RubyKaigi2011 スペシャルレポート

日本Ruby会議2011 1日目レポート[更新終了]

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相澤歩さん「Issues of Enterprise Rubyist~SIerのなかのRubyistが考えるべきこと~」

RubyKaigi2011 実行委員の1人でもある相澤さんの発表です。相澤さんは,いわゆるSEとして働いているのですが,そんな中でRubyとの出会い,仕事場にRubyを持ち込むために行ったことを話しました。

そんな中で,具体的に紹介したいこととして,以下の2つを挙げました。

  • Rubyと出会って3年間で経験した課題
  • もし同じ境遇の人がいたら,考えてほしいこと

Ruby との出会い

当初,相澤さんはRubyという言語は知っていたけれど,エンタープライズで使うようなものだとは考えていなかったそうです。しかし,参加した Rails勉強会@Tokyo で,同じようなエンタープライズ領域でRubyを使っている,エンタープライズRubyistと出会ったことで,その考えを改めたと語します。

ここから実際にRubyを学ぶフェーズに入り,Rubyを実際に社内で広めるために,有志による分科会を作り,Rubyが使える仲間を増やしていったそうです。

続かなくなりそうなこともあったそうですが,個別にその要因に対処していくことで,今でも分科会は続き,Ruby技術者認定試験合格者が10人にものぼると述べました。

続かなくなりそうになった原因と,対応策について,以下のように話してくれました。

  • 興味本位でやったけど,忙しい
    • 短い時間で終わらせる。一回で完結するようなテーマにする。
  • 仕事に直接役に立たない
    • 日々の仕事をテーマに,具体的に役に立つお題を選ぶ
  • プログラミングに対してそこまで関心が高いわけではない
    • 「何ができるか」を伝える

Ruby を仕事で使う

「仕事での小さなスクリプトにRubyを利用していても,あくまで個人の範囲を越えない。コミュニティーのパワー等をビジネスの価値にできないだろうか?」という問いを2009年のRubyKaigiで角谷さんの発表の質疑応答でしたところ,⁠それは相澤さんの仕事なんじゃないでしょうか」と回答されたと振り返ります。

回答された直後は意味を飲み込めていなかったそうですが,数年後,どのように社内でRubyを案件に取り入れようかと,Rubyが案件にマッチするかを調べて,マッチしなければその他の最適なソリューションを選択するということをしていて,これは普段相澤さん自身の仕事として行っている,SEの仕事と変わりはないということに気がついたそうです。

最後に,⁠3年間に自分が経験した様々な課題がありました。あなたが経験する3年間にはあなたの課題がある。その答えを見つけるのは,あなたの仕事ではないでしょうか」という言葉で発表を締め括りました。

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軽量Ruby開発チーム「軽量Ruby」

経済産業省の地域イノベーション創出研究開発事業の一環である軽量Rubyの発表セッションです。

まず,福岡CSKの岡部さんより,プロジェクトの全体について紹介がありました。日本の組込みの業界には現在26万人の開発者がおり,高信頼性が求められる分野であることに触れ,⁠軽量Ruby」とは,そのような組込み開発にも適用できる改良された軽量なRubyを作成する研究開発であると紹介しました。組込み分野でRubyが使用できるようになることで,高品質,低コストという要求に対応できるようになることが目標だそうです。

軽量Rubyでは,コンパイラやライブラリ,仮想マシン(VM)を組込み開発向けに軽量にすることで,組込み開発にも耐えうるRubyにすることを目指していると話します。また,Rubyチップと呼ばれる,軽量Rubyが実行されるマイコン,リアルタイムOS, 軽量RubyのVMをFPGAにしたチップを作成することで,より安価で高速な機器を提供することも目指しているそうです。

