レポート

「Python Hack-a-thon 2010.07」レポート

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Isoparametricさん「本当にあったコワイはなし。あなたの知らないCとC++の世界」

ネタ満載なプレゼンでした。C++の紹介をしていたと思ったら,今まであった恐ろしい開発現場がいくつも紹介されていました。下手に紹介するよりも,資料をご覧ください。想像を絶する世界です。個人的に一番衝撃だったのは「○○でフォルダを分ける」というものでした。

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磯蘭水さん「月間10億単位のリクエストを捌く PythonベースWebシステムの話」

古参のPythonプログラマーの蘭水さんの発表です。Pythonが活躍する,ウェブの広告配信システムの紹介です。ウェブの広告は,ウェブサイトの表示の時に埋め込まれます。例えば,広告のシステムが1秒かかると,ユーザの環境でページが表示されるのもそのまま1秒かかってしまいます。ウェブのレスポンスを左右する,速度命のシステムです。プレゼンの中ではアーキテクチャからログまで,長大なデータをすばやく扱うための様々なテクニックが紹介されました。

実際には 0.3秒で結果を返す必要があり,ネットワークの遅延を考慮すると,システムの応答時間は100mS以内とのことです。フレームワークやテンプレートエンジンを使わず,なるべく直書きして速度を稼いでいるとのことです。また,管理情報の更新は非同期にして,インデックスサーバの負荷の低い時にのみ情報を書き込むなど,さまざまな工夫をこらし,⁠びっくするほど少ない台数」を実現しているそうです。

また,ログはRDBMSなどを使うと遅くなってしまいますが,書き換えはしないというログの特性を活かし,書き換えができない代わりに高速アクセスのできる,CDBを利用しているとのことです。そのほか,ファイルのオフセット情報のリストを作っておき,bzip2で圧縮されたファイルを直接読みにいくということも行っているそうです。

最後に,Pythonがいかに開発の現場を明るく楽しくしているのか,という紹介で締めくくられました。

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新沼大樹さん「ウェブ魚拓」

新沼大樹さんによる,今まであまり語られることのなかった,ウェブ魚拓の話です。ウェブ魚拓とウェブの炎上は切っても切れない関係です。魚拓に込めた社会的意義について,雄弁で笑いもたっぷりに語られました。

ウェブ魚拓の誕生は北朝鮮が拉致を認めた時にさかのぼります。それまで「拉致なんかない」と掲げていた社民党のウェブページが急に消され,2ch上で騒動となりました。その時に「一度公開したからには責任が生じる」⁠ウェブの世界に緊張感を」というコンセプトの元に5日間で作られたのがウェブ魚拓です。社会的に問題になるようなとき,アクセスが殺到して魚拓が落ちることもあったそうですが,その時は「闇の勢力に魚拓が消された」という噂が駆け巡ったこともあるそうです(実際は再起動して復旧⁠⁠。

炎上について感じられるのは,火だねは炎上する側にあるということだそうです。通常なら叱られるようなケースでも,内輪の中でエスカレートして怒られないままで暴走したケースなどが,派手に燃え上がることが多いそうです。燃え上がると,騒ぎを収めるためにページの削除を依頼してくる人もいるそうですが,⁠炎上は口汚いが,叱ってくれるお母さんのようなもの」⁠こういうことをやっちゃいけないと感じてもらうことが大切」という哲学の元,ネット社会の自浄作用の支えとなるべく,サービスの維持につとめているそうです。

「ネットの闇」のように語られることもありますが,炎上するケースでは,現実社会でも問題になるようなケースが同じように問題になります。また,現在ではテレビなどでも匿名のメッセージが使われることも多く,ネットも現実世界も,同じ意識を持つことが大切です。そのような努力の甲斐あってか,現在では裁判の証拠としても使われることもあるそうです。

このレポートには書けないような様々な例も数多く紹介され,盛り上がりっぱなしのプレゼンでした。

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@moriyoshiさん「すべらない話」

@moriyoshiさんによる,Pythonハッカソン恒例のすべらない話です。今回も,高度すぎるPHPネタでした。

「PHPは遅い」という話を聞いて色々ベンチマークを取ってみたが,ほとんどのケースで Pythonに勝てず,PHPに最後の花をもたせるべく,PHPでXlibと通信するライブラリphp-Xlibを作り,GUIが行えるようにしたということです。

とにかくテンポが良く,次の日にあった参議院選挙とかけてスーツのコスプレで「最後のお願いに参りました」とぱっと登場するなど,円熟のPHPネタでした。

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サイン会も行われました!

今回は,⁠つまみぐい勉強法』⁠技術評論社刊)『エキスパートPythonプログラミング』⁠アスキーメディアワークス刊)のサイン会も行われました。

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次回について

次回の募集も,申し込み開始後すぐにいっぱいになってしまったのですが,かなり先のイベントということもあり,キャンセルも相当数でます。いっぱいになっていても,20人や30人やそこらのキャンセル待ちであれば入れる可能性は大です。

ただし,ハンズオンにしてもハッカソンにしても,自主性が多少なりとも要求されます。その点が乗り越えられれば,とても楽しい会だと思います。

著者プロフィール

渋川よしき(しぶかわよしき)

社内SE。ソフトウェアを中心に,ライフハック,インラインスケートなど,様々なコミュニティの運営に関わってきた。日本XPユーザグループには設立準備の時から。現在メインのコミュニティはとちぎRubyとPython温泉(系)で,ドキュメントツールのSphinxのコミュニティも最近立ち上げた。趣味は技術文書の翻訳とLT。最近関わった本は「つまみぐい勉強法(技術評論社)」と「エキスパートPythonプログラミング(アスキーメディアワークス)」で,さらに数冊進行中。

Twitter:@shibukawa
ブログ:http://blog.shibu.jp


鈴木美穂(すずきみほ)

株式会社アクセンス・テクノロジー 技術部所属。

IT業界に入ったばかりの新人エンジニアであり,Python Hack-a-thonやPython温泉の主催者である@voluntasさんの弟子。現在はPythonの他にも幅広く勉強中。将来の目標は,カッコイイエンジニアになること。

Twitter:@_mipo_
ブログ:http://d.hatena.ne.jp/miho36/