瀬山士郎先生の 数学よもやま話

第5回論理と子どもたち

数学は論理的にものごとを調べる学問である。数学を楽しむためには、ある程度の論理に慣れていることはどうしても必要だ。私が中学・高校時代を送った1960年代は学校教育の中で幾何が占める割合が大きかった。確かに初等幾何学で論理を学ぶことはできるが、実は幾何の面白さは論理的というより情緒的な部分にあるのではないか、と密かに思っている。補助線発見の面白さは論理というより直感である。もっと直接的に論理を扱うことはできるだろうか。

しばらく前、小学生を相手に数学や理科の面白さを伝える催しがあった。私も数学教師としてそれに参加し、その時に考えたのが以下のパズルです。

2つの箱①、②があります。どちらかの箱には宝物が入っていて、もう片方の箱は空箱です。それぞれの箱には次のように書いてありました。

  • ① 「宝物は①の箱に入っています」
  • ② 「2つの箱に書いてあることのうち、1つはホントで1つはウソです」

書いてあることはホントかウソのどちらかです。さて、宝物はどちらの箱に入っているでしょうか。

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小学校高学年の子どもたちにこの問題を考えてもらった。一生懸命考えて正しい箱を開けた子どももいたし、どうしても解けなくて半べそになった子もいた。伝えたかったのは、正しいとしたらどうなるか、間違っていたらどうなるかと仮定し推論するという考え方だった。解答は書きません。考えてみてください。ちなみに宝物は「戦争のない世界」と書いた紙でした。

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