Blogopolis(一般の部)、どこでもラストガイ(企業の部)Grand Prix―Yahoo! JAPANインターネットクリエイティブアワード2009結果発表

今回で4回目を迎える、インターネット上のクリエイティブ表現の可能性を追求したアワード「Yahoo! JAPANインターネットクリエイティブアワード⁠⁠。2009年11月19日に、2009年度のGrand Prixをはじめとした各賞の発表が行われ、グランドハイアット東京(六本木)にて贈賞式が行われた。ここではその模様をお届けする。

4回目を迎え、615作品が応募

贈賞式に先立って、主催者であるヤフー株式会社代表取締役社長 井上雅博氏から「本アワードは、技術陣とクリエイター陣が切磋琢磨しながら、より良いものを作っていけるような環境作りのサポートすることを目的に行ってまいりました。回を重ねるごとに応募作品の質が高くなっていて、また、応募数も昨年を上回る結果となり、うれしく思っています。Yahoo!JAPANとして、その切磋琢磨から生まれた、質の高いクリエイティブを表彰していきたいと考えています」という挨拶があり、各賞の発表に移った。

アワード結果発表および贈賞式に先立ち挨拶を述べるヤフー株式会社代表取締役井上雅博氏。
アワード結果発表および贈賞式に先立ち挨拶を述べるヤフー株式会社代表取締役井上雅博氏。

一般の部:バナー部門(LIFE ENGINE)

一般の部、バナー部門(LIFE ENGINE)には、次の3作品が選ばれた。

審査のポイントとして、ユーザの接しやすさ、ふだんの日常生活との関わりといった部分が評価され、Goldを受賞したYahoo! DOGが最も、そのポイントを表現したクリエイティブという評価がなされた。

GoldYahoo! DOG(ADBRAIN interactive division)
SilverYahoo!スタンプラリー(島田宣幸)
Bronzeあいさつ(内田伸哉、加藤寛之、中原祐輔(InMonochrome⁠⁠)
一般の部、バナー部門(LIFE ENGINE)受賞者の顔ぶれ。
一般の部、バナー部門(LIFE ENGINE)受賞者の顔ぶれ。

一般の部:バナー部門(公共広告)

一般の部、バナー部門(公共広告)には、次の3作品が選ばれた。

こちらの受賞については、これまでもたくさん生まれてきた「公共広告」という表現に対して、Webならではという部分を盛り込んだ作品が選ばれた結果となった。

Goldを受賞した大村昇平氏は「私自身、いつか公共広告に関する表現に取り組みたいと考えていました。本アワードに応募し、さらにGoldに選出されるという結果をいただけてとても嬉しく思います。これが終わりではなく、これからさらに磨きをかけた表現活動をしていきたいです」と受賞の喜びと今後の抱負について語った。

Gold描いたあとは(大村昇平)
Silver削る(上田貴宏)
Bronzeどうぶつおりがみ(ADBRAIN interactive division)
一般の部、バナー部門(公共広告)受賞者の顔ぶれ。
一般の部、バナー部門(公共広告)受賞者の顔ぶれ。

一般の部:ウェブコンテンツ部門

一般の部、ウェブコンテンツ部門には、次の3作品が選ばれた。

Webという広い括りの中、Webの中の空間をどのように活かすか、また、その先にいるユーザに対するコミュニケーションをどう取るかといった点が審査のポイントの1つとなっていた。Goldを受賞した「ENDLESS NIGHTMARE」は、直訳すると終わらない悪夢となるのだが、この作品では、悪いイメージと言うよりは、Webの中で永遠に続いていく幻想を表現することで、ユーザをWeb空間へ吸い込んでいくような世界観を表現しているのが印象的だった。

GoldENDRESS NIGHTMARE(山本文、森本友理)
Silvermidair30cm(鈴木健司)
BronzeBUILDING(上甲トモヨシ)
一般の部、ウェブコンテンツ部門受賞者の顔ぶれ。
一般の部、ウェブコンテンツ部門受賞者の顔ぶれ。

