明るいよというコメントで締め括られました。未来というのは他人事ではなくて現在の自分たちの行動にかかっているわけなので,開発者たちの頑張りによって良いものが出来上がってきているのはとても明るいニュースだと思いました。

各セッションのレポート

2つのキーノートの他には,Ploneについての講演トラックと,PythonのWeb技術についての講演トラックで,それぞれ4つの発表と1つのパネルディスカッションが行われました。ここではこれらの講演内容をまとめてお伝えします。

PloneとWordpress ~やってみたことわかったこと~

CMSツールとしても人気の高いWordpressは,Ploneと比較されることもあります。発表者である安田氏が過去に実践したサイト構築で,Wordpressを採用した場合とPloneを採用した場合の比較や,どのように使い分けているのかを,散布図などでわかりやすく紹介されていました。Ploneではコンテンツが複数の状態(ステータス)を持つ場合や,コンテンツ制作者や関連するユーザが多い場合での採用が多いようです。

写真4 安田善一郎氏

写真4 安田善一郎氏

Is Plone the Right Choice? - A View From Accessibility Perspective

AccSellメンバーで,視覚障害者の立場から各所でアクセシビリティについて語られている中根氏から,Ploneのアクセシビリティ対応について不足な点などの指摘を行っていただきました。中根氏はPloneを使うこともあり,コンテンツ管理や設定など概ねスクリーンリーダ(コンピュータの画面読上げソフトウェア)でできているそうですが,実際には余計な説明が入っていたりアクセスしにくい場所が存在するそうです。Ploneのリリースマネージャなどを前に,英語で直接語っていただき,Plone Foundationのメンバーも大きく感銘を受けていました。

写真5 Max NAKANE氏

写真5 Max NAKANE氏

余談ですが,翌日の開発Sprintでは,Plone Foundation PresidentのPaul氏と数時間に渡り問題点の指摘や具体的な方策についてディスカッションが行われ,すぐにGitHub Issueに挙げられていました。

著者プロフィール

寺田学(てらだまなぶ)

  • 株式会社CMSコミュニケーションズ 代表
  • 一般社団法人PyCon JP 代表理事。
  • Plone Foundation Ambassador
  • NVDA日本語チーム 監査

Zope/Ploneの専門家として,大学系・公共系などのCMSコンサルティングや構築を手がけている。Ploneコアコミッターとして,Plone 4の日本語検索部分を担当した。

共著書に,「Plone 4 Book」(Talpa-Tech Inc.),「10日でおぼえるPython入門教室」(翔泳社),「FFmpegで作る動画共有サイト」(毎日コミュニケーションズ)他がある。


清原弘貴(きよはらひろき)

 
  • 株式会社ビープラウド 所属
  • djangoproject.jp 管理者

Djangoが好きで,Webアプリケーションやライブラリを趣味/仕事で作ったりDjango本体のソースコードへパッチを送ったりしている。

Djangoの貢献者一覧に名前が載ってることが密かな誇り。

共著書に「Pythonプロフェッショナルプログラミング 第2版」(秀和システム),「Pythonエンジニア養成読本」(技術評論社)がある。


田原悠西(たはらゆうせい)

オープンソースERPのERP5開発者の一人。自由ソフトウェアが好き。


安田善一郎(やすだぜんいちろう)

  • シエルセラン合同会社 代表
  • 株式会社Suraface&Architecture 所属
  • 株式会社ニューロマジック 監査役

PloneをはじめMT,Wordpress,WebReleaseなどさまざまなCMSでサイト構築(企画IAディレクション含む)を手がける。UI/UXデザインのディレクションも。トライアスロン歴約5年だがずっとビギナー。

「Plone 4 Book」(Talpa-Tech Inc.)共著

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