秋の星座10

10アンドロメダ座

 

学 名
Andromeda(略号 And)
英語名
Andromeda
設 置
古代ギリシア
面 積
722平方度

天体観測の見どころ

天体観測の対象には、なんといってもM31大銀河が定番中の定番です。この他にも二重星アルマク(γAnd)は色彩のコントラストの美しく人気があります。

1星雲星団の観察

M31銀河(=NGC224) 通称:アンドロメダ座の大銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経00h42.7m,赤緯+41°16’ 視直径185.0’x75.0’,等級3.4,型SA

M32銀河(=NGC221)

  • 位置(分点2000.0)赤経00h42.7m,赤緯+40°52’ 視直径11.0’x7.3’,等級8.1,型cE2

M110銀河(=NGC205)

  • 位置(分点2000.0)赤経00h40.4m,赤緯+41°41’ 視直径19.5’x12.5’,等級8.1,型E5
M32とM110は、M31(アンドロメダ座の大銀河)の伴銀河。M32はM31の南の恒星状にみえる天体、M110は北西の楕円状の天体です。
メシエによるM31のスケッチ(1807)

M31は、私たちの「天の川銀河」のお隣にある大銀河としてよく知られています。“お隣”とはいえ、その距離は「240万光年」と、とてつもなく遠方の存在です。暗夜には肉眼でもぼんやりと細長い姿が楽に認められ、肉眼で見える最遠の天体でもあります。双眼鏡や望遠鏡の観察対象としては全天でも最高のものです。差しわたしは、185’もあり、これは満月を6個並べたサイズに相当します。眼視で見えているのは中心の濃いところです。写真のように恒星に分離してみることはかなり難しいですが,渦巻きの濃淡に注目して観察しましょう。大望遠鏡でも渦巻の腕を認識することは難しいですが、腕の間隙がやや暗くなっていることは小望遠鏡でも分かります。また,伴銀河M32、M110も見つけられるでしょう。

伴銀河M110はメシエのオリジナルのカタログには掲載されていませんでした。しかし、1807年のメシエのスケッチにはM32とともに記載されています。メシエが観測していたことは、このことから明らかで、1966年にこれをメシエカタログの末尾に追加してM110と提唱されました。いずれにしてもM110は非公式ながら流布しているもので、書物によってはNGC205とされることがあります。

NGC752散開星団

  • 位置(分点2000.0)赤経01h57.8m,赤緯+37°41’視直径50’,等級5.7,星数60

アンドロメダ座の東端、さんかく座との境界に近いところにある大型の散開星団です。暗夜では肉眼でなんとか存在が分かります。直径が満月の2倍近くもある大きなものですから、双眼鏡やファインダーの方がこの星団を楽しめます。双眼鏡では薄い星雲状、望遠鏡では低倍率でないと視野に収まりきらなくなりますが、星粒がよく分かります。

NGC891銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経02h22.6m,赤緯+42°21’ 視直径13.0’x2.8’,等級9.9,型SA

アンドロメダ座の東端、ペルセウス座との境界に近いところにある銀河です。渦巻銀河を真横から見た配置で、典型的なエッジオン銀河です。写真では中央を横切る暗黒帯が明瞭に確認できます。輝度が低い対象で、透明度が悪いと眼視的には見えづらくなります。透明度に恵まれた暗夜に観察しましょう。それでも抑揚のないうっすらとした紡錘形状がやっと認められるくらいです。空の条件がよいと、口径10cm以上で中央の暗黒帯が見え始めます。眼視での観察より、天体写真では人気のある銀河です。

NGC7662惑星状星雲 愛称:青い雪だるま星雲(Blue Snowball nebula)

