知りたい!サイエンス
動物はいつから眠るようになったのか?
―線虫、ハエからヒトに至る睡眠の進化
- 大島靖美 著
- 定価
- 1,848円(本体1,680円+税10%)
- 発売日
- 2018.2.17 2018.3.1
- 判型
- 四六
- 頁数
- 168ページ
- ISBN
- 978-4-7741-9556-8 978-4-7741-9655-8
サポート情報
概要
私たちヒトは、人生の3 分の1 を寝て過ごす。
それほどの時間を費やさねばならないくらい睡眠は重要。
では、ヒトに至るまでの動物ではどうなのだろう?
ヒトに近い哺乳類は毎日眠っているっぽいので、ヒトと変わらないくらい重要なのだろう。
となると、ヒトからさらに遠い爬虫類や両生類はどうだろう?
もっと遠い昆虫などは、そもそも眠るのか?
昆虫が眠るとすると、その眠りはいったいいつから発生したのだろう?
本書は、そんな「動物はいつから眠るようになったのか?」という疑問に着目。
最近になってわかってきた、無脊椎動物の昆虫や線虫で発見された“眠りの原型”をひもときながら、ヒトから線虫へと進化をさかのぼり睡眠を考察。
我々が日々眠いのは、怠惰なのではなく、動物の宿命だったのか!?
こんな方にオススメ
- 動物の眠りについて興味のある方
- 眠りがどのように進化してきたのか関心のある方
- ※「えっ、こんな生き物も寝るの?」とびっくりされたい方にもオススメです。
目次
第1章 ヒトの眠り
- 1-1 睡眠の役割とは何か?
- ヒトは眠らないとどうなるのか?
- ヒトの睡眠時間と死亡のリスクの関係
- 1-2 ヒトの睡眠パターン
- レム睡眠とノンレム睡眠
- 睡眠のパターンと脳波
- 1-3 睡眠と覚醒のしくみの現在
- 睡眠のリズム
- 睡眠をコントロールするニューロン
- 1-4 睡眠の異常とその治療
- 睡眠に関わる病
- 眠れない病気
- 睡眠の薬
- 高齢者の睡眠
- 1-5 脳の活動における睡眠の役割
- 睡眠が脳を育てる
第2章 哺乳類の眠り
- 2-1 哺乳類の分類
- 哺乳類の分類と進化
- 2-2 動物の寝姿
- 哺乳類のさまざまな寝姿
- 2-3 いろいろな睡眠パターン
- 小型哺乳類の睡眠パターン
- クジラ類の睡眠パターン
- 海獣類の睡眠パターン
- イヌの睡眠パターン
- 大型哺乳類の睡眠パターン
- 霊長類の睡眠パターン
- 2-4 睡眠時間の違いとその要因
- 哺乳類の系統と睡眠の関係
- 食べものと睡眠の関係
- 食べる量と睡眠の関係
- 2-5 冬眠―普通の眠りと違う深い眠り
- 冬眠とは
- シマリスの冬眠
- 冬眠を起こすメカニズム
- 植物の休眠
- 2-6 哺乳類の眠りの進化
- 哺乳類の睡眠パターンの特徴
- 哺乳類の睡眠パターンの進化
第3章 鳥類の眠り
- 3-1 鳥類の分類
- 鳥類の分類と特徴
- 3-2 鳥の眠りの姿
- レム睡眠とノンレム睡眠
- 3-3 睡眠パターンの例
- レム睡眠とノンレム睡眠
- 渡り鳥の眠り
- 渡りのきっかけ
- 3-4 鳥の眠りの特徴
- レム睡眠とノンレム睡眠
第4章 爬虫類・両生類の眠り
- 4-1 爬虫類・両生類について
- 爬虫類の分類と進化
- 両生類の分類と進化
- 4-2 眠りの姿―変温動物も眠る
- どのような姿で眠るのか
- 4-3 睡眠のパターンとその特徴
- グリーンイグアナの睡眠
- サバクイグアナの場合
- 爬虫類の眠り
- 両生類の眠り
第5章 魚類の眠り
- 5-1 魚類について
- 魚類の分類
- 魚類の進化
- 5-2 断片的な魚の眠り
- 魚の寝姿?
- 睡眠の割合
- ゼブラフィッシュの睡眠
第6章 軟体動物の眠り
- 6-1 軟体動物について
- 軟体動物の分類
- コウイカの研究
第7章 昆虫など節足動物の眠り
- 7-1 節足動物の分類と概要
- 節足動物の分類
- 節足動物の体のつくり
- 7-2 ザリガニの眠り
- アメリカザリガニの睡眠の姿勢
- 眠りの特性
- 7-3 ショウジョウバエの眠り
- ショウジョウバエとは
- ショウジョウバエは眠るのか
- 行動学的な眠り
第8章 線虫の眠り
- 8-1 線虫とは
- 線虫の概要
- 線虫の分類
- 8-2 線虫シーエレガンス
- シーエレガンスの体
- シーエレガンスの生活史と特徴
- シーエレガンスの研究上の利点
- 8-3 線虫の眠りの研究
- シーエレガンスの休止期
- シーエレガンスの睡眠
第9章 眠りの進化と機能
- 9-1 動物界での睡眠研究の枠組み
- 発展する睡眠の研究
- 9-2 眠りの進化の概要
- いろいろな動物の睡眠の比較
- 9-3 睡眠に関与する遺伝子と機構の共通性
- 哺乳類の睡眠に関わる遺伝子
- 哺乳類以外の睡眠に関わる遺伝子
- 9-4 睡眠の機能と起源
- 睡眠の機能
プロフィール
大島靖美
1940年、神奈川県生まれ。
東京大学理学部生物化学科卒業、同大学院理学系研究科博士課程修了、理学博士。
九州大学薬学部助手、米国カーネギー発生学研究所博士研究員、筑波大学生物科学系助教授、九州大学理学部教授、崇城大学生物生命学部教授を経て、現在九州大学名誉教授。
専門は分子生物学、分子遺伝学。
1975年、日本薬学会宮田賞及び日本生化学会奨励賞受賞。
主な著書:『遺伝子操作実験法』(共著、講談社、1980年)、『ネオ生物学シリーズ⑤ 線虫』(共著、共立出版、1997年)、『生物の大きさはどのようにして決まるのか』(単著、化学同人、2013年)、『線虫の研究とノーベル賞への道』(単著、裳華房、2015年)。