レポート

グーグルもVMwareもアップルも─マイクロソフトの“disり王”ケビン・ターナーがWPCでライバルたちをメッタ斬り

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2.5 分

SiriさんSiriさん,世界でいちばんイケてるスマホはどれかしら? 答えはなんと…!

今年注目のリリースとしてもうひとつ注目を浴びているのがWindows Phone 8です。タイルの大きさが自由に変えられるなど,数多くの新機能を備える魅力的なプラットフォームですが,いかんせん,ライバルのパワーが強すぎる。

しかしiOS,Androidという超強力なライバルがいる市場だからこそ,マイクロソフトはぜったいに撤退しません。撤退するとしても,先日ようやくオワコンになったZuneのように,たとえ製品自身が死を望んでいても数年は生かし続け,誰もがその存在を本当に忘れたとき,そっと生命維持装置のスイッチを切るのです。そういった意味でいえば,Windows Phoneは最低でもあと10年は残るでしょう。

さて,ターナーさんが今回スマホでdisるのはAndroidかな…と思ったら,意外なことにiPhoneでした。

1機種1キャリアしか市場にない日本と異なり,北米などでは数多くのWindows Phoneが出荷されており,意外な人気を博している

1機種1キャリアしか市場にない日本と異なり,北米などでは数多くのWindows Phoneが出荷されており,意外な人気を博している

そこでiPhoneのSiriに聞いてみよう!「世界中のスマホでいちばんイケてるのはどれ?」

そこでiPhoneのSiriに聞いてみよう!「世界中のスマホでいちばんイケてるのはどれ」

なんとSiriはWindows Phoneをススメてきたよ!

なんとSiriはWindows Phoneをススメてきたよ!

実はこれ,ビデオで表示されたのですが会場では大受けでした。Siriに答えさせるとはやるなあ。さすがマイクロソフトのトップ。誰も思いもつかなかった相手のスキを見つける眼力に心底感服いたしました。なお,さすがにアップルはSiriを修正したようです。そりゃそーだ。

その他のおなじみターゲット─オラクル,IBM,セールスフォースなど

エンタープライズな分野では,ここ数年,ほぼ同じ企業の悪口を並べ立てています。データベースで競うオラクルやIBM,CRMのセールスフォース・ドットコムなどが常連で,今年も例に漏れませんでした。

SQL Server 2012はオラクルやIBMに比べて大幅なコストダウンが図れると強調

SQL Server 2012はオラクルやIBMに比べて大幅なコストダウンが図れると強調

Dynamics CRMはSalesforceに比べてホントにお得なんだから!

Dynamics CRMはSalesforceに比べてホントにお得なんだから!

データベースもCRMも,どうしてもマイクロソフトがトップを取れない分野ですが,製品の良さはかなり浸透しているので,あまりトップを狙わなくてもいいのでは…という気が個人的にはします。まあ,明らかに負けている分野でも基本,撤退はしないのがマイクロソフトの方針なので,来年もこのあたりが叩かれることはほぼ間違いないでしょう。あとはWindows Azureのライバルとして,AWSあたりが叩かれニューフェイスとして浮上する可能性がくるかもしれません。


会場のパートナーたちも思わず苦笑いするような他社への攻撃をこれでもかと繰り出した最後のほう,ターナーさんはこんなスライドを見せてくれました。

歴史は繰り返すかもしれない。実際にいままでそうしたこともあった。しかし……勝機は決して二度と訪れない

歴史は繰り返すかもしれない。実際にいままでそうしたこともあった。しかし……勝機は決して二度と訪れない

10月末に一般提供が開始するWindows 8は「Windows 95以来のエポックメイキングなOS」⁠マイクロソフト史上,もっともエキサイティングなプラットフォーム」とバルマーCEOも今回のWPCでさんざん繰り返してきたとおり,マイクロソフトにとって同社の製品/サービスすべての根幹となる製品です。当然ながらWindows Vistaのような失敗はぜったいに許されません。いまだ世の中にあふれるWindows XPを一掃する役割も担っています。

この千載一遇ビジネスチャンスを決して逃すな! とパートナーに向かって呼びかけたターナーさん。勝機をつかむためにはライバルに遠慮する必要などありません。お客がGoogle AppsかOffice 365で悩んでいたら,ターナーさんのように「グーグルなんてこんなにひどいからやめときましょう」とぐいぐい攻めこむべし,なのです。

そしてシメにはこんなフレーズが。

マイクロソフトはパートナーとともにあることを"We Will Win Together"に込めて

マイクロソフトはパートナーとともにあることをWe Will Win Togetherに込めて

そう,マイクロソフトはパートナーあっての存在,そしてdisるほど強い敵があっての存在なのです。顧客がいて,競合他社がいるからこそ製品やサービスは磨かれていく。競合も顧客も)すべてを尊敬せよ,しかし誰のこともおそれるな」と最後に口にしたセリフに,disってる中にも競合へのリスペクトの念をすこしだけ込めていたことが伝わってきました。

WPCで2013年度のスタートをきったマイクロソフトの新年度。来年のWPCはテキサス州ヒューストンで開催されます。誰かの悪口を言うなら"大きな声ではっきりと"を地で行くCOOことケビン・ターナー。ヒューストンでもますます磨きのかかったdisり節が聞けることを今から楽しみにしております。

著者プロフィール

五味明子(ごみあきこ)

IT系の出版社で編集者としてキャリアを積んだ後,2011年からフリーランスライターに。フィールドワークはオープンソースやクラウドコンピューティング,データアナリティクスなどエンタープライズITが中心。海外カンファレンス取材多め。Blog 「G3 Enterprise」やTwitter(@g3akk),Facebookで日々IT情報を発信中。

北海道札幌市出身/東京都立大学経済学部卒。