秋の星座2

2みずがめ座

水瓶座

学 名
Aquarius(略号 Aqr)
英語名
The Water Carrier
設 置
古代ギリシア
面 積
980平方度

天体観測の見どころ

1星雲星団の観察

M2球状星団(=NGC7089)

  • 位置(分点2000.0)赤経21h33.5m,赤緯-00°49’ 視直径12.9’,等級6.4,集中度(高1-低12)2

秋を代表する大型の球状星団です。形のバランスの良い素晴らしい星団で必見の対象です。秋の夜空は星数が少なく、望遠鏡の視野内では背景の暗黒にM2が浮き上がって見えます。小口径の望遠鏡で高倍率にしても十分に明るく迫力があります。この時期に見やすい球状星団としては、M2のほぼ真北13°にM15(ペガスス座)もあり、続けて観察してみましょう。

M72球状星団(=NGC6981)

  • 位置(分点2000.0)赤経20h53.5m,赤緯-12°32’ 視直径5.9’,等級9.3,集中度(高1-低12)9

小型で暗い球状星団です。集中度は高く低倍率では恒星のように見えます。メシエ番号の付いている球状星団の中ではもっとも貧弱な部類に入ります。

M73散開星団(=NGC6994)4つの星のみ

  • 位置(分点2000.0)赤経20h59.0m,赤緯-12°38’ 視直径2.8’,等級8.9,星数4

M72球状星団のすぐ東1.5°にあります。しかし、わずか4個の星のみで、書物によってはこれを星団とは見なしていない場合もありますし、メシエ天体からも外して欠番としていることさえあります。発見者のメシエは「3~4個の星が一見したところ星雲状に見える」と記しています。

NGC7293惑星状星雲 愛称:らせん星雲(Helix Nebula)

  • 位置(分点2000.0)赤経22h29.6m,赤緯-20°48’ 視直径769”
  • 視等級7.3,中心星等級13.6
(撮影:上田聡/鹿児島県天体写真協会)
ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC7293の中心部(NASA)

全天の惑星状星雲の中でも、飛び抜けて視直径の大きな星雲です。視直径は満月の半分ほどにもなります。このため、薄く広がりすぎていて、眼視による観察は非常に難しく、口径の大きな望遠鏡よりも小望遠鏡の低倍率の方が検出しやすくなります。惑星状星雲特有の波長を通す眼視用フィルターをアイピースに装着すると分かりやすくなりますが、それでも非常に淡い対象です。そらし目で見てかすかに暗闇に浮かび上がる程度です。この星雲は写真の被写体としての方がポピュラーですが、その場合でも赤外線を受容する改造を施したカメラでないと、明瞭な写真にはなりません。撮影されると掲載写真のような「らせん状」が分かり興味深い構造が浮かび上がってきます。

NGC7009惑星状星雲 愛称:土星状星雲(Saturn Nebula)

  • 位置(分点2000.0)赤経21h04.2m,赤緯-11°22’ 視直径25”
  • 写真等級8.3,視等級8.0,中心星等級12.8

小型の惑星状星雲ですが、輝度が高く、小望遠鏡では一見緑色の恒星のように見えます。倍率を上げてもあまり薄れることなく明瞭に観察でき、特徴のある紡錘状の姿が分かります。この紡錘状が「土星状星雲」のニックネームの由来で、これはロス卿の命名です。

2重星の観察

12番星

  • 位置(分点2000.0)赤経21h04.1m,赤緯-05°49’
  • 主星5.8等,伴星7.5等,位置角198°,離角2.4” (2021年),スペクトルG4III

小望遠鏡では難しい対象ですが、色合いのコントラストの美しい重星です。口径10cm以上で観察可能でしょう。主星は明るい黄色で、これに触れ合うように水色の伴星があります。
主星はさらに5.9等と8.3等が0.3”の離角にある不可視の連星系です。

Σ2809星(=HIP 106758)

  • 位置(分点2000.0)赤経21h37.6m,赤緯-00°23’
  • 主星6.2等,伴星9.4等,位置角163°,離角31.1”(2014年),スペクトルA2III+F5V

M2球状星団の約1°北東にあります。明るい真珠のような黄白色の主星に広い間隔を空けて小さな伴星があります。周辺には微光星が散りばめられています。

Σ2838星(=HIP 108144)

