レポート

drikinが見たGoogle I/O 2010[2]Androidの日

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表面だけじゃわからないAndroidの進化

個人的に今回のAndroid2.2の発表で最も重要な機能だと感じたのが,IntentのPush機能だ。AndroidをiPhoneなどと比較するときに,一般的にAndroidの優位性として語られるのは,自由な開発環境やマルチプロセス対応などだが,Intentこそ他のプラットフォームと比較した際にAndroid OSの持つ最も大きな優位性のひとつだと思っている。

Intnetについてここでは詳細には解説しないが,日本語で直訳すれば,⁠意図」⁠目的」という意味で,アプリケーション間でメッセージをやり取りするときなどに,単なるメッセージではなくその先の動作や目的なども伝えることができる機能だ。 概念的にもちょっとわかりづらいため,以前はAndroidの優位性としてあまり一般的にIntentについて語られることはなかったが,ここに来てついにIntentが本領発揮される。

具体的な例として紹介されていたのは,PC上のGoogle MapとAndroidデバイスの連携。今までPC上で調べたGoogle Mapの地図情報を携帯デバイスに送るときには,Google Mapのページから位置情報のURLを携帯デバイスにメールしてデバイスでそのメールを受信し,そこからGoogle Mapを開くという面倒な手順で行っていた。2.2でIntentのPushが可能になると,直接PC上のGoogle MapからAndroidデバイスに位置情報(Intent)を送り込むことができる。デバイスはPCからIntentを受信すると自動的にGoogle Mapアプリケーションが起動し,位置情報が表示される。同様にPC上から電話番号情報をPushして,ダイレクトにデバイスの電話機能を呼び出すこともできる。

Flash 10.1対応については,iPhone/iPad OSではFlashサポートが行われる予定がないことがCEOのSteve Jobsによって発表されて以来,連日話題に事欠かないが,既存のWebコンテンツとの互換性を考えれば,Flashの必要性の高さは言うまでもなく,今回の対応は新しいAndroidの優位性として今後の大きなウリのひとつとなると思われる。ただしAppleが指摘するように,モバイルデバイスにおけるFlashのパフォーマンスやバッテリー消費量の大きさなど,どのくらい実用性があるのかは,実際に使ってみないと評価できないというのが正直な感想だ。iPhoneにおける一連のFlash騒動でGoogleがAndroid OSでのFlashのサポートを表明して以降,Google開発チームが強力にAdobeをサポートして開発を行っているという噂話も耳にするので,最終的にFlashがどのくらい快適に動くか非常に興味深い。

Android Marketも確実な進化を遂げている。もともとAndroid Marketアプリは,あまり派手さがなく地味に実用的な機能を充実させてきた。24時間以内の返品やアップデートの手軽さなど,iPhoneのAppStoreに比べてもユーザの観点で利便性の高い機能を備えていたが,さらに一括アップデートや自動アップデート設定などが追加され,一層ユーザの利便性が向上される。

また,従来のAndroidアプリケーションは,標準ではSDカードへのインストールがサポートされていなかった。このためiPhoneと比べると,ゲームやマガジンなど大量のデータを必要とするアプリケーションの配布が難しかったが,ついにこの制約から解放された。

また,PC上のMarketも発表され,PCのブラウザ上でAndroidのアプリケーションを検索,管理することが可能になる。ここでも前述のIntent機能が活きてくる。PC上のWeb Marketでは,個々のAndroidデバイスを認識していて,Web Marketから直接端末にアプリケーションをインストールすることができるようになる。さらにPC上のMarketのデバイス管理機能を利用すれば,Non-DRMの楽曲であれば,iTunes管理の楽曲であろうとAndroidデバイスにストリーミングすることが可能になる。

モバイルデバイスの進化とデジタルコンテンツの充実により,より手軽で柔軟なコンテンツの同期技術が求められる中で,iPhone/iPadにおいてはiTunesによる同期だけではコンテンツの扱いが難しくなってきている。iPhoneでは今後MobileMeによるクラウド連携などの求められているが,現状Appleはこの分野ではクライアント技術並みの利便性や安定度,使い勝手が実現できてない。Googleにとっては最も得意とするクラウド分野でこの手の技術が充実してくると,Android OSの優位性がさらに強まっていくだろう。

最後に広告系の強化。ここでもiPhone OSとの直接対決が行われている。先日AppleからもiPhone OS 4.0が標準でアプリケーション内広告をサポートすることが発表された。Android OSでもより使いやすい広告ツールの提供や,広告をクリックするとその場で広告表示エリアが拡大してよりリッチな情報を表示できる新しい広告フォーマットの追加などがアナウンスされた。

今年は参加者にサプライズ

このように,バージョン3.0と言っても良いくらいたくさんの新機能が発表されたが,最後に参加者に対してさらなる発表が!

なんと,今年のGoogle I/O参加者全員に,来月Sprintが発売する最新のAndroidデバイスSprint HTC EVO 4Gを無料配布すると発表した。ここ数年,Google I/Oでは毎年デバイスを無料配布して参加者を喜ばせているが,今年はすでに開催1ヵ月前にMotorolaのDroid(US外ではHTC Nexus One)が参加者全員に無料で配られていたので,まさか同時に2つのデバイスを無料配布するとは,流石のGoogleの太っ腹ぶりに会場は拍手喝采だった。

2日目まとめ

2日目の基調講演の前半は,Androidに関して最新版Android 2.2(Froyo)の新機能を中心にかなり盛りだくさんの発表があった。Android 2.2はコンマ0.1のアップデートとは思えない新機能の充実っぷりで,デバイスの充実と併せていよいよモバイルプラットフォームおける本格的なAndroid台頭時代の幕開けを感じさせる内容だった。

特に,Intentというなかなか一般的には理解されづらかったAndroidの特徴が,2.2ではクラウドからのPushと連携してより実用的に活用され始める。これは他のプラットフォームと比べたAndroidの大きな差別化のひとつにつながっていくだろう。また,プラットフォームを支えるMarketの機能も充実し,クラウド連携が上手く機能すれば,Androidプラットフォームの優位性はますます強調されていく。

Androidの進化のスピードに目が離せなくなってきたが,ここはまさに冒頭でVic氏が強調した,フリーでオープンなプラットフォームであることが上手く機能していると言える。Appleも来月にはiPhone OS 4.0を発表し,マルチタスクだけでなく多くの新機能の追加が期待されているし,年内にも登場すると噂されている次期メジャーアップデートAndroid 3.0(Gingerbread)ではどんな新機能が追加されるのだろうかと考えると,今後のモバイルプラットフォームの進化に目が離せない。

著者プロフィール

青木剛一(あおきこういち:drikin)

1975年生まれ。サンフランシスコに在住しソフトウェアエンジニアとして働くかたわら一週間分のテック・ガジェット系ニュースをお届けするポッドキャスト「backspace.fm」を主催。毎週旬なネタを配信中。自身のブログはこちら

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