知りたい!サイエンス 動物たちは何を考えている? −動物心理学の挑戦−

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著者
日本動物心理学会 監修
藤田和生 編著
定価
1,738円(本体1,580円+税10%)
発売日
2015.4.11
判型
四六
頁数
304ページ
ISBN
978-4-7741-7258-3

概要

人間には心がある。では、他の動物はどうだろう?
もちろん他の動物にも心はある。
それは生命とともに38億年の時間をかけてゆっくり進化したわけだ。
しかし、それは人間と同じというわけではない。体のつくりが変われば、住む場所が変われば、心のつくりも変わる。
そんな他の動物たちの心を知るには、どうしたらよいのだろう?
そういった動物たちの心を解き明かす学問が、「動物心理学」。
この学問では、動物たちの多様な心の働きを研究し、その共通点や相違点を知ることで、心の働きを決める要因と進化の過程を明らかにしようとしている。
研究者たちが迫る動物心理の奥深い世界、それは一体どのようなものなのだろうか?

こんな方にオススメ

  • 動物たちの心に興味のある方
  • 動物たちの気持ちを考えてみたい方
  • ※動物心理の研究に興味ある方には特にオススメです

目次

第1章 動物の心に迫る

  • 動物心理学とは、どのような学問か?

第2章 動物の心を知る方法?

  • 動物心理学の手法

第3章 動物から世界を見ると?

  • 3-1 色が見えるのはヒトだけ?
  • 3-2 かたちはヒトと同じように見分けがつくの?
  • 3-3 目の錯覚があるのはヒトだけ?
  • 3-4 見えないものが見える?
  • 3-5 写真やテレビはどう見える?
  • 3-6 顔はどんなふうに見える?
  • 3-7 音はどのくらい聞こえるの?
  • 3-8 音楽はわかる?
  • 3-9 絵はわかる?

第4章 動物だっていろいろ学ぶ

  • 4-1 動物たちの学びかた
  • 4-2 ムチは効く?
  • 4-3 ご褒美は毎回?
  • 4-4 動物もゲンを担ぐ?
  • 4-5 薬はだんだん効かなくなる
  • 4-6 得意ワザと不得意ワザ
  • 4-7 食べ物の好き嫌いはある?
  • 4-8 動物ががんばるとき、サボるとき
  • 4-9 動物がハマるとき
  • 4-10 動物がヘコむとき
  • 4-11 赤ちゃんから大人へ 心の発達
  • 4-12 老いてもなお学ぶ
  • 4-13 いくつが限界? 動物の記憶力

第5章 動物だっていろいろ考える

  • 5-1 ものの数はどれくらいわかる?
  • 5-2 足し算、引き算はできる?
  • 5-3 問題解決や推理はできる?
  • 5-4 こうやって、ああやって……。動物に先読みはできる?
  • 5-5 どれはだいじ、これはどうでも……。動物もテストに備える?
  • 5-6 これもネコだし、あれもネコ……。概念はもてる?
  • 5-7 これとこれは同じ、これは違う……。ものの関係はわかる?
  • 5-8 ヒトの言葉は覚えられる?
  • 5-9 動物流のおしゃべり
  • 5-10 時間はわかる?
  • 5-11 迷子はごめん! 道はどうやって学ぶ?

第6章 動物は仲間を気にかける?

  • 6-1 動物は仲間から学べるか?
  • 6-2 鳥の歌には文化がある?
  • 6-3 動物って子どもの教育に熱心なの?
  • 6-4 仲間の見分けはどうやって?
  • 6-5 動物にも喜怒哀楽はある?
  • 6-6 動物は仲間の感情がわかる?
  • 6-7 動物は仲間を気にかける?
  • 6-8 ねたみややっかみはある?
  • 6-9 優しさや思いやりはある?
  • 6-10 仲間の知っていることは見抜ける?
  • 6-11 仲間を理解する神経細胞?
  • コラム 動物実験倫理について

第7章 動物は自分のことをどれくらい知っている?

  • 7-1 あなたはだあれ? 鏡に映った自分の姿
  • 7-2 我慢はできる?
  • 7-3 動物たちも遊びを楽しむ?
  • 7-4 「知ってる」「忘れた」はわかる?
  • 7-5 「怒ってる」「嬉しい」はわかる?
  • 7-6 動物にも「思い出」はある?
  • 7-7 動物も将来を思い描ける?
  • 7-8 ヒトの脳のなかに動物の脳がある?
  • 7-9 ヒトはいつも一番?
  • 7-10 心の働きって結局どうして決まるの?