軽量Rubyの今後として,7月末に最小の機能を実装したα版,9月末にβ版をリリースすることが予定されていることが告知されました。また,10月からはいくつかの企業での評価検証を検討しており,現在は,3社ほどの組込みメーカーで実施されることが決定されているそうです。この研究開発は2012年の3月に経産省のプロジェクトとしては終了するため,その後はオープンソースとして公開したいという構想を描いていると述べました。

続いて,軽量Rubyの開発者である,まつもとさんより軽量Rubyの実装について解説が行なわれました。

軽量Rubyは,CRubyとは以下のような大きな違いがあると言います。

  • RubyのVMとして新たに開発しているRiteVMを採用
  • コマンドは'ruby'ではなく'mruby'
  • 軽量RubyのためのCAPIにつくプレフィックスは'mrb_'

軽量Rubyは,CoreやMinimalと呼ばれる実行するために必要になる箇所についてはC99のみに依存するように書かれ,またRubyのJIS規格であるJIS X 3017にあたる箇所については,POSIX範囲内で実装されているため,高い移植性が実現されていると言及しました。

また,組込み分野ではリアルタイム性というのが重要になっていると語り,軽量Rubyでリアルタイム性を実現するために,CRubyのGCではなく,IncrementalGCやGenerationalGCが採用されていることを説明しました。

次に軽量Rubyの開発方針を紹介しました。軽量Rubyでは,コンパイラの機能や仮想マシンの機能,補助ツールをコンポーネント化することを目指しているそうです。コンポーネント化することで,必要な機能のみを組み合せた新しいRubyを作成できる(例えば,コンパイラ機能を外したevalの実行できないRuby等)と紹介し,⁠ナニスル?」というスライドを提示し発表を終了しました。

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著者プロフィール

KaigiFreaks レポート班

KaigiFreaksとは,会場に来れなかった人にも,雰囲気や内容を楽しんでもらえるように動画収録や配信を行うことをミッションに,RubyKaigi2008で結成された特別編成チーム。

RubyKaigi2009からはgihyo.jpを中心にテキストと写真で現場の様子を伝えるレポート班が加わり,現在のKaigiFreaksは配信班とレポート班の2班編成。


三村益隆(みむらみつたか)

(株)永和システムマネジメントサービスプロバイディング事業部所属。Asakusa.rb & Rails勉強会@tokyo。このところRailsのお仕事をしています。言語好き。

blog:http://d.hatena.ne.jp/takkan_m
twitter:http://twitter.com/takkanm


すがわらまさのり

ハンドルネームはsugamasao。

Mitaka.rb や 若手IT勉強会に参加しています。仕事では自社プロダクトのデーモンの開発あたりでRubyを使ったりしています。伊坂幸太郎さんと荒木飛呂彦さんが好きです。

blog:http://d.hatena.ne.jp/seiunsky/
twitter:https://twitter.com/sugamasao


小松崎典之(こまつざきのりゆき)

ハンドルネームはO-Show。

RubyKaigi2010に参加したことで触発されRubyistを自称するようになる。ブログでRubyやGit関連記事の翻訳をあげています。もっとRubyとGitの情報の流通増えろ!と願ってやまない。

blog:http://keijinsonyaban.blogspot.com/
twitter:http://twitter.com/oshow


菅井祐太朗(すがいゆうたろう)

仕事でも Ruby を使えたらいいなぁと考えている新社会人LOCAL 所属。この春からAsakusa.rbにjoin。

twitter:http://twitter.com/hokkai7go


赤松祐希(あかまつゆうき)

2010年よりRuby on RailsでのWebアプリケーションの開発を中心にフリーランスのRubyプログラマとして活動中。最近はHaskellに興味を持ち出し、勉強しはじめている。

blog:http://ukstudio.jp/
twitter:http://twitter.com/ukstudio

コメント

  • Seven Languages in Seven Weeks

    の監訳じゃないの?まつもとさん。
    ホントに執筆してたんだったらぼくの勘違いなのでゴメン。

    Commented : #1  maru (2011/07/17, 00:09)

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