理系なおねえさんはアリですか?―内田麻理香が聞いた理系な女性の理系な人生―

第4回 ロジカルシンキング・ロジカルコミュニケーション 日本科学未来館 岡野麻衣子さん

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理科離れ・理科教育…思うことは

日本科学未来館では,学校や教育機関と連携した活動のモデル開発と普及活動を行っています。去年まではそちらも担当されていたという岡野さん。

岡野「文部科学省は,学校が校外と連携することを推進しているけれど,先生はどこで何をすれば良いかわからない。そこで,学習の一環で未来館を利用を検討してもらったんです」

――子ども達にワークシートを書かせたり,といったことでしょうか?

岡野「はい。このワークシートが重要で。難しいことを書くようにしても無理なので,1行でも答えが成立するような簡単な質問をいくつか並べて,つなげると自動的にプレゼンできるような内容にしていました」

――なるほど,うまく誘導されているんですね。⁠できた⁠という達成感は子どもにとって大きい。

岡野「やれた!という自信になりますからね。あと,プレゼンの後に,意見ではなく良かった点を述べて,褒めさせるようにしたんです。そうするとすごく良い雰囲気のまま帰っていく。こうして生徒が変わると先生も変われる」

――生徒もさることながら,先生を変えることも重要かもしれませんね。

岡野「はい,生徒は意欲もあるし必要なものに対しては敏感です。先生の興味をどれだけ引き出すかのほうが課題なんだと思います」

――子どもと親の関係と一緒ですね。親が興味のないことに子どもが持つわけはないんですよ。⁠頑張って勉強しなさい!⁠だけ言っても,効果はないのと同じでしょうね。

岡野「今年,小学校の教員研修に行って痛感しました。小学校の先生というと,1人で全科目を担当しないといけないけれど,必ずしも理系である必要はないですよね」

――そうですね。むしろ文系出身の方が多と聞きます。

岡野「すると,理科の実験ができないんですよ。マッチがすれなかったり,金網の表裏がわからなかったり。⁠怖くてできない⁠と言う先生もいました」

――えー!さすがにそれは児童にとって困りますよね。

岡野「先生が怖がっていたら,児童にもそれが伝わっちゃいますよね。子どもの理科離れと言われていますが,先生の影響も大きいと私は思います」

必要なのは,判断力と理解力

――小学校以外にも,中学・高校の視察も行っていらしたとのことですが,生徒さんを見て何か思うことはありますか?

岡野「レベルはすごく高いです。高校生なのに英語でプレゼンもしちゃう。天才だ!って思っちゃうくらい。けれども,そのようなスキルよりも⁠将来は何になるのか⁠を考える時間を与えたほうが良いんじゃないかなと思いますね」

――大学入学⁠だけ⁠が目標になってしまうと…

岡野「本当にできの良い生徒さんたちが伸び悩むのは,もったいないと思います。あと,学校で求められていた勉強のできる人と,社会でデキる人って絶対違う! そういうことを教えないと」

――実際,そうですよね。学習指導要項の⁠生きる力⁠というのは,そういうことを教えることを目指していたように思っていたんですが……。

岡野「私が思うに,⁠生きる力⁠はそのとき自分はどうするか? と判断する力と,今の自分の立ち位置はどこか? と理解する力かと。 ディベートはそういう意味ですごく良い訓練じゃないでしょうか。自分の立場を設定されて,最初は仕方なくても段々その気になってくる。立場を明確にしないまま,良い・悪いをぼやかしたまま,納得いかないまま進めていくと,後であれっ? と思うことが起きてしまいますからね」

――岡野さんがそう思われるのは,研究室時代での教授とのやりとりを通じてでしょうか?

岡野「そうかもしれないですね。こうなりたいと思うからには,自分がどういうロジックで進めるか,考えた上で進めないといけない。そうしていくことで自分も納得できる」

――研究室に恵まれてましたね。これは理系出身だからって,必ずしも身につくことではないですから

岡野さんオススメ展示 その2:セラピー用ロボット「パロ⁠⁠。
世界一の癒し系ロボットとして,ギネス世界記録にも。⁠日々落ち込むこともありますが、そんなときは触りにいきます。つぶらな瞳がとってもかわいいです!!」とのこと。実は、職場のPCの壁紙も「パロ」だそうです。

岡野さんオススメ展示 その2:セラピー用ロボット「パロ」。

著者プロフィール

内田麻理香(うちだまりか)

サイエンスコミュニケーター。東京大学工学部広報室特任研究員/東京大学大学院情報学環・学際情報学府博士課程1年。身近な科学を伝えるために各種媒体で活動中。

URLhttp://www.kasoken.com/