秋の星座13

13ちょうこくしつ座

彫刻室座

学 名
Sculptor(略号 Scl)
英語名
The Sculptor
設 置
ニコラ・ルイ・ド・ラカーユ
面 積
475平方度

天体観測の見どころ

ちょうこくしつ座は南天に低く、星雲星団や重星などの観察には困難さがあります。しかし、銀河南極付近にありますから、銀河系内のチリが少なく遠くを見通せるために、遠方の銀河が多く見られます。

1星雲星団の観察

NGC7793銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経23h57.8m,赤緯-32°35’ 視直径10.5’x6.2’,等級9.2,型SA

南天に低く、低空の困難さが伴います。眼視では中央付近がようやく見えるにすぎません。写真ではその周囲に淡い楕円状の円盤が取り巻いていることが分かります。まるでM33(さんかく座)を小さくしたようです。

NGC55銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経00h14.9m,赤緯-39°11’ 視直径30.0’x6.3’,等級8.1,型SB

全天有数の大型の銀河です。東西に長く伸び、特に東側に淡く長く広がっています。データ上は8.1等となかなかの明るさがありますが、南天に低いために、観察できる時間帯が限られますし、南中時でも十分な高度ではありません。高い高度で観察できる南半球からだと、相当に見ごたえのある対象に違いありません。

NGC253銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経00h47.6m,赤緯-25°17’ 視直径30.0’x6.9’,等級7.6,型SAB

南天に低い銀河ですが、くじら座との境界に近く、ちょうこくしつ座の中では南中時の観察が有利です。全天でも屈指のすばらしい観察対象です。銀河中心部だけでなく円盤部も輝度が高く、アンドロメダ座の大銀河(M31)をギュッとコンパクトにしたようです。多くの銀河が散在するこの星座で、もっとも見ておきたい天体です。南中の頃を見計らって観察して下さい。
この銀河は急激な星生成が起こっている、いわゆるスターバースト銀河です。

NGC288球状星団

  • 位置(分点2000.0)赤経00h52.8m,赤緯-26°35’ 視直径13.8’,等級8.1,集中度(高1-低12)10

かなりまばらで球状星団としては独特な天体です。M13(ヘルクレス座)に比肩する大きさがあります。眼視では全体にのっぺりした円盤状で、中央集光がないように見えます。こんな球状星団もあるのだなあと面白く観察できることでしょう。NGC253銀河の南東約2°と近い位置にありますから、NGC253を観察したらぜひ続けてご覧ください。

NGC300銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経00h54.9m,赤緯-37°41’ 視直径20.0’x13.0’,等級8.1,型SA

データ上は8.1等ですから立派な姿を期待してしまいますが、南天の超低空ということもあってかなり淡くしか見えません。1等級暗いNGC7793よりも淡いと思える見え方です。日本では南部の地域でないと観察は困難でしょう。写真では大きく広がりがありますが、眼視では中心部が見えるのがやっとでしょう。全体にのっぺりしていて輝度の高いところがありません。

2重星の観察

h5417星(=HIP 117107)

  • 位置(分点2000.0)赤経23h44.5m,赤緯-26°15’
  • 主星6.3等,伴星9.4等,位置角318°,離角8.1” (2016年),スペクトルF7V

3等級の光度差を楽しめる観察しやすい重星です。主星の黄色が際立ちます。すぐ南15’には、8等星と9等星でつくる間隔の広い重星が同じ視野に入ります。

κ1星

  • 位置(分点2000.0)赤経00h09.4m,赤緯-27°59’
  • 主星6.1等,伴星6.2等,位置角258°,離角1.3” (2017年),スペクトルF4IV-V

極めて近接した等光度のペアです。データ上は口径10cmで分離可能ですが、実際の観察には口径20cm以上と良好なシーイングが欲しいです。高倍率で観察しましょう。両星とも黄色のペアです。

ε星

  • 位置(分点2000.0)赤経01h45.6m,赤緯-25°03’
  • 主星5.4等,伴星8.5等,位置角18°,離角5.0” (2017年),スペクトルF2V

ちょうこくしつ座の北東端、くじら座・ろ座との境界付近にあります。3等級の光度差があり離角も少なく、分離できるかどうかを楽しみながら観察できます。シーングがよければ小望遠鏡でも観察できる、お勧めの観察対象です。主星・伴星とも黄色のペアです。この系は、公転周期1,192年の連星系をつくっています。