理系なおねえさんはアリですか?―内田麻理香が聞いた理系な女性の理系な人生―

第9回 業界の異分子?! 科学教育系テレビ番組のディレクター NHKエデュケーショナル教育部シニアプロデューサー 森美樹さん

この記事を読むのに必要な時間:およそ 5 分

「夢は専業主婦」,えっ!

――学生時代,なりたかった職業ってありますか?

森「研究室時代は,具体的に何になりたいとかは全然なかった。お給料もらえていればそれでいい,ぐらいの。ちなみに私の夢は寿退社なんですよ。夢は専業主婦。志向を持っているつもりなんだけど,やっていることがそうじゃないみたい。」

――キャリア女性の階段を着実に踏みしめていらっしゃいますが(笑)

森「本当!そんなつもりじゃないのに(笑⁠⁠! 」

――森さんは「初」とか「めったにいない」ってつくような領域に足を踏み入れていますよね。

森「会社の同僚にも⁠ミキちゃんはパイオニアになることが多いよね⁠って言われたりしますねえ。」

――なろうと思ってなれるものではないですからねえ,パイオニアは。森さんはそこを自然と切り開いているからすごい。かっこいい。

森「いやー全然そんなんじゃないんです。なんでもかんでもやってみなきゃわからない,って思うんですよね。⁠これをやると怖いとかじゃなくて,やんなきゃわかんないよねーっというのが頭にある⁠⁠。そう思いません?」

――私はやってみて地雷踏んで倒れちゃいますけど(笑⁠⁠。森さんはそうはならない。

森「踏んでても気付いていないのかも。いい経験!って思っちゃう。

今,制作している番組も,会社の中では初めてということになってるみたいですけど,初めてだろうがやらなきゃいけないじゃないですか。」

――そういう人がいないと組織が新しくならないですよね。パイオニアがいないと後に続く人がいない。

そして恒例のこの質問。

理系女性は痛い?!

――さて,こちらはお約束の質問なのですが……森さんの中で考える理系女子とは?

森「自分のことを棚に上げてもいいんですか? 友だちとかを見ていると,マニアックというか。男子はたまたま理系に来たっていう人もいるけど,女子の理系って,選ばないと行かないですよね。

私のイメージでは,オシャレに気を使わない。オシャレに気を使うのは本質的ではない,って思って,ただ,自分なりのこだわりはあるから,お尻まで髪の毛があったりとか,サングラスはこのブランドとか,妙なこだわりがある。そういうオタクぽさっていうか。そういうイメージです。」

――あははは。おしゃれは本質的ではない。だけど,こだわる方向が自己流(笑)

森「自分なりで,個性的。決して一般的には受け入れられなくても,一人に受け入れられたらいいの!みたいな。あるいは受け入れられなくても自分が納得しているからいいの!みたいな。」

――あえて理系を選んできた人達ってそういう傾向あるかもしれません。まだ自然と理系にきたという人はなかなかいないですからね。

森「それに,言われているほどまとめられるような気はしないと思う。世間一般で言われるくらいの女子のバラエティはいる。

あとよく言われるけど理屈っぽいかな。女のくせに,ってつきますけどね。でもそれって女のくせに理屈っぽい,んじゃなくて,女でも男の人にあえて論理で攻めている,っていうのであって。文系の人だってやろうと思えばできるんですよ,そこんとこを社交術としてやっていないだけであって。痛いですよね。」

――いや,痛いですね……(遠い目⁠⁠。

対談を終えて

入社後は「理系・女性・大学院卒」という社内で異分子だったという森さん。でも,そんな状況をものともせず,着実に境界を越えて,パイオニアとして仕事を続けられています。幼い頃からのオリジナリティを発揮された姿勢がここにも活きている? パイオニアになるためには,あとに続く人に慕われるだけの人格も必要。真似して森さんのようになれるわけではありませんが,ひとかけらでもそのフロンティア精神をいただきたいものです。

(イラスト 高世えりこ)
※ 記載画像の無断転載・改変等はご遠慮下さい。

プロフィール

森美樹(もりみき)

学生時代の専攻:分子生物学。

北海道大学理学部生物学科を経て,名古屋大学大学院理学専攻博士前期課程修了後,NHKに入局。⁠大科学実験』など科学系の教育番組を手がける。

本文中でも紹介した、⁠大科学実験』に関する制作裏話は、きょうの日経サイエンステレビコでもご覧いただけます!

著者プロフィール

内田麻理香(うちだまりか)

サイエンスコミュニケーター。東京大学工学部広報室特任研究員/東京大学大学院情報学環・学際情報学府博士課程1年。身近な科学を伝えるために各種媒体で活動中。

URLhttp://www.kasoken.com/