tanQブックスシリーズ時空と生命
―物理学思考で読み解く主体と世界
2009年10月31日紙版発売
橋元淳一郎 著
四六判/192ページ
定価1,518円(本体1,380円+税10%)
ISBN 978-4-7741-4042-1
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書籍の概要
この本の概要
私とは何か。時間とは,空間とは……。これらは,古来,哲学者たちが何千年もの間考え続けてきた謎である。近代科学の登場,そして19世紀から20世紀にかけての科学革命(進化論,相対論,量子論,分子生物学など)が,時間・空間・生命についてのわれわれの常識を覆した。「『私』は時間と空間の中に生きている」という事実への問いは,そういった意味で,きわめて現代的なテーマとして浮かびあがってくる。本書では,これらの謎に迫るべく,時間・空間・生命の関係を,物理学,生命科学,哲学の知見からときほぐしていく。
こんな方におすすめ
- 科学哲学,時間論に関心のある方
- 生命の存在について関心のある方
- SFが好きな方
目次
序章
第一章 ミンコフスキー時空を読む
- 1. 虚数iの発見
- 2. ミンコフスキー時空
- 3. ピタゴラスの定理と時空長
- 4. 時空長の計算
- 5. 縮退した時空
- 6. ヒッグス場と時空
- 7. 進行波と後退波
- 8. 非局所性の問題
- 9. 夢と時空
- 10. 非因果領域に隠れていく未来
第二章 主体的意思としての生命――動物について
- 1. 主観の科学的記述の困難さ
- 2. ツバメの歓喜
- 3. 進化の階層
- 4. 言語は主体的意思の担い手たりうるか
- 5. 自己意識の進化と大脳のモジュール群
- 6. 自己意識は主体的意思の担い手たりうるか
- 7. すべての動物は主体的意思を持つ
- 8. 快・不快を基準に行為する主体的意思
第三章 主体的意思としての生命――バクテリアについて
- 1. 生命の歴史的階層性
- 2. 五つの王国
- 3. 生命の代表としてのバクテリア
- 4. 自然選択と自由経済
- 5. プログラムされた死
- 6. 植物の主体的意思について
- 7. 主体的意思と快・不快
第四章 非平衡熱力学系と主体的意思
- 1. 熱力学
- 2. 平衡系とエントロピー増大の法則
- 3. オンサーガーの相反定理
- 4. 非平衡熱力学系
- 5. 生命は主体的意思を持つ非平衡熱力学系である
- 6. 生命誕生の困難さと必然性
- 7. 散逸構造・複雑系・オートポイエーシス
- 8. 複雑系システムから主体的意思へ
第五章 主体的生命原理と創造的宇宙
- 1. 有時――道元の悟り
- 2. グラディエント・ベクトルとしての主体的意思
- 3. ミンコフスキー時空の時間軸に沿った「動き」
- 4. 三すくみのジレンマ
- 5. 最小作用の原理と経路積分
- 6. 最大傾斜の原理
- 7. 主体的な生命原理と自由意思宇宙の創造
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