レポート

今後のIT業界はどうなる?どう乗り切る?「第1回 エンジニアの未来サミット for students 2011」レポート

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

日本のIT産業は米国化の道を辿る?

後半は先に紹介したとおり,まつもと氏に加えサイボウズ・ラボの竹迫氏,そして学生代表としてサイボウズ・ラボユースの林拓人氏(筑波大学),鈴木勇介氏(慶應義塾大学)の2人,モデレータとして技術評論社の馮が登壇し,会場からの質問に全員で答える形でディスカッションが行われました。

パネルディスカッションの模様

パネルディスカッションの模様

質問は,おもに日本と海外(おもに米国)のIT産業を比較したり,日本の産業が置かれた状況に関するもの,そして学生の間に学んでおくべきこと,の2つに集中しました。

まず,日本の産業の優位性はどうなっているのか,今後どうすべきかという質問に,社会人である竹迫氏や馮は,個々の企業についての日本の優位性はすでになくなっているので,今後はネットを活かした企業や業界同士の連携,そこから生まれる文化的なものに優位性を見いだせるのでは? とコメント。一方,学生の林氏,鈴木氏は「まだ語れるほどの経験はない」と言いながらも,コミュニティ活動など技術の底上げをしていくことを提案します。

まつもと氏はこれらをまとめて,技術至上主義はアメリカの文化で,日本では技術力に対する評価があまり高くないことを指摘しました。若い人がより技術志向になっているということで,日本もアメリカ化(シリコンバレー化?)が今後一層進んでいくのではないかと見ているようです。

左から馮,竹迫氏,林氏

左から馮,竹迫氏,林氏

鈴木氏

鈴木氏

これに関連して,日本ではプログラマが米国に比べて評価されていないのでは? という質問がありました。竹迫氏は「米国のIT技術への評価が高いのは,製造業がダメになったから。日本も他の産業がダメになってきているので,相対的にITは評価されていくのでは?」とやはり米国化を懸念します。

まつもと氏も,「日本では『経験不問』でプログラマを募集することがあるが,米国ではまずない。だがそれが有利に働くこともある」と指摘。これからは技術のある人とない人の格差がどんどん広がって,学ばない人が振り落とされる,ITの格差社会が到来すると予言しました。

その評価について,「職場で評価されない場合はどうするか?」という質問にまつもと氏は「やめるしかない」とバッサリ。「会社を変えることはできない。周りがダメなことを変えようと思わない方がいい」と,組織に依存しないことを勧めます。まずは自分を磨き,評価される場も自分で見つけるしかない時代になっていくのでしょうか?

数学,英語,そしてソーシャルネット活用でスキルを上げろ!

そのスキルアップについて,学生時代の早いうちからコンピュータ教育が必要ではないか? との質問には,現役学生の林氏が,「大学から始めて遅すぎることはない」と答えました。大学の授業でさまざまな言語やアルゴリズムに触れることで,その魅力に気づくことも多いようです。プログラミングを覚えるには文法だけではなく,さまざまな抽象概念を理解する必要があります。やはりある程度の高等教育の素養がなければ,スキルとはならないでしょう。

画像

では,「文系の人が今からプログラマになるために学んでおくべきことは?」という質問には,竹迫氏は数学を挙げました。「世の中をモデル化して本質を見つけるのがプログラミング。そのためには数学を使って論理的に考える必要がある」(竹迫氏)。林氏はご自身の経験から,できるだけたくさんのプログラミング言語に触れることを勧めます。また,まつもと氏は「英語に抵抗がないこと」を挙げました。ペラペラになるのは難しいですが,最先端の情報は英語で発信されることが多く,英語に苦手意識がないだけでいろいろと有利になるのは明らかですね。

鈴木氏は,わからないことをブログやTwitterでつぶやくだけでも誰かが答えてくれるので,そういう身近なところから始めては? と提案。これには馮も同意して,この10年ソーシャルサービスがかつて考えられないほど広がったことを挙げ「まず発信すると何かが変わる」とソーシャルの利用を強く勧めました。

ディスカッションでコメントするまつもと氏

ディスカッションでコメントするまつもと氏

最後に各パネラーが一言ずつコメントする中,まつもと氏が語った「今後は個人の可能性がポジティブ,ネガティブに関わらす拡大していく」という言葉がこの日の結論になったと思います。個人の能力がより評価されていく先には,より厳しい選抜社会が待っています。難しいことですが,まずは自分の適性を探るため,少しずつでもいろいろなことに挑戦してみるのが大切ではないでしょうか?

著者プロフィール

小坂浩史

gihyo.jp編集部 所属。最近では電子書籍の制作にも関わる。

コメント

コメントの記入