レポート

Webサービスつくってるけど何か質問ある?―「ボケて」のゆーすけべーと「nanapi」のけんすうが答えました!(前編)

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秋葉原の書泉ブックタワー9Fのイベントスペースにて,11月30日(金)19時より和田裕介さん著Webサービスのつくり方 ――「新しい」を生み出すための33のエッセイ出版記念イベント「Webサービスつくってるけど何か質問ある?」が開催されました。この記事ではその内容についてレポートします。開始時刻になっても和田さんが現れないハプニングはありましたが,イベント開始の数分後に和田さんも会場に姿を現し,その後はつつがなく進行していきました。

知り合ったきっかけは1981年生まれの会

イベントには,『Webサービスのつくり方 ――「新しい」を生み出すための33のエッセイ 』著者であり「君のラジオ」「ボケて」の開発者としても知られるエンジニアの「ゆーすけべー」こと和田裕介さんと,「暮らしのレシピサイトnanapi」の創業者である「けんすう」こと古川健介さんの二人が登壇しました。和田さんと古川さんは,1981年生まれが集まる会で会ったのがきっかけで,目指す方向性が同じことから互いに知り合いとなったそうです。ただ,和田さんは色々な種類のWebサービスを立ち上げるタイプなのに対して,古川さんは1つのサービスに集中したいタイプだったりと,バックグラウンドに違いがあるのが面白い点だと話していました。

古川健介(けんすう)さん

古川健介(けんすう)さん

今回のイベントでは古川さんの提案で,会場の全員にお二人に聞きたい内容を事前に紙に書いてもらい,その紙を見ながら古川さんと和田さんが質問に答えていくというスタイルをとりました。会場には60人近い参加者が集まっていましたが,集まった質問を1つずつすべて取り上げて回答していましたので,各参加者にとっても非常に満足感の高いイベントとなったのではないでしょうか。

100時間勉強すればTwitterくらいは作れる

参加者からは様々な種類の質問が出されており,Web技術に関する質問をあげている方もいました。コードの美しさをどの程度求めるかという質問については,和田さんは美しいコードは目指したいと個人的には考えているものの,そうもいかない局面もあることからベストエフォートでやるのがよいとしていました。また,古川さんは実際のユーザに対してサービスを運用をしてみてその価値を見極めることの重要性を強調しました。それを踏まえ,最初は突貫工事で3日程度でアプリケーションを開発し,その後サービスを継続することを決めてから奇麗な実装を作り直したりリファクタリングをする方法を提案しました。

和田裕介(ゆーすけべー)さん

和田裕介(ゆーすけべー)さん

また,初心者におすすめできる言語については,和田さんはRuby on Railsが開発に必要な道具がひとまとめになっていて便利だと話され,古川さんは最終的に大事になるのはデータベースであり,最初はSQLを覚えるとよいとしました。さらに古川さんは,Web開発は100時間勉強すれば十分にスタートを切れるものであり,英語や他の資格の勉強をするよりずっと効率的なので積極的に時間を投資すべきだと述べました。このことについて和田さんは,「世界を変えるのならコードを書くのが一番速い」という表現を用いて同意しました。

東京の文脈で生まれるサービスを作る

お二人が実際に開発したWebサービスについての質問もありました。「ボケて」が軌道に乗ったと感じたのはいつか,という質問に対しては,「NAVERまとめ」に載ってアクセス数がいきなり増えただけではなく,その後アクセス数がしばらくしても減らなかったことで成功を確信したと話しました。また,「ボケて」をやめようと思っていた時に古川さんに3年やってみるよう勧められ,その通りにやったらヒットしたという嘘のような本当のエピソードも聞くことができました。

さらに,nanapiと古川さんが作った他のサービスとの違いを訪ねられると,nanapiは長く続けるつもりで作ったこと,そして,2000年頃の枯れた技術を使ったことを特徴として挙げました。さらに,東京の文脈で生まれるサービスが重要で,シリコンバレーで生まれるようなサービスを日本でやる意味はないと,古川さんのサービスを作る際の哲学を述べました。

サービスを作った時に初めから自信があったのかという問いに対しては,和田さんには根拠のない自信というものがあり,しかもそれが当たることが多いことを話しました。これについて古川さんも,こうなるだろうと思うと行動が思考に左右されることで9割方その通りになると同意しつつも,逆に自信があり過ぎても駄目なこともあるとサービスを作る難しさを覗かせました。また,初速は予想が着くものの,その後の展開は長い目で見ないとわからないということも難しさの一因のようです。

最大公約数で作ったサービスは流行らない

それぞれ別のサービスを開発しているお2人ですが,2人で協力してWebサービスを作るのはどうかという面白い質問も取り上げられました。これについて今後はあるかもしれないとしつつも,2人とも現状ではその予定はないと否定。理由として,Webサービスの作者同士がコラボレーションをするとその最大公約数的なサービスを作らざるを得なくなり,尖ったものができないからと説明しました。

また,協業する場合に気をつけていることに関しては,付き合う人をきちんと選んでおり,変な人には近づかないようにしているという,和田さんならではのコミュニケーションの勘所を聞くことができました。そのお陰もあってか,今回の「Webサービスのつくり方」に関してはよい編集の方と巡り会えて楽しく書くことができたと話し,「Webサービスのつくり方」の執筆に際しては非常によい環境で執筆されたということをうかがい知ることができました。

数日でプロトタイプを完成できないアイデアは駄目

本には企画やプロモーションのことまで書かれていることもあり,サービスの立ち上げや運用に関する質問も多く出ました。検証可能なプロトタイプが完成するまでの時間については,和田さんはボケてのアプリ版での事例を例に出し,30分程度で作ってしまうと答えました。古川さんからは,数日でプロトタイプが完成しないようなアイデアには無駄が多く,核となるアイデアだけに絞って実装すべきだという指摘もありました。

アイデアの出し方については,ネタを常日頃から書き留めておくだとか,根を詰めて仕事をしてる時にふとシャワーを浴びたときに思いついたりするだとか,一般的によく言われる手法が重要なようです。その中でお二人が特に強調していたのが,人との会話によってアイデアが生まれてくるということです。会話においてアイデアが浮かんでくるだけではなく,知人に直接「こういうの作って」と言われて作ることもあるそうです。

著者プロフィール

本間雅洋(ほんままさひろ)

北海道苫小牧市出身のプログラマー。好みの言語はPerlやPython,Haskell,Scala,Objective-Cなど。在学中は数学を専攻しており,今でも余暇を利用して数学を嗜む。現在はFreakOutに在籍し,自社システムの開発に力を入れている。

共訳書に「実用Git」(オライリー・ジャパン),共著書に「FFmpegで作る動画共有サイト」(毎日コミュニケーションズ)がある。

twitter:@hiratara
blog:http://d.hatena.ne.jp/hiratara/

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