レポート

日本初開催JSConf!「JSConf JP 2019」参加レポート[後編:2日目]

この記事を読むのに必要な時間:およそ 6 分

クロージングキーノート「points at random」

最後のセッションはMariko Kosakaさんのクロージングキーノートpoints at randomです。

画像

Marikoさんは,実は今回の会場には11年前に来たことがあるそうです。アーツ千代田ができる前にここでアートフェアをおこなったことがあり,その時に広報のインターンとして参加していたそうです。そのようなバックグラウンドをもつMarikoさんは,アートの話を織り交ぜながら,どんな経緯でJavaScriptと関わるようになったのか,そして大事にしたいことについて発表しました。

Sol Lewitt:コンセプチュアルアートの先駆者

はじめに,コンセプチュアルアートの先駆者の一人,Sol Lewittを取り上げて,その作品の特徴を説明しました。

Wall join collectionはギャラリーの壁に直接描かれる作品群です。Solはインストラクションだけを作り,実際に壁に書くのは別の人たちに任せます。違う場所では違う人たちが描くので,それぞれの場所では異なる結果が残ります。

Solのインストラクションは,コードにとても似ています。例えばCode drawing #118では,⁠壁にランダムに50個の点を散りばめ,すべてを直線でつなげる」という指示を与えています。この作品はdemocratic handsによって作られています。誰がどこを描いたか・誰の線がきれいかではなくて,参加者全員がその一つの作品に貢献していると考えます。ちょうど,仕様書や設計書がそれ自体ではソフトウェアにならず,我々も多くの人の手をかけてそのプロジェクトを実行するのと同じではないか,と話しました。

Lillian F. Schwartz:コンピューターアートの先駆者

さらに,コンピューターを利用した最初のアーティストとして知られるLillian F. Schwartzを紹介しました。

Lillianはベル研究所のLeon Harmonに誘われ,多くの研究者たちと出会いともに活動し,たくさんの作品を手掛けています。ここでは,大事なのはツールだけではなく,周りの人々が重要であることを指摘しました。いつでもいろんな科学者と話ができる環境がありました。

ランダムな出会い

Marikoさんは,創造的活動をするのに周りの人々が重要だとし,自分のキャリアを引き合いに出しました。

「私のエンジニアとしての最初の2年間は,社内ツールの開発でほぼ1人で働いていました。しかし,ラッキーにも私の質問に何でも答えてくれるプロダクトのエンジニアのすぐ隣の席でした。私は文字どおり『すべて』について質問しました。

その後,BrooklynJSに参加しました。ここでおそらく「もっとも騒がしくて,もっとも協力的」な人たちに出会い,最初の技術的なトークをする機会となりました。そして,このBrooklynJSでMikeal Rogersと話したことがきっかけで,io.jsの翻訳コミュニティを手伝うことになり,古川さんをはじめ日本のコミュニティーのみなさんと繋がることになりました」⁠Marikoさん)

こうした人たちとの出会いがあって,色々なカンファレンスで話す機会ができ,新しい仕事を見つけ,想像もしていなかったポジティブな影響があったと語りました。

特権を忘れずに

Marikoさんは,Sol Lewittの言葉「ランダムは本当にランダムではありません」を引用し,偶然いろんな人と出会い・繋がってきたと言うのは簡単だとし,実際には自身の背景には次の要素があったと語りました。

  • 様々な団体がアクティブに活動している場所であるニューヨークに住んでいて
  • コードを学ぶ時間がたっぷりあり
  • 最初に留学できる家庭に生まれて,お金の心配をせずに英語を学ぶ時間をもつことができた

そして,次のように述べて今回の発表を結びました。

「つまり,私の偶然は,とても大きな「特権」の上になりたっています。もちろん,一生懸命学んだし,コミュニティを良くするために努力もしたけど,それはすべて『特権』があってのものです。

大きいか小さいかはともかく,だれもが何らかの『特権』を持っています。それを忘れなければ,もっと気軽に,その特権をお互いに貸し合うことができるのではないかと,希望を持っています。

(Lillian F. Schwartzwが経験したように)自分のオフィスにちょっと遊びにおいでよと声をかけるように,みんなの手でランダムな点々のつながりが広がったらいいなと思っています。

Thanks JSConf!」⁠Marikoさん)

画像

クロージング

クロージングでは代表理事の古川さんが登壇して,挨拶をおこないました。

古川さんはJSConf JPについて,みんながやろうとしてしたけどできなかったイベントだと言います。今回はJSConf主催者にメンターになってもえて実現しましたと経緯を語り,そしてスタッフ,参加者,スピーカー,スポンサー,メンターのJSConfコロンビアのジョアンさんへの感謝の言葉を述べていました。

なお,次回のJSConf JPは2020年9月に開催予定であることを発表し,TC39とコラボレーションも考えているということです。

最後に古川さんは「来てくれてありがとう。来年会いましょう。Hooo!」と述べ,その後,参加者全員の記念撮影で幕を閉じました。

イベントを終えて

東京Node学園祭ではバックエンド中心のトピックが多かった記憶がありますが,近年はTypeScriptやReactといったビルドを行うツールチェーンが主流になっていて,フロントエンドの話題も増えてきていました。今年はJSConfとなり,フロントエンドもバックエンドも含む,Web全体をテーマとしたカンファレンスに生まれ変わった印象を強く受けました。

同時に,これからもっと海外からの参加者と日本の参加者の橋渡しをしたいという主催者の願いを強く感じられるイベントでした。来年のJSConf JP 2020の開催が今から楽しみです。

著者プロフィール

がねこまさし

WebRTC Meetup Tokyo スタッフ。
インフォコム株式会社で研究チームのマネージャーをしている。

GitHub:https://github.com/mganeko
Qiita:https://qiita.com/massie_g