YAPC::Asia Tokyo 2015 スペシャルレポート

YAPC::Asia Tokyo 2015 1日目レポート[更新終了]

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20日から22日までの3日間,東京ビッグサイト 会議棟にてYAPC::Asia Tokyo 2015が開催されています。本日は1日目。本稿では,この1日目の模様を随時レポートしていきます(注:すべてのセッションをレポートするわけではありません)。

本日の受付は会議棟7階でした。参加者の皆さんは開場前からたくさんの方がロビーで待っていました。

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Daisuke Makiさん「Opening」

オープニングの挨拶は,JPA director/YAPC::Asia 2015実行委員長の牧大輔さんです。この日を迎えられて感無量とのことです。なお前夜祭には,運営側の予想を超える500名の来場者がいたそうです。

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まず,会場の諸注意を話しました。トラックAの国際会議場では飲食禁止,その他トラックの会場では食事は禁止ですが,飲み物は気を付ければ飲んでも大丈夫とのことです。

また今回のイベントでは,英語のセッションは日本語への同時通訳があり,そのレシーバーが500個ほど用意していること。ベストトーク賞を決めるので,ぜひ投票してほしいこと。

昼食用の弁当が300個ほど用意してあり,ほしい人は6階までのこと。明日はランチセッションもあり,話を聞きながら豪華お弁当が食べられること。事前登録者のみですが懇親会が本日18時からあること。

……などを紹介し,問題があればアロハシャツを着てるスタッフまで尋ねてほしいと述べました。

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そして会場や同時翻訳,ネットワークなど,イベントを運営するにあたり今回もたくさんの各社スポンサー,個人スポンサーの協力があったこととについて感謝しました。

最後に,毎年恒例の「ブログを書くまでがYAPCです」について言及したうえで,YAPC::Asia Tokyo 2015を楽しんでくださいと話しました。

Larry Wallさん「メリークリスマス!」

2000年にPerl 6のプロジェクトを発表をしてから,Larryは度々体調を崩してきたそうです。Larryは「今日は"6"や".pl"の話を期待されていた方が多いと思いますが,"2"について話をします」と告げて本題に入りました。

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これまでのPerlの開発について,トールキンの著作に例えながら説明してくれました。Larry曰く,「Perl 5は『ホビットの冒険』のようで,Perl 6は『指輪物語』のようだ」とのことで,トールキンが続編を書くのに15年を費したのと同様にPerl 6もプロジェクトが開始してから15年経っている,と述懐しました。

Perl 5とPerl 6の違いについての話題にも2作品に例えつつ,正規表現を新しくしようとしたり,型システムの混乱を解消しようとしていることを述べられました。また,Perl 6はDSLのサポートが強力でありPerl 6では言語を自ら作っていくことができるとのことです。

コンピュータ言語の設計について,仲間が必要であり,何百人という人間が開発を手伝ってくれていることに感謝していました。

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Perl 6について,今年のクリスマスにリリースする予定であることを発表しました。約束できるほど確実ではないが,その予定で仲間と作業を進めている,とのことです。今年のクリスマスにリリースされるバージョンはPerl 6の全ての要件を満たしているわけではない,との注意もあり,それらについては後々のリリースに含んでいく予定である,とも述べられました。

最後に,Perl 6は失敗することを想定していたが後の言語設計者にとって役に立つ失敗ができた,と述べられ,今後のPerl 6やその先の開発も仲間たちとともに進めていきたいと締められました。

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Kelsey Hightowerさん「Managing Containers at Scale with CoreOS and Kubernetes」

DockerなどのLXC(Linux Containers)クラスタを管理する方法はいくつかありますが,CoreOS社のKelsey Hightower(@kelseyhightower)さんは,KubernetesによってCoreOS上のDockerコンテナ群を管理するうえでの考え方,基礎知識について発表し,具体的なクラスタ操作についてデモを行いました。

前半の発表部分では,従来のConfiguration管理においてはアプリケーションと実行ホストが結合していることの問題点を挙げ,アプリケーション管理を実行ホストから切り離すべきと述べました。その具体的な方法として,Kubernetesによるアプリケーション管理の方法が解説されました。

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後半のデモでは,KubernetesによるServiceの登録とディスカバリ,クラスタのスケールアウト,アプリケーションコンテナのローリングアップデート,トラブルシューティングなどが実演されました。

質疑応答では,コンテナが動作するノード(実行ホスト)の操作や,設定の動的更新,ストレージの取り扱いなどについて質問があり,デモも交えて回答されました。

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muddydixonさん「DeepLearning の前に知っておくことがある! 再帰型のニューラルネットワークや自己組織化マップについて語ろう」

IoTを対象としてデータ解析やデータ可視化を行っているmuddydixonさんによる,ニューラルネットワークや自己組織化マップの基礎についての発表です。

近年応用が進むDeep Learningを勉強する前に知っておいたほうがいいこと,ニューラルネットワークの動作原理や構造,歴史を解説する内容でした。

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muddydixonさんは以前,再帰的ニューラルネットワークと自己組織化マップを利用して,幼児が文法や語彙を獲得する際の認知的な機構を研究していたそうです。