プロフィール

藤田和生

1953年大阪府生まれ。京都大学大学院修了。博士(理学)。同霊長類研究所助手などを経て、現在、京都大学文学研究科教授。日本動物心理学会理事長。専門は比較認知科学。サルやハトやイヌなどを対象に、心の進化を研究している。著書に『比較認知科学への招待』(ナカニシヤ出版)、『感情科学』『動物たちのゆたかな心』(以上京都大学学術出版会)、『比較行動学』(放送大学)など。

青山謙二郎

1968年大阪府生まれ。同志社大学卒業。博士(心理学)。米国ワシントン州立大学客員研究員などを経て、現在、同志社大学心理学部教授。人間とラットを対象に動機づけ行動を行動分析学的に研究している。主著に『食べる ―食べたくなる心のしくみ―』(二瓶社)など。

足立幾磨

1978年奈良県生まれ。京都大学卒業。博士(文学)。日本学術振興会海外特別研究員(米国国立ヤーキス霊長類研究所)を経て、現在、京都大学霊長類研究所助教。ヒト以外の動物がどのように社会的対象を認知するのか、また多感覚情報を統合するのかに興味をもち研究をしている。

井垣竹晴

1996年慶應義塾大学文学部卒。博士(心理学)。現在、流通経済大学流通情報学部准教授。専攻分野は、行動分析学、学習心理学。主要業績に、「変化抵抗をめぐる諸研究」(心理学評論、2003、46)など。

牛谷智一

1977年生まれ。神戸市出身。京都大学文学研究科修了。博士(文学)。現在、千葉大学文学部准教授。主として、鳥類・哺乳類・昆虫の視覚認知、空間認知の実験的研究を通し、それら認知機能の進化を探っている。著書として『心理学研究法4 発達』(分担執筆、誠信書房)など。

大芝宣昭

1968年生まれ。兵庫県出身。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。大阪大学助手を経て、現在、梅花女子大学心理こども学部心理学科准教授。専門は比較認知心理学。主著に『こころを観る・識る・支えるための28章』(分担執筆、ナカニシヤ出版)。

後藤和宏

1976年愛知県生まれ。英国エクセター大学博士課程修了。Ph. D. (Psychology)。米国ネブラスカ大学リンカーン校研究員、日本学術振興会特別研究員(PD)などを経て、現在、相模女子大学人間社会学部専任講師。視覚に関する比較研究が主なテーマ。

佐伯大輔

1973年京都府生まれ。岡山大学卒業。博士(文学)。現在、大阪市立大学大学院文学研究科准教授。専門は学習心理学。主にヒトを含めた動物の意思決定・選択行動を研究しており、研究室ではハトを飼育している。著書に『価値割引の心理学』(昭和堂)がある。

澤幸祐

1973年大阪府生まれ。大阪大学卒業。博士(心理学)。玉川大学COE助手を経て、現在、専修大学人間科学部心理学科教授。連合学習理論について研究をおこなっている。著書に『学習心理学における古典的条件づけの理論 パブロフから連合学習研究の最先端まで』(分担執筆、培風館)など。

島田将喜

1973年生まれ。京都大学理学部卒業。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員を経て、現在帝京科学大学アニマルサイエンス学科講師。野生ニホンザル・チンパンジーを対象とした長期フィールドワークに基づく遊びの研究を継続中。著書に『遊びの人類学』(分担執筆、昭和堂)がある。

関義正

1971年東京生まれ。千葉大学卒業。博士(理学)。米国メリーランド大学、理化学研究所などの研究員、東京大学大学院進化認知科学研究センター助教を経て、現在、愛知大学文学部准教授。専門は比較生理心理学。発声模倣をおこなう鳥類を用いて研究をおこなっている。

谷内通

1970年新潟県生まれ。金沢大学社会環境科学研究科修了。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員などを経て、現在、金沢大学人間社会学域人文学類准教授。専門は学習心理学・比較心理学。ラットの系列学習・概念学習のほかリクガメやイモリの実験も進めている。

友永雅己

1964年大阪生まれ。大阪大学人間科学研究科修了。博士(理学)。現在、京都大学霊長類研究所准教授。専門は比較認知科学。チンパンジーなどの視覚認知や社会的認知の研究をおこなっている。著書に『講座コミュニケーションの認知科学 第3巻』(共同執筆、岩波書店)、『Cognitive development in chimpanzees』(編著、Springer)がある。

畑敏道

1972年大阪府生まれ。同志社大学卒業。博士(心理学)。浜松医科大学医学部教務員、同志社大学文学部准教授を経て、現在、同志社大学心理学部教授。動物の時間認知の神経機構について研究中。編著に『心理学概論・第2版』(ナカニシヤ出版)がある。

宮田裕光

1981年奈良県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員、科学技術振興機構ERATO研究員、青山学院大学助教を経て、2014年4月より東京大学大学総合教育研究センター准教授。専門は実験心理学・比較認知科学。

茂木一孝

1972年生まれ。栃木県出身。東京大学農学生命科学研究科修了。獣医師。博士(獣医学)。現在、麻布大学獣医学部准教授。専門は神経行動学。マウスやイヌのコミュニケーション能力や社会的行動、またそれらが母子関係によってどのように発達するのかについて研究している。

脇田真清

1966年愛知県生まれ。慶應義塾大学卒業。博士(心理学)。大阪大学医学部認知脳科学講座助手を経て、現在、京都大学霊長類研究所助教。専門はブローカ野の機能に関する比較神経科学。著書に『新しい霊長類学』(分担執筆、講談社ブルーバックス)など。