夏の星座1

1てんびん座

天秤座

学 名
Libra(略号 Lib)
英語名
The Scales
設 置
古代ギリシア
面 積
538平方度

天体観測の見どころ

1星雲星団の観察

てんびん座にはメシエ天体もなく、取り立てて目立った星雲星団の観察対象はあまりありません。この中で少々ユニークな球状星団NGC5897を紹介しましょう。

NGC5897球状星団

  • M位置(分点2000.0)赤経15h17.4m,赤緯-21°01’ 視直径12.6’,等級8.6,集中度(高1-低12)11

球状星団としては中央の集光がなく円盤状に均一に広がった、球状星団の中ではもっともまばらな星団に分類されます。写真でも中央に集まった様子は感じられず、まるで星数の多い散開星団状に見えます。

2重星の観察

α星

  • 位置(分点2000.0)赤経14h50.9m,赤緯-16°03’
  • 主星2.7等,伴星5.2等,位置角314°,離角231”(2012年),スペクトルA3IV+F4IV

双眼鏡的な重星です。3等の主星に約4’を隔てて5等星があります。数字だけで見ると、肉眼でも観察できそうに思えてしまいますが、相当な鋭眼でないと重星と認めることは困難でしょう。双眼鏡では容易に分離します。まばゆい黄色の主星にライトグレーの伴星です。

μ星

  • 位置(分点2000.0)赤経14h49.3m,赤緯-14°09’
  • 主星5.6等,伴星6.6等,位置角7°,離角1.9”(2019年),スペクトルA1

たいへん近接した重星で、分離してみるには10cm以上の口径が欲しいです。主星伴星とも黄白色のペアです。

18番星

  • 位置(分点2000.0)赤経14h58.9m,赤緯-11°09’
  • 主星6.0等,伴星9.8等,位置角38°,離角19.7”(2016年),スペクトルK2III-IV

光度差がありますが、十分な間隔があり、観察しやすい対象です。主星は明るいオレンジ色。伴星は小さなドットのシルバーです。

NH28 (= HIP 73184)

  • 位置(分点2000.0) 赤経14h57.5m, 赤緯 -21°25’
  • 主星5.9等,伴星8.2等,位置角307°,離角26.2”(2020年),スペクトル K5Ve+M2V

明るいオレンジの主星と光度差のある赤茶色の伴星のコントラストが美しい。光度差はありますが、離角が大きく、小口径の望遠鏡向きの対象です。