再帰的ニューラルネットワークを使って語順が安定な言語(英語)と語順が不安定な言語(トルコ語)を学習させると,語順が安定な言語のほうが学習の速度が速いといった結果や,文末の予測精度が最初から高い,といった結果が得られたということでした。

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神経細胞が信号を伝える仕組みの説明から,パーセプトロンからDeep Learningに連なるニューラルネットワークの歴史の説明,教師あり学習と教師なし学習における学習の意味の違いなど,ニューラルネットワークの原理や仕組みに重点をおいた説明が展開され,この分野について全く知らない人でも基本的な知識が得られるような解説が展開されました。

最後に,Deep LearningやMachine Learning利用のしやすさは向上していくが,数式の導出や本質への理解があると,チューニングや新しいアルゴリズムを考えるといったことが可能になるので,原理や本質を知ってもらいたいというメッセージで,発表は締めくくられました。

jigyakkumaさん「それは僕たちのドメイン・DNS運用」

会社のドメイン,各サービスのドメイン,受託案件のキャンペーンサイトのドメイン等の多くのドメイン,DNSレコードの運用・管理に関して自社のレコード管理の歴史を踏まえて話しました。

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人を介してDNSレコードを管理する方式は,情報の正確性に欠ける,変更したログが残らない,ヒューマンエラー等の問題があると指摘しました。これらの問題を解決するために,ドメイン管理・運用を行う人への伝達手段を一元化し,レコードの反映,検索やAPIによる操作が可能なRoute53を採用しました。さらに,roadworkerを使ってDNSレコードをコードで管理できるようになり,変更履歴をコード化出来るようになり,CircleCIの導入によりテスト・デプロイの自動化も実現できました。

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最後に運用・管理するうえで,運用は一人でするものではないことと,常に改善を意識することが大事であるというメッセージで締めくくられました。

著者プロフィール

青木大祐(あおきだいすけ)

茨城県在住。個人的な用途では主にPerlを使うが,業務では残念ながらC#とTypeScriptしか触らない。大学在学中からPerl6が気になっており,Tsukuba.pmを開催して布教もした。

Twitter:@VienosNotes


臼井洋文(うすいひろふみ)

京都市出身のプログラマ。仕事はPerlでサーバサイド開発がメインだが,必要に応じてiOS/Androidアプリの開発やインフラ周りの整備も行っている。趣味は写真とボルダリング。

Twitter:@usuihiro

Web:http://d.hatena.ne.jp/usuihiro1978/


越智琢正(おちたくまさ)

愛媛県西条市出身。大学進学を機に上京。在学中は超小型人工衛星の研究開発で,ハードウェアをいじったり,C++やC#を利用。就職後にPerlと出会う。仕事ではPerl製フレームワークやゲーム用のBaaS開発,とあるゲームの海外版開発等に従事。人に喜ばれるものを作るのが好き。


田実誠(たじつまこと)

某クラウドインテグレータのデベロッパー。Web技術全般に興味があり,プライベートではRuby,Node.js,Python等で個人ツールやOSSのプラグインを作っていたり。Perlはド初心者。

Twitter:@tzm_freedom

Web:http://freedom-man.com/blog/


中村浩之(なかむらひろゆき)

Spiber株式会社勤務。バイオベンチャーで,生物学実験を行う研究者が使うアプリケーションの開発を行っている。Ruby,Pythonを書いていることが多い。グリッチに興味がある。


野田大貴(のだだいき)

株式会社技術評論社、書籍編集部に所属。趣味は半身浴。


藤沢理聡(ふじさわまさあき)

神奈川県在住。ソフトウェア開発や周辺業務に携わっている。長年 Perlを愛用しているが,仕事では他の言語を扱うことが多い。今年はクリスマスプレゼント(Perl 6)をことのほか楽しみにしている。

Twitter:@risou

Web:http://www.risouf.net/


本間雅洋(ほんままさひろ)

北海道苫小牧市出身のプログラマー。好みの言語はPerlやPython, Haskell, Scala, OCamlなど。在学中は数学を専攻しており,今でも余暇を利用して数学を嗜む。現在はFreakOutに在籍し,自社システムの開発に力を入れている。 共訳書に「実用Git」(オライリー・ジャパン),共著書に「FFmpegで作る動画共有サイト」(毎日コミュニケーションズ)がある。

Twitter:@hiratara
Web:http://hiratara.github.io/


安武貴世志(やすたけきよし)

現在は大手Web系IT企業のインフラエンジニアとして,幅広いシステムの構築・運用を担当。インフラ以前はソーシャルゲームのサーバサイド開発をしていたことも。最近,趣味でKoyomiというジョブスケジューラをPerlで書いた。福岡出身。

Twitter:@key_amb

Webサイト:http://keyamb.hatenablog.com/


山中裕之(やまなかひろゆき)

ドラゴンズファン。某会社のプログラマとして活動中。好きな言語はPerl, Ruby, C, C++, Haskelなど。武術が好きで休日はいそしんでいる。

Twitter:@hiroyukim
Web: http://hiroyukim.hatenablog.com

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