  • 位置(分点2000.0)赤経21h54.6m,赤緯-03°18’
  • 主星6.3等,伴星9.5等,位置角183°,離角16.0”(2015年),スペクトルF5IV

色合いの美しいお勧めの観察対象です。明るい桃橙色の主星に青白色の伴星が適度な距離にあります。伴星は光度差がありますが、観察は容易です。

41番星

  • 位置(分点2000.0)赤経22h14.3m,赤緯-21°04’
  • 主星5.6等,伴星6.7等,位置角112°,離角5.2” (2016年),スペクトルK0III+F2V

見栄えのする素晴らしい重星です。桃黄色の主星と紫色の伴星の対比が楽しめます。光度差1等級のペアがやや近めの離角にあり、美しいながめです。

53番星

  • 位置(分点2000.0)赤経22h26.6m,赤緯-16°45’
  • 主星6.3等,伴星6.4等,位置角98°,離角1.3” (2021年),スペクトルG0V+G0V

等光度の近接した重星です。公転周期3,500年の連星系を作っています。理論的には口径10cm以上で観察可能ですが、分離してみるにはやはり口径20cmほどは欲しいところで、シーイングの良いときに観察する必要あります。主星伴星とも黄白色のペアです。

ζ星

  • 位置(分点2000.0)赤経22h28.8m,赤緯-00°01’
  • 主星4.3等,伴星4.5等,位置角157°,離角2.4” (2021年),スペクトルF3IV-V

みずがめ座の中心にあるY字型の中心の星で、全天でも有名な実視連星です。公転周期487年で、現在は最も離角の小さい時期に当たっており、今後100年ほどの間は0.2”/年ほどの割合で離角を急速に増していきます。小望遠鏡でもなんとか観察可能なすばらしい観察対象ですから、シーイングの良いときにチャレンジしてみましょう。小口径の望遠鏡では恒星が細長く見え、間に暗い線が入ってこれを分離しているように見えます。双子のように可愛らしく明るい橙色のペアです。
主星にはさらに離角0.7”に11.3等の伴星がありますが、これは大望遠鏡でも実視することは困難です。

τ1星

  • 位置(分点2000.0)赤経22h47.7m,赤緯-14°03’
  • 主星5.7等,伴星9.6等,位置角127°,離角21.0” (2017年),スペクトルA0V+A9

明るい白色の主星に対して、伴星は繊細で消え入りそうです。離角は十分ですから注意深く伴星を探してみましょう。

94番星

  • 位置(分点2000.0)赤経23h19.1m,赤緯-13°28’
  • 主星5.3等,伴星7.0等,位置角352°,離角12.1” (2018年),スペクトルG5IV

重星の見本のようなすばらしい観察対象です。光度差・離角とも適度で、小望遠鏡から楽しく観察できます。主星は黄白色で、赤みがかった色の伴星があります。主星はさらに離角0.2”で5.2等と6.7等の不可視の連星系となっています。

107番星

  • 位置(分点2000.0)赤経23h46.0m,赤緯-18°41’
  • 主星5.7等,伴星6.5等,位置角136°,離角7.0” (2018年),スペクトルA9IV+F2V

この107番星も94番星と似た、重星の見本のようなすばらしい観察対象です。離角は94番星の半分ほどで、この近接具合も楽しめますし、主星の黄色と伴星の青色のコントラストも美しいペアです。

3みずがめ座η流星群

  • 位活動期間:4月19日~5月28日。極大5月6日頃(太陽黄経45.5°)
  • 極大ZHR 40 対地速度66km/s

みずがめ座の中心「三ツ矢」の付近に放射点があります。母天体は、有名なハレー彗星で、明け方の薄明の直前に高速で長経路の印象的な流星が見られます。そして、流星痕を残すものも多くあります。ただし、日本では放射点が高くなる前に薄明となるため、1時間余りしか見られません。出現数は薄明開始前後で5~10個/時程度です。なお、極大日から2日程度ずれても出現数はあまり変わりません。

地球はハレー彗星の軌道と5月6日頃と10月22日頃の2回接近します。5月上旬にはみずがめ座η流星群として活動し、10月下旬にはオリオン座流星群として活動します。

5月6日3時頃(東京)でみる みずがめ座η流星群のイメージ
ハレー彗星の軌道。地球は5月6日頃にハレー彗星の軌道に近づき、この頃にみずがめ座η流星群が活動します。