夏の星座3

3かんむり座

冠座

学 名
Corona Borealis(略号 CrB)
英語名
The Northern Crown
設 置
古代ギリシア
面 積
179平方度

天体観測の見どころ

かんむり座には小望遠鏡向きの星雲星団は見当たりませんが、ζ星、σ星をはじめ見ごたえのある重星があります。

1重星の観察

ζ星

  • 位置(分点2000.0)赤経15h39.4m,赤緯+36°38’
  • 主星5.0等,伴星5.9等,位置角306°,離角6.4”(2021年),スペクトルB7V+B9V

重星の見本のような素晴らしいペア。明るい白色の主星と青みがかった緑色の伴星です。小口径の望遠鏡で観察に適しています。

OΣ305(=HIP 79350)

  • 位置(分点2000.0)赤経16h11.7m,赤緯+33°21’
  • 主星6.4等,伴星10.2等,位置角263°,離角5.7”(2017年),スペクトルK2III

光度差の大きい重星ですが、分離は難しくありません。明るいオレンジ色の主星にとても小さな伴星がついています。

σ星

  • 位置(分点2000.0)赤経16h14.7m,赤緯+33°52’
  • 主星5.6等,伴星6.5等,位置角240°,離角7.2”(2021年),スペクトルG0V+G1V
かんむり座σ星の軌道

必見の素晴らしい重星です。主星、伴星とも薄い黄色をしています。1等級の光度差のある両星が適度な離角を成しています。この重星は、公転周期726年の連星系で、現在は離角の最も大きく開いた時期に当たっています。

ν1-ν2星

  • 位置(分点2000.0)赤経16h22.4m,赤緯+33°48’
  • 主星5.4等,伴星5.6等,位置角164°,離角354.7”(2011年),スペクトルM2III

とても離角のあいた、低倍率で観察したい重星です。ν1、ν2とも黄色をしています。

かんむりΣ1964 = HIP 76563

Σ1964星 (=HIP 76563)
位置(分点2000.0) 赤経15h38.2m, 赤緯 +36°15’
主星A 8.1等,伴星B 9.9等,位置角90°,離角1.4”(2016年),スペクトル F5
主星A 8.1等,伴星C 8.1等,位置角90°,離角16.8”(2017年),スペクトル F5
伴星C 8.1等,伴星D 9.0等,位置角21°,離角1.5”(2019年),スペクトル F5
かんむり座Σ1964星系の軌道。左:C星-D星系,右:A星-B星系

観察しやすい重星の多いかんむり座の中で、暗く難物の対象ですがユニークな存在ですので取り上げました。この重星は、主星伴星ともさらに重星となっている極小版のWWスターです。離角1.7”の伴星CDの分離は比較的可能ですが、主星A伴星Bの分離はさらに離角が小さく光度差もあり難しい観察です。気流の良い時に、中口径望遠鏡以上でチャレンジしたい重星です。
A-B星系は周期834年で、C-D星系は周期1230年で公転しており、現在は両系とも離角の広い時期に当たっています。