レポート

「WordCamp サンフランシスコ 2009」レポート

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5月30日に,第4回目を迎えたサンフランシスコでの「元祖 WordCamp」,WordCamp San Franciscoが開催されました。登録者数は過去最高の700名を超え,数々の豪華なスピーカーが登場しましたが,Tシャツやグッズ,そして朝食・昼食,アフターパーティまで付いて入場料は25ドルと相変わらず。様々なバックグラウンドを持った参加者がそれぞれ楽しめる,オープンでWordPressらしさが表れたイベントでした。

計15のプレゼンは,基調講演をのぞき,2つのホールで同時に進行しました。本稿では,筆者が出席したセッションのうち主なものをレポートさせていただきます。

写真1 世界最大のWordPressイベントとあって,カリフォルニア州外にとどまらず30ヶ国以上からの参加者が訪れた

写真1 世界最大のWordPressイベントとあって,カリフォルニア州外にとどまらず30ヶ国以上からの参加者が訪れた

拡張可能なブログの運営方法(ティモシー・フェリス氏)

ニューヨークタイムス,ビジネスウィークなどでベストセラーランキング1位を獲得した「The 4-hour Work Week (邦訳:なぜ,週4時間働くだけでお金持ちになれるのか)」の著者であり,ライフハッカー界で有名なフェリス氏The Blog of Tim Ferrissは,同時に人気ブロガーでもあります。

自分のメインブログを例にとって,ブログを効率的,効果的に運営するコツをたっぷり披露してくれました。彼がブログをやっているのは「お金のためとか有名になるためというよりは,ブログを通してしか得られない交流が何ものにも代え難いから」とのこと。

例えばUSオリンピックのスイミングチームのコーチなど,普段は直接話す機会がないような意外な人からコメントやトラックバックで反応があったり,自分では思いつかなかった新しいアイディアのインスピレーションをもらったりすることの面白さを語っていました。

よりブログの記事を多くの人に読んでもらうためには,かなり綿密に解析と対策を行っているということです。ホームページに何らかのデザイン変更を加えたときはヒートマップとアクセス解析を使って必ず反応をテストする,何曜日の何時頃にどういうタイプの記事を公開すればクオリティの高いコメントやトラックバックが集まりやすいかを実験してみる(長めのしっかりした記事は金曜の夜が一番良いなど),実験場的なブログも持って動画などメインブログではやっていないことを試してみる,などといった具体的な例を挙げていました。

こうすればブログはうまくいく,といういろんなルールがあちこちで語られていますが,彼らはまずそれらにすべて従って効果を計ってみたそうです。また,そのまったく逆の間違っていると言われていることをやって,再び実際の反応を見るそうです。誰かが言っていることをそのまま鵜呑みにしてもそれが自分のブログにとって一番のやりかたなのかは分からないので,自分にとってのルールはそうやって作っていく,ということを力強く話していました。

実践による試行錯誤を繰り返し,データを集めて分析し,その結果を見て対策を行っていくというプロセスは,徹底的にやってみれば大きな手応えを得られることが理解できる内容でした。これはブログだけではなくウェブサイト運営全般に活用できる姿勢ですが,テーマテンプレートにちょっとした変更を加えてテストするのが簡単なWordPressには特に取り入れやすい手法といえるでしょう。

写真2 さまざまなテクニックを披露した最後には,「楽しんでブログをするのがとにかく大事!」というメッセージを送ったティモシー・フェリス氏

写真2 さまざまなテクニックを披露した最後には,「楽しんでブログをするのがとにかく大事!」というメッセージを送ったティモシー・フェリス氏

Googleがあなたに知っておいて欲しいこと(マット・カッツ氏)

Googleのスパム対策部に所属しているにも関わらず,同社のサービスblogger.comブログではなくてインストール型WordPressを自分のブログとして使っているマット・カッツ氏Matt Cutts: Gadgets, Google, and SEO)。WordPressサイトの検索エンジン最適化(SEO)についてのプレゼンでした。

彼が現在入れているプラグインは5個だけ。WordPressは自動的にSEO的に問題のある点を解消してくれるようにできているので,コアインストールの持つ機能だけで検索エンジン向けに最適化されたページを生成させることができるとのこと。機械的に可能なSEOの8~9割はWordPressが行ってくれるというのはユーザーにとってうれしい情報だったと思います。

一方,バックリンクの数を気にしすぎたり,技術的な面を研究してページランクを高めることに時間を割きすぎるよりは,上質のコンテンツを増やすことに時間をかけるべきだと話していました。

そのためには,自分の書きたいと思うトピックを選んでブログ全体が関連性の高い内容にする,ページランクが高いサイトからリンクしてもらえるように評判を高める,練習になるよう頻繁に書くなどといった基本的なことが大事とのことですが,専門家である彼が実際にそれをやって良い結果につながっているとのことで,非常に説得力がありました。

また,Googleキーワード,Googleウェブマスターツールなどの紹介もあり,「やりすぎる必要はないけど,便利なツールを使ってリンク切れなどのサイトの問題点を発見したり,人気の記事を発見して続編を書いたりするのもおすすめ」とのことでした。

「塊魂の哲学」とキャプションがついた画像をスクリーンに表示し,「最初は小さなブログであっても,少しずつニッチなコンテンツを拾い集めて成長していくようなやりかたがいいよ」と,サイトを徐々に成長させていくことの大切さを分かりやすく説明してくれました。

細かいSEOテクニックをたくさん披露するかわりに,自分のサイトをより多くの人に見つけてもらうため,長期的に検索エンジンとつきあっていくための心構えが凝縮された内容でした。最新の技術が取り入れられているWordPressのようなツールを活用する利点は,そういったテクニックの多くを心配しなくていいというところにもあることが伝わってきました。

写真3 Googleページランクの仕組みを説明するマット・カッツ氏

写真3 Googleページランクの仕組みを説明するマット・カッツ氏

著者プロフィール

マクラケン直子(まくらけんなおこ)

米国ミシガン州在住。

KotobaMediaユニットに所属すると同時に,Automattic, Inc.への日本マーケット向けコンサルティング,WordPress 日本語版プロジェクトの翻訳,管理などに関わっている。

現在までに3冊刊行の「WordPress 標準ガイドブック」シリーズの著者。

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