特別賞:デジタルハリウッド賞、Creative Hack賞、Silverlight賞

企業の部の受賞に行く前に、協賛企業からの特別賞3賞の発表が行われた。

デジタルハリウッド賞は8月1日の時点で25歳以下の応募者作品の中から、Creative Hack賞はWeb上で公開されているAPIあるいはWebサービスを利用した作品の中から、Silverlight賞はMicrosoft Silverlightを利用した作品の中から、それぞれ選ばれている。

デジタルハリウッド賞英語発音マップ(長澤智也)
Creative Hack賞ToriSat~国際ステーションを見よう!(ごうだまりぽ氏)
Silverlight賞logpaper novel editor(コンテンツワークス)
デジタルハリウッド賞を受賞した長澤智也氏(右⁠⁠。
デジタルハリウッド賞を受賞した長澤智也氏(右)。
Creative Hack賞を受賞したごうだまりぽ氏(右⁠⁠。
Creative Hack賞を受賞したごうだまりぽ氏(右)。
Silverlight賞を受賞したコンテンツワークスの面々(右からの3名⁠⁠。
Silverlight賞を受賞したコンテンツワークスの面々(右からの3名)。

企業の部:バナー部門

特別賞の発表の後、企業の部、2部門が発表された。まず、バナー部門に選ばれたのは次の3作品。

Goldを受賞した「ウルトラマン・オフィシャルデータファイル」は、ウルトラマンという30代以上の男性であれば一度は見たことのあるキャラクターを題材に、スペシウム光線など作り込みが丁寧だったことが評価された。

Goldウルトラマン・オフィシャルデータファイル
クライアントデアゴスティーニ・ジャパン
広告代理店博報堂
制作会社博報堂アイ・スタジオ
Silver魔法の窓
クライアントトステム
広告代理店オプト
制作会社オプト
Bronzeデコクレ
クライアントトヨタ自動車
広告代理店電通
制作会社電通テック、電通レイザーフィッシュ、カヤック
企業の部、バナー部門受賞者の顔ぶれ。
企業の部、バナー部門受賞者の顔ぶれ。

企業の部:ウェブコンテンツ部門

企業の部、ウェブコンテンツ部門に選ばれたのは次の3作品。

「TOKYO FASHION MAP」は、日本で初めてカジュアルブランドとして世界展開を行うユニクロのインテグレーテッドコンテンツとして、Webだけではなく、世界に向けて5万部の書籍を展開することで、新たな可能性を実現し多くのユーザから反響を得たクリエイティブである。審査にあたっても、Webコンテンツとしてのクオリティに加えて、⁠グローバル」⁠複数メディア」といった表現の幅の広さが評価された。

GoldTOKYO FASHION MAP
クライアントユニクロ
広告代理店電通
制作会社電通テック、バスキュール、モンスター☆ウルトラ
SilverINTERNAVI REALIZATION
クライアント本田技研工業
広告代理店電通
制作会社metaphor、SEMITRANSPARENT DESIGN、1-10 design、シプー
BronzeCam with me
クライアントSony Marketing (Japan) Inc.
広告代理店博報堂
制作会社TYO Interactive Design Inc.、602 inc、TYO Productions Inc.
企業の部、ウェブコンテンツ部門受賞者の顔ぶれ。
企業の部、ウェブコンテンツ部門受賞者の顔ぶれ。

以上、各賞が発表され、いよいよ一般の部、企業の部、それぞれのGrand Prixの受賞者が発表された。

Grand Prix(一般の部)

Blogopolis(浜本階生)

まず、一般の部Grand Prixに選ばれたのは、浜本階生氏が開発する「Blogopolis⁠⁠。これは、日本のブログ23万件を対象としたビジュアルブログ検索エンジンシステムで、3Dの仮想都市景観に各ブログをマッピングし、ビジュアライズするというもの。バックエンドにはJavaのフレームワークを、フロントエンドにはFlashを活用している。さらに、表現に関してはボロノイ図と、浜本氏が考えた疑似築道法という2つの手法を組み合わせて実現しており、技術的工夫がふんだんに盛り込まれたサービスである。

