レポート

Web開発者の未来は明るいか?─「Webデベロッパの祭典@東京」開催

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2月7日(土),東京,秋葉原のUDXギャラリーにて,「Webデベロッパの祭典@東京+ちょっとアキバ気分で」が開催されました。同イベントは(株)パソナテックの10周年記念イベントの1つで,おもにWebアプリケーション開発者に向けて,仕事の進め方や実践的な開発手法などを,いまWeb開発の第一線で活躍する開発者が提示,紹介するというもの。これまで札幌,福岡で開催され,今回の東京でひとまず締めくくりとなります。

ここでは,プログラム最初のキーノートセッション,および最後に行われたスピーカー勢揃いのパネルディスカッションをレポートします。

「未来はこうなる」ではなく「こう『する』」もの─小飼弾氏のキーノート

最初のセッションはオープンソース開発者,そしてアルファブロガーとして数多くの著作や言及で知られる小飼 弾氏(ディーエイエヌ有限会社 代表取締役)による「どうするデベロッパ!? 2009年プログラミング大展望」と題されたセッションです。

セッションの冒頭「2009年のトレンドとは?」と問いかけながら,YouTubeにアップされている2008年の株価変動チャートを音階に見立ててメロディに変換したビデオを紹介。

セッションの冒頭「2009年のトレンドとは?」と問いかけながら,YouTubeにアップされている2008年の株価変動チャートを音階に見立ててメロディに変換したビデオを紹介。

セッションは小飼氏が来場者に質問,挙手や意見を求め,その反応を見つつコメントするという形で進められました。まず,去年から今年にかけての給料,顧客の売上について会場に尋ねました。参加者の多くが現状維持という回答に,「皆さんは世間の標準よりかなり良いです」とコメント。平均株価が半分になったからといって,日本経済が半分になったわけではなく,ましてやエンジニアの持つ技術,知恵などは失われていないと断じます。

では,この時代をどのように過ごすべきかという点について,小飼氏は「晴耕雨読」という言葉を掲げ,「今は景気が失速し,いわば『雨』の時期,こんなときは仕事が少ないので余った時間に本を読む,すなわち将来役に立つ技術や知識の習得に当てるべき」と説きます。Googleの「20%ルール」に引っかけて「弾の新20%ルール」として「エンジニアが得るすべての収入を20%の時間で稼ぎだす」ことを目標にし,あとの80%は技術習得の時間とすることを提案しました。

自ら会場を動き回り,来場者にマイクを向けながらセッションを進める小飼弾氏。来場者は先生に指される生徒のような気分?!

自ら会場を動き回り,来場者にマイクを向けながらセッションを進める小飼弾氏。来場者は先生に指される生徒のような気分?!

次に,「雨読」として新たに何を学びたいか,という質問を会場に投げたところ,Rubyという人が多く,Java,Python,少数派ではLispやアセンブラといった答えが返ってきました。「新しく学びたいという割には,それほど技術として新しいものを学びたいわけではありませんね」と小飼氏。さらに,同じくこの時期に英語を勉強したいかという問いには多くの人が手を上げましたが,小飼氏は英語を学びたい人の動機として,単に英語が使えるようになりたいわけではなく,「英語を使って何かを学びたい」からではないか,と分析します。

このように,不況のときは好況時のようなすぐに役立つ知識よりも,もっと根源的なものを学ぼうとするし,そのチャンスではないか,という意味での「晴耕雨読」であるとのこと。これをもっとはっきりさせるため「今日失業したら,明日から何をしますか?」という極端な質問を投げたところ,すぐに役立つ仕事や資格を取るための勉強をするという回答がありましたが,小飼氏は「こうした状況でトレンドを追うのは間違い」と指摘。不況になって慌てて何かしようと考える人は,本当に不況で自分の仕事がなくなったときのことを考えていないと言います。

最後のテーマは「未来はどうなる?」です。実はこれは引っかけ問題で,「○○になる」という言い方をしているうちはただトレンドを追っているので,自分のポジションをコントロールすることはできない,と小飼氏。有名なアラン・ケイの言葉「未来を予測する最良の方法はそれを発明すること」を引用して「未来をこうする」と言えるトレンドセッターとなろうと呼びかけました。

「プログラマは職業のワイルドカード=ジョーカーを持っている。その業種のソフトウェアを作ることは,その職業に就くことに等しい」とプログラマという職業の魅力をアピール。

「プログラマは職業のワイルドカード=ジョーカーを持っている。その業種のソフトウェアを作ることは,その職業に就くことに等しい」とプログラマという職業の魅力をアピール。

そして実際に「未来をどうしたいか」という来場者への質問に,「裕福になりたい,楽しめるようになりたい」という答えがありました。では「裕福,楽しいとは一体何か?」と質問を重ねます。「小飼弾を裕福だと思っている人がいると思いますが,答はノー。なぜなら,私は明日も明後日も,未来に生きるつもりだから。未来の自分から見て『あのときは裕福だった』と思い返すような生き方はしたくないのです」(小飼氏)

セッション後の来場者からの質問「ソフトウェアによってどんどん自動化が進んでいくことで,仕事を奪われる人が出てくるのではないか?」に対して小飼氏は「仕事はむしろ奪われるべき。なぜ『働かざる者食うべからず』になっているのか? ITが生産性をどんどん上げていくことで,働くことに特別なインセンティブはなくなる。そういう世になるべき」と,ここでも持論を展開。賛否はともかく,このセッションを聞いた人は,自分の固定観念を見直すいい機会になったのではないでしょうか?

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