秋の星座1

1やぎ座

山羊座

学 名
Capricornus(略号 Cap)
英語名
The Sea Goat
設 置
古代ギリシア
面 積
414平方度

天体観測の見どころ

1星雲星団の観察

やぎ座にあるメシエ天体はM30球状星団のみで、その他の小望遠鏡の対象となりそうな星雲星団は見当たりません。

M30球状星団(=NGC7099)

  • 位置(分点2000.0)赤経21h40.4m,赤緯-23°11’ 視直径11’,等級7.3,集中度(高1-低12)5

中型ですが中心の明るい球状星団です。お隣のいて座は球状星団の宝庫ですから、つい見落としてしまいがちですが、このM30もなかなか見ごたえのある星団です。双眼鏡でも星雲状に見えます。口径20cm以上になると周辺部の微光星の広がりも分かり、素晴らしい視野となります。

2重星の観察

やぎ座の重星では、肉眼・双眼鏡級のα1-α2星とβ1-β2星が双眼鏡の同一視野に観察できるお勧めの対象です。さらにすぐ数度南の山羊の顔の位置に、σ星,π星,ο星がまとまっており、いずれも小望遠鏡で観察可能な重星です。

α1-α2星

  • 位置(分点2000.0)赤経20h18.1m,赤緯-12°33’
  • α2 3.7等,α1 4.3等,位置角290°,離角381.2”(2012年)

β1-β2星

  • 位置(分点2000.0)赤経20h21.0m,赤緯-14°47’
  • β1 3.2等,β2 6.1等,位置角266°,離角205.2” (2016年),スペクトルF8V+A0

やぎ座の角の位置にあるα1-α2星,β1-β2星はそれぞれが肉眼級・双眼鏡の重星です。α星は通常の視力であれば肉眼的な二重星であることが分かります。さらにα1星は離角47”に9.6等の伴星を持っています。双眼鏡では明瞭に分離できます。そして双眼鏡の同じ視野の中、すぐ南2.5°にβ1-β2星がこれも離角の広く開いた重星であることが分かります。こちらはβ2星が6.1等とやや暗いので肉眼で認識することは困難でしょう。

α1星

  • 位置(分点2000.0)赤経20h17.6m,赤緯-12°30’
  • α1 4.2等,伴星9.6等,位置角228°,離角47.4” (2020年),スペクトルG2Ib

前述の肉眼重星α1-α2星の東側がα1星で、小望遠鏡で観察しやすい重星です。伴星が9.6等と暗いのでよく視野を確認しましょう。主星伴星とも黄色のペアです。望遠鏡の視野ではα2星も見えており、一緒に楽しめます。

σ星

  • 位置(分点2000.0)赤経20h19.4m,赤緯-19°07’
  • 主星5.4等,伴星9.4等,位置角180°,離角56.0” (2019年),スペクトルK3III

離角が広く開き光度差のある重星です。この光度差がかわいらしい観察対象です。赤みがかった黄色の主星に銀色の伴星です。

π星

  • 位置(分点2000.0)赤経20h27.3m,赤緯-18°13’
  • 主星5.1等,伴星8.5等,位置角148°,離角3.5” (2019年),スペクトルB8II-III

離角が小さく光度差が3.4等と大きい対象ですので、シーイングが良くないと分離して見えません。シーイングの良い夜であれば8cm口径の望遠鏡で観察可能です。明るい白色の主星に、くっつくように消え入りそうな伴星が見えます。主星はさらに離角0.1”に7.9等星のある不可視の重星です。

ο星

  • 位置(分点2000.0)赤経20h29.9m,赤緯-18°35’
  • 主星5.9等,伴星6.7等,位置角238°,離角22.0” (2019年),スペクトルA3V+A7V

光度差が小さくて離角も十分に広く、気軽に観察できる重星です。白色の主星に青い伴星のペアです。