Software Design plusシリーズプロのためのLinuxシステム構築・運用技術

[表紙]プロのためのLinuxシステム構築・運用技術

紙版発売

B5変形判/264ページ

定価3,168円(本体2,880円+税10%)

ISBN 978-4-7741-4501-3

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書籍の概要

この本の概要

金融機関のシステムでも採用され,社会インフラとしてのLinuxの活用が広がる今,企業システムとして構築・運用できる技術者が求められています。このような背景で本格的なLinuxサーバの構築,運用,問題判別に必要な知識と手法を具体的な設定方法と合わせて解説します。Linuxのインストール経験があり,基本的なコマンドは知っている読者を対象として,サーバ,ストレージ,ネットワークを含めたシステム全体を見据えてLinuxシステムを扱える一歩進んだ技術者を目指し,現場で求められる本物の知識とテクニックを根本から教えます。

こんな方におすすめ

  • Linuxをこれからプロとして始めるエンジニアの皆さん

著者の一言

本書の内容は,第1章から順に読み進むことを想定した構成になっています。ただし,よく理解できない部分があれば,最初は気にせずに読み飛ばしてもかまいません。一度,全体を読み終えた後に,理解が足りないと思われる部分を再度,読み返すことで,より理解を深めることができます。同じ事柄について,複数の解説を読むことも有用です。ぜひ,各セクションに関連する情報や解説文をインターネットで検索しながら,本書を読み進めてください。

本書で紹介する具体的なコマンドや設定手順は,便宜上,「Red Hat Enterprise Linux 5.5」を前提としてますが,基本的な考え方は,全てのLinuxに共通です。このような共通の本質を学ぶことで,さまざまな種類のLinuxディストリビューションを自由に取り扱えるエンジニアになることを目指してください。

各章概要

第1章 Linuxサーバの構築

Linuxサーバ構築の基礎となるサーバ・ハードウェアの仕組みから始まり,業務システムとしてのLinuxサーバを構築する上での確認ポイントと基本設定項目を説明します。さらに,多数のLinuxサーバを効率的に構築する際に活用できる,キックスタートによる自動インストールの方法を詳しく解説します。

第2章 Linuxサーバ運用の基礎

システム監視,バックアップ,セキュリティ管理など,高品質なサービスを提供するために欠かせない運用業務を支える技術について,基礎から解説します。その上で,特に,Linuxサーバで利用できる運用ツールについて,具体的な使い方を紹介します。また,プロのエンジニアとして知っておくべき,構成管理,変更管理,問題管理などの運用プロセスの考え方を説明します。

第3章 Linuxのストレージ管理

SANストレージを使用する上での基礎となる,ゾーニングの考え方とSANストレージの機能,そして,LinuxサーバからSANストレージを使用する際の注意点を説明します。また,Linuxにおける論理ボリューム・マネージャ(LVM)の使用方法とiSCSIの利用方法を具体例で解説します。さらに,ネットワークとストレージを統合する新たな技術であるFCoEについても解説します。

第4章 Linuxのネットワーク管理

L2/L3スイッチによるパケット転送の仕組み,ルーティング・テーブル,VLANなど,Linuxサーバを扱う上で必須となるIPネットワークの基礎を根本から解説します。また,さまざまなネットワーク設定とBondingドライバによるNICの二重化の手順に加えて,TCPセッションのタイムアウト時間など,ネットワークの問題に対処するための高度な設定についても説明します。

第5章 Linuxの内部構造

Linuxの内部構造に関する話題として,Linuxサーバで発生する問題を判別する上で特に役に立つ,プロセス管理,メモリ管理,ファイルシステム管理について,わかりやすく説明します。すこし高度な内容ですが,プロのLinuxエンジニアとして必須の知識です。Linuxカーネルの学習の出発点にもなります。

第6章 Linuxサーバの問題判別

Linuxサーバの問題判別の進め方と,その基礎となる考え方,そして,問題判別に必要な情報収集の方法について説明します。特に,カーネルの問題判別で必要になるカーネルダンプの取得方法,そして,パフォーマンスの問題判別とサーバ起動時の問題判別について,詳しく解説します。

