レポート

脱IE6を果たしたエンタープライズのWebシステム,そしてHTML5 ~「業務システムエンジニアのためのHTML5勉強会#03」活動報告

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日本マイクロソフトのIntenet Explorer(以下,IE)のトップとMicrosoft MVPが集い,エンタープライズのIEとWebの技術について語る業務システムエンジニアのためのHTML5勉強会#03は,2013年8月1日,東京は品川のグランドセントラルタワーにて開催されました。

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テーマは「HTML5×IE」ということで,エンタープライズ領域のWeb技術では最も高い影響力を持つWebブラウザ「IE」の専門家を集め,デベロッパとIT管理者の観点から,問題提起と改善方法が共有されました。

また,本イベントは「IE11 Windows7版開発者プレビュー」のリリースと重なったため,これを記念して,日本マイクロソフトのプロダクトマネージャによりIE11のプロモーションも行なっていただきました。

本記事の筆者でありイベントの司会でもある川田は,SIerにて業務システム案件への技術支援を行う傍ら,Google準公式コミュニティ「html5j」えんぷら部の部長として,国内のエンタープライズ領域へHTML5などの新しいWeb技術の推進活動を行なっています。同日に開催されたDevelopers Summit 2013 Summerでも,「HTML5×SIer」というテーマでエンタープライズとWebの関わり方について講演しました。

8月1日という日は,HTML5が実用化されて以降,あまり議論されてこなかった「エンタープライズとオープンWeb技術」というテーマが同時に2つのイベントで発信され,進化したWebのエンタープライズ進出が本格的に始動する,記念すべき一日になったのではないでしょうか。

本稿では,イベントレポートをお届けします。

エンタープライズのWebシステムの変化

オープニングトークは私,川田です。Developers Summit 2013 Summerの講演内容HTML5×SIer 業務システムにこそWebの力が必要だ!と重複が大きいため,ご一緒に紹介します。

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これまでエンタープライズWebシステムはIE6であることが前提で,特にB2B系のWebシステムを開発するエンジニアは,実質的に「IE6アプリエンジニア」を指す言葉と化していました。単一化したプラットフォームは,エンジニアから可能性を追求するモチベーションを奪うことになります。実際に,エンジニアのWebに対する好奇心は,サーバサイドと比較すると非常に小さいものでした。しかし,NT5.1(WindowsXPなど)の終焉とスマートデバイスの登場,HTML5などのオープンWeb技術の普及で,状況は一変します。Webプラットフォームにも,高い知識とノウハウが求められるようになったのです。

RIA(Rich Internet Application)という言葉が世の中に広がって数年が経ち,クライアントのテクノロジも目まぐるしく変化しました。当初はFlexやSilverlightのようなプロプライエタリなソリューションのみが支配していましたが,数年のうちにjQueryの普及やHTML5の実用化を受け,オープン系技術が選択の一つとして強い力を持つようになりました。

近年,多くの企業で問題となっているWindowsXPのサポート終了問題について,サードパーティベンダからは,サポートの長い組込み向けNT5.1系OSの活用,非公式のセキュリティパッチ,IE5,6互換Webブラウザなど,様々なソリューションにより選択の機会が与えられました。ただほとんどの企業は,新しいOSへの移行,そして新しいWebブラウザへの移行という選択をしました。これは企業のWeb資産の進化に,多大な影響を与えたはずです。

脱IE6したWebシステムの先にあるもの

エンジニアから見ると,もうWebプラットフォームは単一化されません。デスクトップ向けWebシステムという視点では,ChromeやFirefoxなどのモダンWebブラウザの導入も広がっているようですが,IEはサポートの長さや既存Web資産との親和性・後方互換性の高さ,IT管理者向け統合管理機能の高さなど,他のWebブラウザとは違った観点からエンタープライズに求められるソリューションを提供し,価値を発揮しています。今後しばらくの間も,IEは企業の標準Webブラウザとして高いシェアを得ることになるでしょう。

そして,標準WebブラウザとしてのIEは,移行のタイミングや企業のIT管理部門の方針により,8・9・10と異なるバージョンで広がることになりました。また,クライアントOSのバージョンアップが未だに行われていない場合,IEは6と8以上両方に対応することも求められるようにもなりました。モバイル向けシステムであっても,レスポンシブWebデザインの普及もあり,IEも動作環境として含まれることになります。企業のWebシステムを取り巻く状況は,IEを中心に複雑化しているように思えます。

今,企業システムのWeb資産を安全に先進させていくためには,IEの持つドキュメントモード(互換モード)や,IE固有の動作・機能の把握と標準への準拠方法,HTML5の登場で多様化したバージョンごとの機能の知識,ベンダサポート,Windowsの管理機能の活用方法など,IEへの理解が重要なスキルとなります。IEを深く理解すること,すなわち「IEのハック」が必要なのです。

これらの課題について,IEの専門家たちはどのような見解を持っているのでしょうか?

著者プロフィール

川田寛(かわだひろし)

元NTTグループのSE。現在はピクシブ株式会社にて,テクノロジーで世の中のクリエーターをハッピーにする方法を模索しています。「ふろしき」の愛称で,「html5jパフォーマンス部」「日本Cordovaユーザーグループ」といったコミュニティを立ち上げたり,「東京 Web パフォーマンス」というコアなエンジニア向けの勉強会を主催したり,Webの標準化(W3C)の議論にほんの少しだけ横槍を入れてみたり。

Microsoft MVP 2014/2015受賞。HTML5 Experts.jpエキスパート。Developers Summit(翔泳社)ステアリングコミッティー。「Web標準技術ではじめる,Webのパフォーマンス改善(Software Design 2014年5~7月号)」他,多数の技術雑誌への寄稿も行う。

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