レポート

エンタープライズ,ミッションクリティカルもOK,進化したクラウドの姿─「AWS SUMMIT TOKYO 2012」基調講演レポート

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9月13,14日の2日間,アマゾン ウェブ サービス(AWS)主催のクラウドに関するカンファレンス「AWS SUMMIT TOKYO 2012」が,ホテル日航東京にて開催されています。ここでは,東京で初の開催となるAWS SUMMITの初日基調講演の模様をお伝えします。

「全世界8ヵ所のAWSリージョンの中で,
この1年では東京リージョン利用の伸びが
最も大きかった」と語る長崎氏

「全世界8ヵ所のAWSリージョンの中で,この1年では東京リージョン利用の伸びが最も大きかった」と語る長崎氏

基調講演の冒頭に挨拶に立ったのはアマゾン データ サービス ジャパン代表取締役社長の長崎忠雄氏。この1年の日本でのAWS利用の拡大と,AWSを使って新たなサービスを提供するパートナー企業の倍増,AWS User Group-Japan(JAWS-UG)を中心としたコミュニティ活動の盛り上がりなどを紹介しました。

クラウド/AWSの誕生から現在まで

初日基調講演のメインスピーカーを務めるのは米Amazon Web Servicesのバイスプレジデント,アダム・セリプスキー氏です。AWSの対顧客のフロント部分に立つトップの立場から,クラウド,AWSのこれまでの成長とその変化について語りました。

アダム・セリプスキー氏

アダム・セリプスキー氏

アダム氏はまず,設備投資の不要な点,急速なスケールアップ/スケールダウンが可能な点など,クラウドの基本的な特長を挙げ,さまざまな業種でこうした特長が認知され,とくにスタートアップ企業や新たなサービスの立ち上げなどではクラウドの利用が一般的になったと紹介。

次にAWSの進化として,クラウドを「インフラ」⁠ネットワーク」⁠コンピュート/ストレージ/データベース」⁠アプリケーション」⁠展開,管理」というレイヤに分け,AWSの誕生以降各レイヤでどのような技術やサービスが展開されてきたかを解説しました。こうして見ると,すでにコンピューティングのかなりの分野でクラウドが利用できる準備が整っていることがよくわかります。

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このうち最も基礎的な部分となる「AWSグローバルインフラ」のトピックとして,同日(9月13日)にAWS東京リージョンで新たなアベイラビリティゾーンが開設されたことが発表されました。⁠アベイラビリティゾーン」とはリージョン内に複数存在するデータセンター群のことを指し,それぞれ独立した場所や電力,冷却設備を持ち,セキュリティも分かれています。これによりリージョン内の設備を冗長化できます。地震のリスクが懸念される日本では,こうした措置はとくに重要ですね。

「クラウドの弱点」は解消されたのか?

後半は,⁠クラウドコンピューティング7つの変革」と題して,AWSやクラウドの利用に起こりつつある変化について紹介されました。

クラウド7つの変革

クラウド7つの変革

これまでは,少なくともパブリッククラウドではあまり利用されることがなかったエンタープライズやミッションクリティカルな分野でも,最近はクラウドに移行するケースが増えています。その背景には,以前はクラウドの弱点と言われていたセキュリティやネットワークパフォーマンス,スループット面で,オンプレミスと遜色ない機能や性能を確保する方法が確立されてきた点が大きいでしょう。これらの変化について,アダム氏は実際にAWSの顧客の例を挙げつつ,わかりやすく分析,紹介していきました。

目指すは「ナイトライダー」のKITT?

目指すは「ナイトライダー」のKITT?

とくに,実験的なプログラム開発や,従来はスーパーコンピュータで行われていたような複雑で膨大な処理量の科学計算をAWS上で行うと,クラウドのメリットであるコストパフォーマンスを最も享受することができるとのことです。これまで自前で高価なハードやインフラの確保が必要と思っていた分野でも,その発想を考え直す時期に来ているのかも知れません。

この8月に火星に無事着陸したNASAの火星ローバー。このローバーをコントロールするアプリはAWS上で開発されているそうです

この8月に火星に無事着陸したNASAの火星ローバー。このローバーをコントロールするアプリはAWS上で開発されているそうです

このほかアダムさんの紹介で,実際のユーザ事例として,グループス,朝日新聞社,そしてブイキューブの担当者が自社のAWSの活用法について語るコーナーもありました。

このうちソーシャルゲームの大手グループスは,現在でもおもにクラウドではなくデータセンターにサーバを確保してサービスを運営していますが,海外展開を視野に入れてグローバルな実験プロジェクトをいくつか立ち上げています。こうしたプロジェクトにクラウドは最適で,たとえばベトナムに開発スタジオを開設した際も,短期間にスケールアップが可能なクラウドの特質を活かして,スピーディにプロジェクトを立ち上げることができたと言います。

誕生から6年あまりで急速な進化を遂げているAWS。これまではクラウドと縁の無かった(と思っていた)分野や企業も,これからはAWSをはじめとするクラウドの状況をキャッチアップする必要があると実感できる基調講演でした。

著者プロフィール

小坂浩史

gihyo.jp編集部 所属。最近では電子書籍の制作にも関わる。

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