目次

Chapter 1 Linux サーバの構築

1.1 サーバ・ハードウェア

  • 1.1.1 ハードウェアから見たOS の役割とは何か
  • 1.1.2 サーバ・ハードウェアの基礎
  • 1.1.3 ブートローダと初期RAM ディスク

1.2 Linux の導入作業

  • 1.2.1 導入の事前準備
  • 1.2.2 導入作業の実施

1.3 導入後の基本設定作業

  • 1.3.1 導入直後の設定項目

1.4 キックスタートによる自動インストール

  • 1.4.1 サーバ・デプロイメント
  • 1.4.2 キックスタートの仕組み
  • 1.4.3 キックスタート・サーバの構築

Chapter 2 Linux サーバ運用の基礎

2.1 システム監視

  • 2.1.1 システム監視の目的
  • 2.1.2 システム監視の方法

2.2 バックアップ

  • 2.2.1 バックアップの種類と方式
  • 2.2.2 データバックアップの機能
  • 2.2.3 システムバックアップ

2.3 セキュリティ管理

  • 2.3.1 psacct の利用方法
  • 2.3.2 PAM の利用方法
  • 2.3.3 よく利用される設定例
  • 2.3.4 SSH の利用方法

Chapter 3 Linux のストレージ管理

3.1 ストレージエリア・ネットワークの基礎

  • 3.1.1 SAN の概要
  • 3.1.2 SAN ストレージの機能

3.2 LVM の構成・管理

  • 3.2.1 LVM の概要と基本操作 97
  • 3.2.2 LVM の高度な操作

3.3 iSCSI とFCoE

  • 3.3.1 SAN 環境へのネットワーク技術の適用106
  • 3.3.2 iSCSI
  • 3.3.3 FCoE

Chapter 4 Linux のネットワーク管理

4.1 IP ネットワーク

  • 4.1.1 IP ネットワークの基礎
  • 4.1.2 ネットワーク・アーキテクチャ

4.2 Linux のネットワーク設定

  • 4.2.1 ネットワークの基本設定
  • 4.2.2 Bonding ドライバによるNIC の二重化

4.3 高度なネットワーク設定

  • 4.3.1 ソケット通信
  • 4.3.2 TCP セッションのタイムアウト時間
  • 4.3.3 利用可能なソケット数の上限

Chapter 5 Linux の内部構造

5.1 プロセス管理

  • 5.1.1 プロセスシグナルとプロセスの状態遷移
  • 5.1.2 プロセスのリソース制限
  • 5.1.3 init によるプロセスの起動

5.2 メモリ管理

  • 5.2.1 x86 アーキテクチャのメモリ管理176
  • 5.2.2 ディスクキャッシュとスワップ領域
  • 5.2.3 物理メモリの割り当てロジック

5.3 ファイルシステム管理

  • 5.3.1 ファイルシステムの基礎知識
  • 5.3.2 サーバ起動時のfsck コマンドの実行
  • 5.3.3 ジャーナリング・ファイルシステム
  • 5.3.4 NFS のデータ・バッファリング

Chapter 6 Linux サーバの問題判別

6.1 問題判別の基礎

  • 6.1.1 問題判別の考え方
  • 6.1.2 システム構成情報の収集
  • 6.1.3 システムログの収集
  • 6.1.4 コマンドによる情報収集

6.2 カーネルダンプの取得

  • 6.2.1 カーネルパニックとカーネルダンプ
  • 6.2.2 カーネルダンプの設定

6.3 パフォーマンスの問題判別

  • 6.3.1 パフォーマンスの問題とは
  • 6.3.2 CPU のボトルネックの判別
  • 6.3.3 ディスクI/O のボトルネックの判別
  • 6.3.4 メモリ使用量の問題の判別
  • 6.3.5 ネットワーク通信速度の問題の判別
  • 6.3.6 プロセス情報の確認

6.4 サーバ起動時の問題判別

  • 6.4.1 Linux のブートプロセス
  • 6.4.2 サーバの起動に失敗した場合の対応
  • 6.4.3 レスキューブートによる修復作業

著者プロフィール

中井悦司(なかいえつじ)

Linux/OSSを中心とするオープン・テクノロジーのスペシャリスト。近年はプライベート・クラウドの設計・構築に関わりながら,企業システムにおけるクラウド・コンピューティング技術の活用にも注力。