  • 位置(分点2000.0)赤経23h25.9m,赤緯+42°33’ 視直径12”
  • 写真等級9.2,視等級8.3,中心星等級12.5

とても小さく恒星状です。輝度が高いので小口径の望遠鏡でも見えますが、小さすぎて恒星との区別が困難です。口径10cm以上の望遠鏡で倍率を高くして観察したいものです。眼視で青緑色の小さな円盤状に見えてきます。この色はこの種の惑星状星雲には特徴的なものです。

2重星の観察

Σ2973星(=HIP 113802)

  • 位置(分点2000.0)赤経23h02.8m,赤緯+44°04’
  • 主星6.4等,伴星10.1等,位置角40°,離角7.6” (2016年),スペクトルB2V

とかげ座との境界付近にあります。主星は黄白色で、その隣に小さくおぼろげな伴星があります。光度差の対比の楽しい重星です。

Σ3004星(=HIP 115261)

  • 位置(分点2000.0)赤経23h20.7m,赤緯+44°07’
  • 主星6.3等,伴星10.1等,位置角177°,離角13.6” (2019年),スペクトルA5V

主星は、ちょっと色褪せた金色をしています。これに消え入りそうな伴星がついた、光度差のコントラストの良い重星です。

OΣ514星(=HIP 365)

  • 位置(分点2000.0)赤経00h04.6m,赤緯+42°06’
  • 主星6.2等,伴星9.7等,位置角170°,離角5.1”(2015年),スペクトルB9III

比較的狭い離角に3.5等級差のある伴星があります。なかなか歯ごたえのある観察対象です。主星伴星とも青い星です。

26番星

  • 位置(分点2000.0)赤経00h18.7m,赤緯+43°47’
  • 主星6.1等,伴星10.1等,位置角240°,離角6.1” (2016年),スペクトルB8V

この離角と光度差は意外と難しい対象です。重星ファンには楽しめるでしょう。明るい青色の主星に青い色の暗い伴星があります。

π星

  • 位置(分点2000.0)赤経00h36.9m,赤緯+33°43’
  • 主星4.4等,伴星7.1等,位置角175°,離角36.2” (2019年),スペクトルB5V

観察のしやすい素晴らしい重星です。主星は白色で良く輝いています。その脇に青く小さな伴星があります。

36番星

  • 位置(分点2000.0)赤経00h55.0m,赤緯+23°38’
  • 主星6.1等,伴星6.5等,位置角335°,離角1.2” (2020年),スペクトルK1IV

とても近接した難しい観察対象です。シーイングのよい条件で、口径20cm以上で挑戦したいペアです。主星・伴星はほぼ同じ明るさで、濃い黄色をしています。

Σ79星(=HIP 4675)

  • 位置(分点2000.0)赤経01h00.1m,赤緯+44°43’
  • 主星6.0等,伴星6.8等,位置角194°,離角7.9” (2018年),スペクトルB9.5V+A2V

φ星とν星の間にあり探しやすい位置にあります。光度差の少しある適度な離角を持った重星です。主星は乳白色で伴星は青紫色をしています。

γ星アルマク

  • 位置(分点2000.0)赤
  • 経02h03.9m,赤緯+42°20’
  • 主星A 2.3等,伴星BC 5.0等,位置角63°,離角9.5” (2021年),スペクトル K3II
  • 伴星B 5.3等,伴星C 6.5等,位置角120°,離角0.3” (2021年),スペクトル B8V+A0V

色のコントラストの美しさで全天でもよく知られた重星です。主星はオレンジ色で伴星は青紫色のペアで、アルビレオ(はくちょう座)の離角を小さくしたような印象があります。伴星はさらに5.1等と6.3等の2星から成る連星系です。これを分離してみることは大口径の望遠鏡でも困難です。

59番星

  • 位置(分点2000.0)赤経02h10.9m,赤緯+39°02’
  • 主星6.1等,伴星6.7等,位置角36°,離角16.6” (2019年),スペクトルB9V A1V

光度差が少しあり、離角の広い重星です。主星は白色で伴星は薄桃色に見えます。小望遠鏡にお勧めの観察対象です。