Blogopolis
Blogopolis

受賞にあたり「私自身は、クリエイターと言うよりはプログラマの立場で、技術の側面から開発を行い応募しました。今回、技術的に取り組んだものが評価をいただけたのは、大変嬉しく思います。これからも技術からの表現を意識して開発をしていきたいです」と、浜本氏はコメントした。

Grand Prix選出に関しては、審査員を代表してトリプルセブン・インタラクティブ福田敏也氏がこう述べている。

「3Dというビジュアライズを実現した技術力、そして23万件という膨大な量のブログを対象に開発するという地道な開発があったからこそ実現できたクリエイティブだと思っています。このように、表現に対する裏付けの部分がすばらしく、今回Grand Prixに選出いたしました⁠⁠。

まさに、技術と表現の素晴らしいバランスでの組み合わせにより選ばれた作品と言えるだろう。

Yahoo! JAPANインターネットクリエイティブアワード、Grand Prix受賞者のみが座れる「Big Idea Chair」に座す浜本階生氏と審査員の福田敏也氏。
Yahoo! JAPANインターネットクリエイティブアワード、Grand Prix受賞者のみが座れる「Big Idea Chair」に座す浜本階生氏と審査員の福田敏也氏。

Grand Prix(企業の部)

どこでもラストガイ(ソニー・コンピュータエンタテインメント)

広告代理店:電通
制作会社:IMG SRC

企業の部Grand Prixには、SONY PLAYSTATION 3のゲームコンテンツ「ラストガイ」のキャンペーンサイト「どこでもラストガイ」が選出された。同サイトは、ラストガイの世界観をWeb上で表現できる仕掛けが用意されたコンテンツで、さまざまなサイトの上でラストガイ風のゲームを楽しむことができる。

どこでもラストガイ
どこでもラストガイ

本サイトはすでに各所での評価も高く、今回のアワードでは「新しい発想を生み出すことは重要ではありますが、ただ発想して終わっては意味がありません。その発想をアイデアとして世に出すために、具現化することが必要です。こんかいのどこでもラストガイは、まさにアイデアを具現化し、それがたくさんのユーザに対してリーチできたところが素晴らしいと思いました」と、審査員のTUGBOAT川口清勝氏は、受賞のポイントを述べた。

企業の部Grand Prixを受賞した「どこでもラストガイ」スタッフのメンバーたち。
企業の部Grand Prixを受賞した「どこでもラストガイ」スタッフのメンバーたち。

次回に向けて

最後に、審査員を代表してGT INC.内山光司氏からアワードの総括が述べられ、2009年度の贈賞式の幕が閉じた。

総括を述べる内山光司氏。
総括を述べる内山光司氏。

「昨年の受賞作品を見てもわかるように、本アワードを受賞したクリエイティブが世界でも評価されるようになってきました。今回、昨年度を上回る615作品もの応募があり、非常に質が高くなったように感じています。全体で見れば質の平均値は上がっていましたし、Grand Prixの2作品はとても優れたクリエイティブでした。

一方で、全体を見渡したときに突出したものが少なかったというのは否めません。次回に向けて、とくに一般の部への応募を期待したいです。

私たちが作品を審査するポイントは、単に作品の表面の部分だけではなく、そこから伝わってくるクリエイターの情熱です。これからも、皆さまの熱い情熱を、このYahoo! JAPANインターネットクリエイティブアワードにぶつけてもらい、次代を担うクリエイターたちのチャレンジの場、登竜門として活用してもらえればと思います⁠⁠。

受賞者および審査員全員による記念撮影。
受賞者および審査員全員による記念撮影。
Yahoo! JAPANインターネットクリエイティブアワード2009
http://creative-award.yahoo.co.jp/

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