「PyCon APAC 2016 in Korea」参加レポート

第1回 現地の様子とカンファレンス1日目 ~pandas開発者によるKeynote~

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PyCon JP スタッフのIan Lewis氏のセッション

こんにちは,塚本英成です。

ここからは筆者から見た1日目の注目セッションについて触れていきたいと思います。1日目のセッションのうちEnglish speakerのセッションは,⁠TensorFlow関連」⁠ ⁠asyncio / aiohttp関連」が多かった印象です。

TensorFlowといえばPyCon JPのファウンダー・スタッフでもあり, Google Cloud Platform Teamの開発者の Ian Lewis氏による「Deep Learning with Python & TensorFlow」というセッションがありました。

Deep learningは近年,研究分野にかぎらず広い領域で注目を集めていますが, 彼の発表はPythonistaのためのTensorFlow入門のような発表で, TensorFlow初心者の筆者にとって非常に有益な発表になりました。

また彼の発表中でPyCon JPが紹介され, 韓国のカンファレンス会場に大きく今年のPyCon JPのロゴが映し出されたのも, PyCon JP 2016のデザイナーである筆者としては印象的でした。

PyCon JP 2016のロゴが韓国でお披露目

PyCon JP 2016のロゴが韓国でお披露目

日本のアニメで盛り上がる会場

Tensorflow関連の内容でもうひとつ「Creating AI chat bot with Python 3 and TensorFlow」という発表が非常に特徴的でした。発表者のJeongkyu Shin氏がプロジェクターの出力テストを行った時,会場が湧きました。そこには「THE IDOLM@STER」という日本で有名なアニメのキャラクターが大きく映っていました。

内容は「アニメのセリフデータを教師データにし, TensorFlowとPythonを利用してChat botを作ろうとした」というもの。

セッションはかなりウィットに富んだ内容になっており,⁠僕が作りたいのは可愛い女の子のChat botだ」と強調したり, 実際にデモムービーでChat botが動いているところ,思ったような会話ができていないところを見せたりと, 場内のウケも上々でした。

ウケを抜きにしても,よりリアルなChat botを作るために,教師データにセリフとその時のキャラの感情を利用した点や, 韓国語のうまいレスポンスを返すためにさまざまなライブラリを利用して工夫をした点が興味深かったです。

セッションの後,Twitterを利用してやり取りをしていく中で実際にお話をさせてもらえる機会をいただき, 名刺交換などもさせていただき,日本のアニメの話で盛り上がったり, セッションの感想を伝えられたりと,韓国のスピーカーとの貴重な交流の機会となりました。

開発者自身によるaiohttpの紹介

asyncio/aiohttp関連では,PythonのCore Developerでもあり,aiohttpの開発者でもあるAndrew Svetlov氏の発表が印象的でした。タイトルは「AIOHTTP INTRODUCTION」⁠自身の開発するライブラリであるaiohttpの紹介でした。

Andrew Svetlov氏のセッション

Andrew Svetlov氏のセッション

Microserviceや各種WebAPIなどの利用が盛んになっていて, クライアントのみでなくサーバサイドでもhttpのリクエストを大量に発行するようになりました。大量のリクエストが必要だと,どうしてもパフォーマンス向上のため非同期処理や並列処理を行いたい場面が出てきます。

aiohttpでは,httpのリクエストを非同期で処理できるほか, 並列でhttpのリクエストを発行できたり,websocketのクライアントとしても使えます。更にサーバサイドとしてもhttpサーバや,websocketのサーバサイドとしても利用でき, 非常に多彩なライブラリでした。

非同期処理でネックになるのはデバッグやテストかと思いますが,テストのためのライブラリが用意されていたり,Debug Toolbarというブラウザでデバッグを行えるツールが用意されていたりして,開発もかなりやりやすくなっているようです。

非同期処理・並列処理で速度も早くなるaiohttpに注目です。発表資料にはここに書ききれないTipsなども載っているのでぜひご覧になってください。

台湾の有名なスピーカーによるセッション

English sessionの中でも,かなり毛色が異なっていた発表がありました。Mosky Liu氏の「Boost Maintainability」です。

Mosky Liu氏のセッション

Mosky Liu氏のセッション

彼女はアジア圏のPyConでは有名で,登壇経験も9回とかなり多いスピーカーです。以前のPyCon JPでも登壇しています。

発表内容は,変数名や処理順に気を配って保守性をあげようというもの。改めて公式がPEP 8のようなスタイルガイドを用意するPythonという言語の良さを実感できました。

次回は

第2回では,PyCon APAC 2016の2日目の様子をお届けします。2日目には筆者のライトニングトークやPyCon JPとPyCon Koreaのデザイナー同士の出会いなどがありました。第2回をお楽しみに!

著者プロフィール

芝田将(しばたまさし)

関西在住の学生プログラマ。Pythonが好きで,研究やWeb開発のアルバイトに使用。また趣味としてKobinFeedyなどのPythonのライブラリ・フレームワークを開発・公開している。 これまで日本・台湾・韓国のPyConに参加し,いずれもLightning Talkを行ってきた。

Twitter:@c_bata_
Github:@c-bata


塚本英成(つかもとひでなり)

千葉県在住,FULLER株式会社のデザイナー。前職がエンジニアであったバックグラウンドもあり,現在も趣味でPythonを利用している。 PyCon JP 2016のデザイナースタッフでもあり,PyCon JP 2016のデザイン・制作にも携わった。

Twitter:@denari01
Github:@denari

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