冬の星座1

1エリダヌス座

 

学 名
Eridanus(略号 Eri)
英語名
The River
設 置
古代ギリシア
面 積
1138平方度

天体観測の見どころ

エリダヌス座は面積の広い星座にもかかわらず、なぜか小望遠鏡に向いた星雲星団の観察対象に乏しい星座です。その一方で、観察に適した重星は豊富にあり、中でもθ星は「南天の宝石」とも呼ばれる美しい重星です。

1星雲星団の観察

NGC1300銀河

  • 位置(分点2000.0)赤経03h19.7m,赤緯-19°25’ 視直径5.5’x2.9’,等級10.4,型SB
DSS(Digitzed Sky survey)によるNGC1300銀河

典型的な棒渦巻銀河として知られています。しかしながら、とても淡いためその姿を小望遠鏡で見ることは困難です。口径20cmで、ぼやけた中心核が分かる程度です。大望遠鏡で撮影された姿が棒渦巻銀河の代表例としてよく引用されています。

IC2118散光星雲 愛称:魔女の横顔星雲(Witch Head Nebula)

  • 位置(分点2000.0)赤経05h06.9m,赤緯-07°13’長径180’×短径60’
  • タイプ 超新星残骸+反射
(撮影:上田聡/鹿児島県天体写真協会)

オリオン座との境界に近いエリダヌス座にある散光星雲です。肉眼での観察は困難で、天体写真の対象になります。大きく口を開けて叫ぶような形から「魔女の横顔星雲(Witch Head Nebula)」の愛称があります。超新星爆発の残骸で、現在はオリオン座の1等星リゲルに照らされて、その光を反射し青白く光っています。

2重星の観察

HIP7751星

  • 位置(分点2000.0)赤経01h39.8m,赤緯-56°12’
  • 主星5.8等,伴星5.9等,位置角186°,離角11.3” (2019年),スペクトルK0V+K5V

明るい黄色の星が、双子のように並びます。公転周期484年の連星系で、現在はもっとも離角の大きな時期にあたっています。南天の低い位置にあり、日本からの観察は困難です。

θ星

  • 位置(分点2000.0)赤経02h58.3m,赤緯-40°18’
  • 主星3.2等,伴星4.1等,位置角90°,離角8.2” (2020年),スペクトルA4III+A1V

南天に低く観察時間が限られるものの、明るい対象ですので東京でも観察のチャンスがあります。この重星は「南天の宝石」の異名を持つ美しい観察対象です。主星・伴星ともダイヤモンドのような白色です。

h3565星(=HIP 15411)

  • 位置(分点2000.0)赤経03h18.7m,赤緯-18°34’
  • 主星5.9等,伴星8.2等,位置角122°,離角8.0”(2016年),スペクトルF0IV

明るく観察しやすい重星です。主星は乳白色で伴星とは光度差があります。

f星

  • 位置(分点2000.0)赤経03h48.6m,赤緯-37°37’
  • 主星4.7等,伴星5.3等,位置角216°,離角8.2” (2020年),スペクトルB9V+A1V

観察しやすいお勧めの重星です。青白い主星に白色の伴星がついています。若干の光度差があります。θ星と似た印象のあるペアです。

32番星

  • 位置(分点2000.0)赤経03h54.3m,赤緯-02°57’
  • 主星4.8等,伴星5.9等,位置角349°,離角6.9”(2021年),スペクトルG8III+A2V

エリダヌス座の北端にあります。1等級の光度差がありますが、離角も適度で観察しやすい重星です。主星は濃い黄色で、伴星は青みがかったシルバーです。色の対比も美しく観察できます。

39番星

  • 位置(分点2000.0)赤経04h14.4m,赤緯-10°15’
  • 主星5.0等,伴星8.5等,位置角143°,離角6.4” (2016年),スペクトルK2III

オレンジ色の主星に、繊細な白色の伴星です。光度差と色の対比を楽しめます。

h3644星(=HIP 20347)

  • 位置(分点2000.0)赤経04h21.5m,赤緯-25°44’
  • 主星6.2等,伴星8.2等,位置角41°,離角43.7” (2020年),スペクトルF2V

明るく間隔の広い重星です。主星・伴星とも濃い黄色です。主星は7.3等と6.6等が離角0.3秒で近接した不可視の連星系で、現在最も接近しています。

62番星

  • 位置(分点2000.0)赤経04h56.4m,赤緯-05°10’
  • 主星5.5等,伴星8.9等,位置角76°,離角66.1”(2003年),スペクトルB6V

3.4等級の光度差がありますが、離角は大きく開いており、楽に観察できます。青白色のペアです。さらに主星は5.5等と8.9等が離角0.4秒で近接した不可視の連星系です。

Σ649星(=HIP 23916)

  • 位置(分点2000.0)赤経05h08.3m,赤緯-08°40’
  • 主星5.8等,伴星9.0等,位置角69°,離角21.8”(2017年),スペクトルB8V

オリオン座との境界付近にあります。λ星のわずか13’北西にあり、容易に探せます。光度差もありますが、色の対比に注目したいペアで、クリーム色の主星に赤茶色の伴星があります。

エリダヌス座O2

  • 位置(分点2000.0) 赤経04h15.3m, 赤緯 -07°39’
  • 主星A 4.4等, 伴星B 9.5等, 位置角102°, 離角83.7” (2016年), スペクトルK0.5V+DA3
  • 伴星B 9.5等, 伴星C 11.1等, 位置角331°,離角 8.3” (2017年), スペクトルDA2.9+M5V

伴星は歴史上はじめて確認された白色矮星です。主星との離角は非常に広く、小望遠鏡でも楽に観察できます。実視で見られる白色矮星としては一押しの対象です。さらに興味深いことに、この伴星Bとしての白色矮星には、離角8.3"に11等級の真紅の伴星Cがあり、注意深く観察すると見つけられます。この伴星Cは赤色矮星です。この星はこのように、白色矮星と赤色矮星のペアという、非常に珍しい特徴をもっておりぜひ観察しておきたい対象です。