夏の星座16

16みなみのかんむり座

南冠座

学 名
Corona Australis(略号 CrA)
英語名
The Southern Crown
設 置
古代ギリシア
面 積
128平方度

天体観測の見どころ

南天に低いみなみのかんむり座にある天体の観察は、南中の頃の観察時期を狙う必要があり、観察できる時間が限られます。メシエ番号のある星雲星団はありません。ここでは、球状星団ひとつと重星を4つ取り上げます。

1星雲星団の観察

NGC6541球状星団

  • 位置(分点2000.0)赤経18h08.0m,赤緯-43°42’ 視直径13.1’,等級6.1,集中度(高1-低12)3

みなみのかんむり座のある南天の低空で観察できる中型の球状星団です。低空ですが、6.1等級と明るく見ごたえがあります。ゆるやかな集光で、大きくぼんやりと広い星団です。口径20cm以上の望遠鏡ならば中央付近まで恒星に分離します。写真では赤っぽく写りますがこれは低空の影響があります。

2重星の観察

h5014(=HIP 88726)

  • 位置(分点2000.0)赤経18h06.8m,赤緯-43°25’
  • 主星5.7等,伴星5.7等,位置角0°,離角1.8” (2019年),スペクトルA5V+A5V

みごとな双子のペアです。視野を拡大すると恒星が細長く見え、その中央に細い暗線で星を分けるように見えます。主星伴星ともA型で、本来は白色のペアですが、低空のために黄色みがかって見えます。この星の南東0.4°には、球状星団NGC6541があります。

κ星

  • 位置(分点2000.0)赤経18h33.4m,赤緯-38°44’
  • 主星5.6等,伴星6.2等,位置角359°,離角20.5” (2018年),スペクトルB9V+A0III

小望遠鏡向きのすばらしい重星です。明るく離角もあります。主星伴星とも白色のペアです。公転周期450年の連星系を作っています。

BrsO14(=HIP 93371)

  • 位置(分点2000.0)赤経19h01.1m,赤緯-37°04’
  • 主星6.3等,伴星6.6等,位置角280°,離角12.8” (2018年),スペクトルB8V+B9V

ほぼ等光度で、双子のように並んでいます。この星の0.5°北西には、いて座の球状星団NGC6723があります。主星は、6.6等と7.9等が0.1”で近接する不可視の連星系です。

γ星

  • 位置(分点2000.0)赤経19h06.4m,赤緯-37°04’
  • 主星4.5等,伴星6.4等,位置角322°,離角1.5” (2021年),スペクトルF8V+F8V

公転周期121.8年の連星系を作っています。実視できる連星系としては例外的に短周期です。現在は最も離角の小さい時期にありますが、今後は緩やかに離角をひろげていきます。この重星の観察は、小望遠ではつらいところでしょう。両星とも明るい黄色をしています。