夏の星座2

2りゅう座

竜座

学 名
Draco(略号 Dra)
英語名
The Dragon
設 置
古代ギリシア
面 積
1083平方度

天体観測の見どころ

1星雲星団の観察

NGC5866銀河(=M102?)

  • 位置(分点2000.0)赤経15h06.5m,赤緯+55°46’ 視直径6.6’x 3.2’,等級9.9,型SAO

NGC5866銀河は、うしかい座との境界付近にあり、渦巻銀河を真横から見たレンズ状の形をしています。多くのメシエ天体と比べると暗めですが、淡い銀河の多いおとめ座銀河団の銀河とは似たり寄ったりです。眼視でも紡錘状の姿が分かり、写真では中央部を横切る暗黒帯が分かるようになります。M104(ソンブレロ銀河)を小さくしたようです。

この銀河は不明となっているM102ではないかという説があります。1781年にメシャンかメシエが発見していたのではないかと思われますが、記載された位置には天体はなく、1788年にウイリアム・ハーシェルが独立に発見した経緯があります。メシエの記録によると「うしかい座ο星とりゅう座ι星の間にありとても淡い。6等星が近くにある。」と報告していることから、現在の推測ではNGC5866がそれだと思われます。しかしその後、メシャンはベルリンのベルヌーイへの書簡に「M102はM101を見誤ったものだった。」と記し、それ以降欠番となっていたものです。M102の同定は現在でも確認されていませんが、このNGC5866が最も有力な候補だと考えられています。

NGC6543惑星状星雲キャッツアイ星雲(Cat’s Eye Nebula)

  • 位置(分点2000.0)赤経17h58.6m,赤緯+66°38’ 視直径18”
  • 写真等級8.8,視等級8.1,中心星等級10.9

黄道北極と近い位置にある、かなり輝度の高い惑星状星雲です。視直径が小さく、小口径の望遠鏡では恒星状に見えるので、恒星と間違えて見逃してしまうかもしれません。拡大して観察してもやっと小さな楕円状に見えますが、その輪郭ははっきりとしています。
大望遠鏡での姿からキャッツアイ星雲(Cat's Eye Nebula)の愛称があります。

2重星の観察

りゅう座は、小望遠鏡向きの星雲星団が少ない一方で、重星はたくさん見ごたえのある観察対象があります。まさに重星の宝庫です。

η星

  • 位置(分点2000.0)赤経16h24.0m,赤緯+61°31’
  • 主星2.8等,伴星8.2等,位置角142°,離角4.7” (2016年),スペクトルG8III

光度差があり離角も小さく、上級者向きの観察対象です。レモン色の主星に触れ合わんばかりの離角で、消え入りそうな伴星があります。

16-17番星,17番星

  • 位置(分点2000.0)赤経16h36.2m,赤緯+52°55’
  • 16番星 5.4等,17番星 5.5等,位置角193°,離角90.3” (2018年),スペクトル B9V
  • 17番星 主星5.4等,伴星6.4等,位置角104°,離角2.9” (2021年),スペクトル B9.5V

16番星と17番星は間隔が広く開いた、双眼鏡向きの観察対象です。等光度で双子のように並んださまはν星にも似ています。この17番星はさらにとても近接した重星です。こちらは高倍率で観察しましょう。これらの3星は美しい白色です。

μ星

  • 位置(分点2000.0)赤経17h05.3m,赤緯+54°28’
  • 主星5.7等,伴星5.7等,位置角358°,離角2.5” (2020年),スペクトルF7V

μ星は公転周期812年の連星系を作っています。現在は離角の小さい時期にありますが、年を追って少しずつ間隔を広げていきます。データ上は口径5cmで分離の限界値ですが、さすがに10cm程度は欲しいでしょう。高倍率で観察しましょう。

ν星

  • 位置(分点2000.0)赤経17h32.2m,赤緯+55°11’
  • 主星4.9等,伴星4.9等,位置角311°,離角62.3” (2021年),スペクトルA4 A6V

りゅう座の頭部の恒星のひとつです。大きく開いた等光度のペアで両星とも真珠色に輝く美しい観察対象です。双眼鏡や望遠鏡の低倍率で観察しやすく、また探しやすい位置にあるので観察会等にお勧めです。

Ψ星

  • 位置(分点2000.0)赤経17h41.9m,赤緯+72°09’
  • 主星4.6等,伴星5.6等,位置角14°,離角29.6” (2019年),スペクトルF5IV F8V

重星の見本のような対象です。明るく間隔も広く、初心者でも楽しく観察できます。主星伴星とも明るい白色です。

40-41番星

  • 位置(分点2000.0)赤経18h00.2m,赤緯+80°00’
  • 主星5.7等,伴星6.0等,位置角232°,離角18.9” (2022年),スペクトルF7V

やや暗めですが、望遠鏡を向けると初心者向けのしっかりとした重星と直ちにわかります。ほぼ等光度で、主星伴星とも黄白色です。探すときには、こぐま座の方からの方が分かりよい位置にあります。

39番星

  • 位置(分点2000.0)赤経18h23.9m,赤緯+58°48’
  • 主星5.1等,伴星8.1等,位置角348°,離角3.6” (2020年),スペクトルA1V

39番星には89”離れたところに7.9等星があり、これはこれで楽しめます。さらに、高倍率にすると、5.1等に8.1等とやや光度差があり近接した重星であることが分かります。白色のペアです。

Σ248星(=HIP 91013)

  • 位置(分点2000.0)赤経18h33.9m,赤緯+52°21’
  • 主星5.5等,伴星8.7等,位置角271°,離角25.7”(2012年),スペクトルK0III

適度な光度差と離角のあるみごとな重星です。明るい黄色の主星と薄い緑色をした伴星のペアです。

ο星

  • 位置(分点2000.0)赤経18h51.2m,赤緯+59°23’
  • 主星4.8等,伴星8.3等,位置角316°,離角37.3” (2019年),スペクトルG7III-IV

光度差があるものの十分な離角がありますので、小口径でも観察は容易です。この重星は色の対比も面白いペアです。明るい黄色の主星に赤紫色の伴星です。

ε星

  • 位置(分点2000.0)赤経19h48.2m,赤緯+70°16’
  • 主星4.0等,伴星6.9等,位置角20°,離角3.5” (2022年),スペクトルG7III

まずまずの光度差があり、これがわずか3.2”の離角にありますので、なかなか歯ごたえのある観察対象です。黄色の主星に薄い青の伴星が消え入りそうなドットで寄り添います。

3りゅう座流星群

  • 活動期間:10月6日~10月10日。極大10月8日頃(太陽黄経195.4°)
  • 極大ZHR2。対地速度20km/s。

りゅう座流星群が正式名称ですが、この流星群は母彗星の名前を取って「ジャコビニ流星群」の愛称がありよく知られています。この流星群は平年にはわずかな出現しか見られませんが、母彗星のジャコビニ・ジンナー彗星が回帰する年などに、ときおり時間当たり数百もの大流星嵐を見せることがあります。

1933年10月9日に大出現した りゅう座流星群の挿絵
出典:ラルース百科事典1959年版
ジャコビニ・ジンナー彗星の軌道。地球は10月8日頃にこの彗星の軌道に近づき、この頃にりゅう座流星群が活動します。