レポート

オープンソースの持つ“熱さ”を実感 ―「オープンソースカンファレンス2018 Kyoto」レポート

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招待講演:すがやみつる先生の「学ぶ」ということについて

今回のOSC2018 Kyotoの目玉講演ともいえるのが,漫画家であり京都精華大学マンガ学科の教授も勤める,すがやみつる氏の招待講演です。インベーダーゲームが社会現象となっていた70年代後半に一世を風靡した『ゲームセンターあらし』⁠1978年,小学館)や,プログラミングを漫画でわかりやすく解説した『こんにちはマイコン』⁠1982年,小学館)で知られるすがや氏が,マンガ学科の教授になるまでの自身の経緯を振り返りつつ「大人の学び直し」について語りました。

京都精華大学 マンガ学部 マンガ学科 キャラクターデザインコース 教授,漫画家 すがやみつる氏

京都精華大学 マンガ学部 マンガ学科 キャラクターデザインコース 教授,漫画家 すがやみつる氏

漫画家時代:機械いじりの趣味を漫画へと昇華

『仮面ライダー』の原作者として知られる石ノ森章太郎に憧れ,中学生のころから漫画家を目指していたすがや氏。漫画と並行して機械いじりにも没頭しており,中学生でアマチュア無線の免許に挑戦したこともあるといいます。高校に進学してからは一切勉強せず,漫画家としての基礎体力を付けるために水泳に励んでいました。高校卒業後,アシスタントや編集プロダクションを経て念願の石森プロに参加。そして漫画版『仮面ライダー』⁠1972年,講談社)でデビューし,少年漫画誌で『ゲームセンターあらし』などのヒット作を生みます。漫画家となってからも趣味の機械いじりは欠かさず,睡眠時間を削ってアマチュア無線やBASICによるプログラミングを楽しんでいたそうです。

そんな折,海外で子供向けプログラミング専門書が売れていることに目を付けた同氏は,漫画でマイコンやプログラミングを解説するという企画を出版社に持ち込むようになりました。そうして出版されたのが『こんにちはマイコン』⁠1982年,小学館)です。この作品で小学館漫画賞を受賞した同氏は,実用的な内容を漫画で表現する仕事に取り組むようになりました。

『こんにちはマイコン』⁠1982年,小学館)

『こんにちはマイコン』(1982年,小学館)

50代からはじめるキャンパスライフ,そのコツとは

すがや氏が教師を目指すきっかけになったのが,京都精華大学で初めて開設されたマンガ学部です。20倍を超える入試倍率となったこの人気学部の成功に続き,次々とマンガを教える大学が増え始めたのです。すがや氏もいろいろな大学から教職の誘いを受けました。しかし,マンガを経験則として教えるのでは学問と言えない,という考えがすがや氏にはありました。そこで,教授になることを志して早稲田大学人間科学部eスクールに入学。がむしゃらに勉強を重ね大学院の修士課程へと進んだすがや氏は,50代後半に修士課程の次席卒業を果たしました。

高齢にもかかわらず高成績をおさめた秘訣の1つが,年長者としてのプライドを捨てることだとすがや氏は語ります。eスクールには社会人として経験を積んできたビジネスマンが多く在学していますが,ティーチングアシスタントなどを務める20代の若者に指導されるとき,プライドが邪魔をしてなかなか素直に教わることができないことが多いとのこと。それに対してすがや氏は,自分が18歳の学生になったつもりで授業に臨んでいたといいます。

また,加齢とともに記憶力が落ちていくのは避けがたく,そこですがや氏が気づいたのは,ものごとを暗記することにこだわらず,検索エンジンとWeb上に広がるデータベースを使い倒していくことが重要だということでした。

2年ぶりのLTS,Ubuntu 18.04 LTSについて

Ubuntu Japanese Teamに所属し,⁠Software Design』でも連載「Ubuntu Monthly Report」を執筆しているあわしろいくや氏が登壇したセッション。Ubuntuの現行バージョンとなるUbuntu 18.04 LTS,そして10月にリリースを控えるUbuntu 18.10についての紹介がなされました。

Ubuntu Japanese Team あわしろいくや氏

Ubuntu Japanese Team あわしろいくや氏

デスクトップ版の新機能

はじめに,2年ぶりの長期サポート版として今年4月にリリースされたUbuntu 18.04 LTS(コードネームBionic Beaver)についての紹介がありました。あわしろ氏はデスクトップ版の主な変更点として,今までUnityであったデスクトップ環境がGNOME Shellに変わること,その影響で,キーボードからの入力を文字に変換するインプットメソッド(IE)が,FcirxからIBusに置き換わることなどを挙げました。Ubuntu16.04を使っていてIBusをインストールしていない場合は,アップグレード前にibus-mozcパッケージを入れておくと後の設定がスムーズになるとのこと。また,デフォルトの日本語フォントはTakaoゴシック/明朝からNoto Sans/Serif CJKへ変更されました。

18.04 LTSから盛り込まれた新機能として,Ubuntuにログインしたまま更新パッチを適用できるlivepatch,初回ログイン時に新機能や新たなソフトウェアを紹介するUbuntu Welcome,Ubuntuインストール時に必要最低限のアプリケーションだけを導入する最小インストール機能が紹介されました。また,新しいデスクトップフレーバーとして,シンプルで親しみやすいデザインのUbuntu Badgieについての紹介もありました。

サーバ版の新機能

次に,Ubuntu 18.04 LTSのサーバ版で実装された変更点について紹介がありました。今回のアップデートでは,従来のDebian Installerに代わり「Subiquity」という新たなインストーラが実装され,デスクトップ版とほぼ同じ手順でインストールが可能です。また,ネットワーク設定にnetplanが採用されることで,従来の/etc/network/interfaces/と比較して,バックエンドに関係なく共通のフォーマットでネットワーク設定を記述できるようになっています。

Ubuntu 18.10 Cosmic Cuttlefish

最後に,今年10月にリリース予定のUbuntu 18.10(コードネームCosmic Cuttlefish)が紹介されました。サポート期間は通常と同じく9ヵ月間です。

Ubuntu 18.10の主な追加要素として,⁠Yaru」という新たなデスクトップテーマ(アイコンテーマの名前は「Suru」⁠についての紹介がありました。日本語の「やる,する」に対応している名前らしく,あわしろ氏は「日本語がソフトウェア名に使われる例が増えてきた」と語ります。Yaruテーマは「sudo snap install communitheme」コマンドを入力すれば,Ubuntu 18.04でも試すことができるとのことです。

あわしろ氏は,ほかに予定されている新機能として,KDE connectの導入によるスマートフォンとの統合により,無線ファイル転送や着信の通知が可能になること,GNOME Shellとファイル(Nautilus)が全文検索エンジンのTrackerをサポートすることなどを挙げています。

著者プロフィール

宮島幸太(みやじまこうた)

Software Design編集部所属。技術評論社2018年入社。

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